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もしかしてと思っていたんだ。
てくてくてくてく。 たったかたったかたったか。 歩みはいつの間にか小走りになっていた。 駅前の公園の大きな桜の樹。 私の大好きな桜の樹だ。 本田隼人君だったな。 彼に初めて出会ったのがそうだった。 桜の樹が私達たちを会わせてくれた?。 もしかして、運命の出会いだったのかな。 きゃっ、私ったら何考えているんだろう。 顔が少し熱い。 少し走ったから?。 ううん、自分でもわかってるよ、違うってことくらい。 これは誰にも言えないな。 お母さんにも内緒。 桜の樹にだけ、全部教えちゃおう。 聞いてくれるかな?。 うん、きっと、大丈夫。 急ごう。 少しずつ覚えたんだ、町のこと。 色んなところに行ったけど、私が好きなのは変わらない。 駅前の公園の大きな大きな桜の樹。 今は満開に花を咲かせ、私を祝福してくれている。 もう少しだ。 もしかして・・・。 ううん、今はこの気持ちだけを話して来よう。 それだけで幸せだから。 たったったったっ。 いつの間にか走っていた。 気づかなかったよ、私。 自分で自分がわからない?。 これは誰かに聞いた覚えがある。 テレビで知ったのかもしれない。 どちらでもいいや。 『恋は人を盲目にさせる』 私には難しいと思ったけど、今は何となくわかる?。 ような気がするだけ・・・かも。 周りの景色が見えていなかった。 変かな?、今の私。 知ってる人とすれ違ったような気がするけど、全く視界に入らなかったよ。 気がつくと駅前の公園に着いていた。 今の私を待っていてくれるような、桜の樹。 報告しよう、今の私の気持ちを。 ん!?、これは告白なのかな?。 そう思うと少し恥ずかしいよ。 でも、そのために来たのだからね。 今の私の胸の内を報告しよう。 秘密だよ?、桜の樹さん。 「私ね、今日、小学校の入学式だったんだ。それでね。また彼に会えたよ。 本田隼人君、桜の樹さんが私に会わせてくれた男の子だよ。 それでね。一緒のクラスになれたんだ、彼と。 私・・・、彼にもしかして・・・。ねぇ、聞いてくれてる?。 うん、ありがとう。でも、・・・恥ずかしいからこれは内緒。 また来るから、その時ね。じゃあ、またね」 言えなかったよ。 でも、少し言えた。 帰ろう。 お母さんも待っているから。 心配させちゃうからな。 びっくりしちゃったよ。 もしかしてと思ったけど、会えたよ、彼に。 『こんにちは』 声が重なってしまった。 本田隼人君、私の・・・の人。 P12へつづく。 ブログTOPに入口があります
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恋愛「四季に読む歌」
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そこから読んで下さいね♪。
P1が第1話になります。
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心が弾む。
どうしてなのか、自分でもわからなかった。 いや、気づいていないだけ。 「隼人、走らないの。スーパーは逃げないって、言ったでしょう、もう」 「う、うん。でも、嬉しいから」 「そうね。明日からは授業も始まるし、私も嬉しいわよ。友達もいっぱい出来そうね」 「もういるよ」 「え!?、そうなの?。母さん、気づかなかったわ。 男の子?、女の子?、名前は何て言うの?」 「う〜ん、今は内緒」 「母さんにも?」 「うん」 「そのうちに紹介するのよ」 「わかってるよ」 「女の子ね?」 「ええっ!?、何でわかったの?」 「それはね。私が隼人のお母さんだからよ」 「ええ〜?」 「当たりだったみたいね」 「あ、母さん、ずるいよ〜」 「顔が赤くなってるわよ、隼人」 「・・・・・・・・・・・」 母さんには敵わないな。 俺の母さんだから仕方ないか。 優木春菜だった。 彼女を思い浮かべると、気持ちが空を飛びそうだ。 初めて会ったのは、お気に入り。 大好きな駅前の公園の桜の樹だった。 明日になれば・・・学校で会える。 学校という新しい人生の始まりでもあるが、彼女の存在が俺の心に華を咲かせてくれた。 道行く人々。 小さな町だから、知らない人の方が珍しい。 俺の生まれ育った町だからな。 この道も何百回、いや、数え切れない程通ったのだろう。 そして、この道は駅前へと続いている。 そこにあるのが、お気に入りの桜の樹。 今日の出来事を報告したい。 聞いてくれるかな?。 うん、きっと大丈夫。 俺にはわかるんだ。 いつも俺の言葉に耳を傾けてくれていた。 伝えたい、この今の俺の気持ちを。 「隼人、どうしたの?。心ここにあらずって、感じね。 さては、さっき言っていた女の子の友達のことを考えていたのかしら?」 「か、母さん、何言ってるの・・・。え、え〜っと、違うよ?」 「またまた大当たりのようね。うふふ、隼人が紹介してくれるのを楽しみにしてるわね」 そう言うと、母さんは俺にウインクしてみせた。 返答に困る。 顔が熱いよ。 もう、母さんは・・・俺の母さんだからな。 敵わないや。 「はい、到着よ」 あっと言う間だった。 駅前のスーパー。 そして、駅前の公園の桜の樹。 そして、出会った。 『こんにちは』 声が重なってしまった。 桜の樹が会わせてくれたのだろうか、彼女と俺を・・・。 P11へつづく。 ブログTOPに入口があります
