はこだて外国人居留地研究会

外国人居留地マップ「中国編」が完成しました。

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会報第6号の発行

7月1日に会報第6号を発行いたしました。

今回の会報は、2月に行なわれた研究会の発表内容を中心に、会員による報告と特別インタビューで構成されています。内容は以下のとおりです。

【研究会報告】
  鵜飼 正志「歴史のなかの外国人居留地」
  兎内勇津流「イワン・マホフの「ろしやのいろは」をめぐって」

【特別インタビュー】
  岡田 弘子「岡田健蔵と函館図書館」

【事務局より】
  平成21年度事業報告
  はこだて外国人居留地研究会会則
  外国人居留地研究会全国大会、散策会の趣意書
  外国人居留地マップ「アメリカ編」の発行


2月に開催された研究会の鵜飼政志氏の講演内容は、これまでの外国人居留地のイメージを根底から覆す衝撃的な内容でした。これまで、外国人居留地というとヨーロッパ文化の窓口、ヨーロッパの人々と日本人の交流などのイメージで語られることが中心でしたが、鵜飼氏の報告により、そうした居留地文化というものは、東南アジアや中国を経由して入ってきた植民地文化であり、ヨーロッパとアジアの融合した文化であることが紹介されました。さらに、この居留地に居住した外国人の中心は中国人であり、文化や経済の中心としての役割を果してきたことが紹介され、こうした視点からの研究の必要性が訴えられた。また、当時の記録から、開港地に寄港した鑑船で一番重要であったのが軍艦であり、日本の開港地はヨーロッパの海軍の寄港地としての役割を果していたことが説明されました。たしかに、『函館市史』年表編をめくってみると、明治年間から大正年間にかけて、函館に入港した外国海軍の記録が多いことに気付かされます。これまでイメージだけで語られてきた外国人居留地の姿を、現実のものに近づけていく努力が必要であることを、改めて認識させられた報告でした。

この他、会員の兎内勇津流氏により、『ろしやのいろは』についての報告を掲載しました。これは日本図書館文化史研究会との共催で行なわれたもので、幕末の1861年にイワン・マホフが箱館で製作した、ロシア語初歩の小冊子「ロシアのいろは」を取り上げ、これが刊行年が明示された北海道最初の出版物であることを明らかにし、さらにこれがロシア領事館付き司祭に伴って来箱したマホフによって製作された状況、そしてこのマホフについての混乱について、当時の『海事論集』に掲載された記事等を材料に検討したものです。こうしたロシア語の初等読本についての研究自体が重要ですが、これが函館に存在していることもまた重要なことであると感じられました。こうした研究が継続されることを期待します。

最後に、会員の岡田弘子さんに対する特別インタビューを掲載しました。これも日本図書館文化史研究会で行なわれたもので、函館の図書館の基礎を確立した岡田健蔵氏について、家族の視点から説明した非常に貴重な機会でした。岡田弘子さんは、身内のことについて公式の場ではほとんど話したことが無く、恐らくこれが最初のインタビューであろうと思われます。岡田さんは中山公子前函館中央図書館長のインタビューに言葉を一つ一つ選びながら、慎重に答えられていました。それは、身内が語る場合にはどうしても都合のいいことばかり書きたがるという、図書館講習所時代に教わったことを、現在まで実践されているからでした。こうした教えを現在まで守り通してきた岡田弘子さんの姿勢に対して、改めて感動したインタビューでした。岡田弘子さんご自身は、このインタビューが会報に掲載されることを固辞されましたが、研究会の幹事より何度もお願いして、やっと掲載を認めていただきました。
岡田健蔵氏が心血を注いで作り上げた旧市立函館図書館は、現在も、明治年間に完成した函館公園内にあります。大正年間に完成した書庫と、昭和に入ってから完成した本館が、当時の姿を公園内にとどめています。ここは、函館の明治・大正・昭和が同居する、市内でも唯一の場所ではないでしょうか。この図書館を設立し、守り通してきた北の巨人、岡田健蔵氏について、函館市民はもう一度、その志しを考えるべき時であると感じました。

今年は、開港150周年の記念の年であり、本研究会もさまざまな事業を計画しております。そのため、会報の発行も、昨年とは若干ことなることが予想されます。10月に予定されている全国大会については、別に研究報告集を作成する予定です。研究会としては、できる限り会報を作成し、会員、市民の皆様に情報を発信していきたいと思います。

今号の表紙は、以前も第3号で使用した「奥州箱館之図」を使用しました。今回は、各国の領事が止宿した浄玄寺、称名寺、実行寺に各国の国旗と洋館が建設されている様子、大町居留地にも洋館が建設されている様子が描かれた部分を使用しました。これが当時の箱館の様子であろうと思われます。

文責:小川正樹


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