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時を刻む音。
私はそれを知っている。 覚えているというのが正しいのかもしれない。 忘れられない音の一つ。 「お母さん、それ、お父さんの時計だよね」 「そうよ。お父さんに春菜の晴れ舞台を見てもらおうと思ってね」 後で知ったのだが、それはただの時計ではないことだった。 懐中時計なのだが、その蓋を開けると裏には私と母の名前が刻まれている。 「喜んでくれたかな、お父さん」 「そうね。嬉しくって、天国でスキップ踏んでいるかもね」 「う〜ん、お父さんなら本当にしていそう。でも、そうしてくれていたら嬉しいな。 私ね、お父さんもお母さんも大好きだから」 「私も同じよ。春菜もお父さんも大好き」 「同じだぁ」 「親子なんだから当たり前よ」 「そうだよね」 「そうそう」 この町には本当に桜の木が多い。 入学式の帰り道だが、道に沿うように桜の木が植えてある。 しかも、今は満開だ。 でも、私が好きなのは・・・。 駅前の大きな桜の樹。 初めて彼に出会ったのもあそこだったな。 本田隼人君、私のことを覚えてくれていた。 嬉しいな。 私も覚えていたよ、隼人君。 明日からは授業が始まる。 隼人君にも毎日会えると思うと、心が空を飛んでしまいそう。 本当に楽しみだな。 何を話そう?。 いっぱい話せるといいな。 だって、私の一番のお友だちだから。 それに、私、彼に恋・・・。 「春菜、どうしたの?」 「えっ!?、私、どうかしてる?」 「そうね。顔が少し赤いから風邪でも引いたのかなと思ってね。 おでこを触るわよ」 「お母さん、風邪じゃないよ」と言いたかったが、恥ずかしくていえないよ。 「私の気のせいみたいね。何かあったら直ぐに言うのよ」 「は〜い」 でも、言えない。 言ったら、本当に顔から火を噴きそうだから。 家に帰る道のりは楽しかった。 目に鮮やかな桜色。 それと、桜の香り。 私はこの町が好きになれるかな。 きっと、大丈夫。 春の桜が私を歓迎してくれたから。 桜と言えば、駅前の桜の樹。 今日の出来事を報告したい。 「ただ今帰りました」 「ただいま〜」 「お帰り。どうじゃった、春菜の入学式は?。 ワシもばあさんも本当は出席したかったのだがな。 年寄りがでしゃばることはないと思い、行かなかったが、今思えば孫の大切な入学式じゃ。 やはり、行くべきじゃったの」 「お父さんにお母さん。心配はいりませんよ。 春菜は堂々たるものでした。これは春彦さんに似たのかもしれません。 きっと、春菜の成長を見守ってくれると思いますからね。大丈夫ですよ」 「そうじゃな。今晩はワシとばあさんが腕を振ったでな。 ご馳走じゃぞ。春菜の新たな人生の門出を祝うには丁度良かろう」 「ありがとう。じゃあ、遠慮なくいただくわ」 「うん、おじいちゃんにおばあちゃん。本当にありがとう。 私、頑張るからね。それに本当に楽しみだから」 晩御飯までにはまだ時間がある。 そうだ。 今日の出来事を報告に行こう。 私の大好きな駅前の桜の樹。 彼と初めて出会った、お気に入りだ。 「お母さん、少し、出掛けて来るね」 「そう?、じゃあ、晩御飯までには戻るのよ」 「は〜い、わかってます」 もしかして、隼人君もいるかな。 そうだといいな。 何か予感がするんだ。 楽しみだよ、私。 P10へつづく。 ブログTOPに入口があります
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帰り道。
母さんと2人での帰り道。 重いけど、荷物は俺が持った。 いや、母さんに無理を言って持たせてもらったんだ。 男だというのもあるけれど、何よりも楽しみなのは明日から始まる授業。 彼女も一緒だ。 また明日会える。 毎日会えるとの実感が俺の気分を高揚させていた。 「母さん、俺ね」 「わかってるわよ。『頑張る』って、言うのでしょう?」 「えっ!?、何でわかったの?」 「それはね。私が隼人のお母さんだからよ」 「え〜、何かずるい〜」 「いいじゃないの。頑張ってね。それよりも楽しんでと母さんは言っておくわ」 「うん、楽しみだよ、俺」 「それでいいのよ。隼人は隼人。自分の人生なんだから楽しまなくちゃ損、損」 「じゃあ、母さんの楽しみは?」 「母さんはね。・・・今は内緒」 「ずるいよ〜」 そんな母さんの顔が優しく眩しかった。 それに楽しそうだったから。 「隼人、家に帰ったら荷物を置いて、スーパーに行きましょう。 今日はお祝いしなきゃね。母さん、腕を振るうわよ」 「うん、何作ってくれるの?」 「それはね。晩御飯までのお楽しみ」 「母さん、またずるいよ〜」 「期待してね」 「・・・うん、楽しみにしてる」 春の匂いに桜の香り。 帰り道に沿って咲くような桜の木。 桜並木だなと俺は思った。 昔から住んでいるのだが、この道を意識して歩いたことはない。 俺の桜と言えば決まっている。 駅前の大きな大きな、桜の樹だ。 そう言えば彼女と出会ったのもあの桜の樹。 優木春菜だったな。 背中に背負った荷物に右手に持った荷物。 彼女のことを考えるとそれが羽のように軽く感じる。 「ただいま〜」 「お帰りなさい・・・って、違うでしょ。違うのは私ね。 ただ今帰りました。お父さん、帰ったわよ。隼人は自分の荷物を2階に持って行ってね」 「うん」 俺の家は古いが、今では珍しいレンガの壁で有名みたいだ。 木造家屋が並ぶ中で目立ってしまう。 「お帰り。何か楽しそうじゃの」 「隼人の入学式ですからね。嬉しくって、つい・・・・」 「それでええ。ワシも楽しみにしておった。 隼人は優しい子じゃからな。将来が本当に楽しみじゃ」 「そうね。本当に楽しみだわ」 2階には部屋が4つあるが、俺の部屋は廊下の突き当たり。 将来のことを考え、じいちゃんがそうしてくれた。 今の俺には少し広過ぎる気もするが、俺はこの部屋が好きだった。 父さんが昔に使っていたというのが一番の理由。 今は亡き、父さんの存在をどこかで感じることが出来るから。 そうだ。 荷物を置いたら、母さんと買い物だ。 急いで荷物を置いて、1階へと降りて行く。 「母さん、お待たせ」 「早いわね。母さんは、・・もう少し。ちょっと待ってね」 「うん」 「お父さん、これお願いしていいかしら?」 「おお、任せてくれ。隼人も待っておる。ワシのことは気にせずとも良い」 「ありがとう。じゃあ、行って来るわね。隼人、行くわよ」 「うん」 駅前のスーパーだ。 俺の大好きな桜の樹が見れる。 母さんの手を引っ張るように俺は家を出た。 「隼人、急がないの。スーパーは逃げないわよ」 「う、うん」 気が逸る。 それに何かの運命を感じる。 俺の気のせいかもしれないが、楽しみだな。 P9へつづく。 ブログTOPに入口があります
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次々と進む自己紹介。
もう少しで私の番かな?。 ドキドキは・・・。 少し治まった。 大丈夫、私、出来るよ。 「はい、次は優木春菜さん」 私の名前だ。 「優木春菜です。この町に来て、まだわからないことが色々とありますが、皆さん、よろしくお願いします」 言えた。 お母さん、私、上手く言えたよ。 彼のお陰かも?。 本田隼人君、お話したいな。 終わった、自己紹介。 先生が言ったのは、教材を受け取り、明日から授業が始まること。 教室を出ようと席を立った彼。 気になったので、見ちゃった。 あ、気づいてくれた。 嬉しい。 私、今どんな顔してるかな。 「春菜、教材を受け取りに行くわよ」 「あ、う、うん」 「どうかした?」 「ううん、何でもないよ。お母さん、行こう」 「楽しみね」 「うん、私、本当に楽しみ」 「そう、それを聞いて私も安心したわ」 「お母さん、行こう」 「はいはい」 教材を受け取りに教室から出る。 「春菜、こっちよ」 「は〜い」 場所はお母さんが知っていた。 そうか。 お母さんは1枚のプリント用紙を持っている。 そこに教材を受け取る場所が書かれていた。 『視聴覚室』 これがそうなのかな?。 漢字が読めないのが悔しい。 でも、これからいっぱい勉強するんだ。 「春菜、4階まで上がるわよ。階段だけど、大丈夫?」 「うん、平気、平気」 「そうね。子供だからそれくらいの元気が無いとね」 「うん、私、階段好きだよ」 「そう?」 「うん、何かあると思うとワクワクするから」 「じゃあ、私は気合を入れないとね」 「お母さん?」 「行くわよ」 「うん」 階段を上がる足音が響く。 1段、2段、3段、・・・。 気がついた時には4階に着いていた。 「優木春菜さんですね。入学おめでとうございます。 こちらが教材になるので、お持ち下さい」 女の人だ。 この人も先生なのかな?。 「ありがとうございます。春菜、行くわよ」 お母さんは教材を受け取るとその場を立ち去ろうとしていた。 「お母さん、待って。私も持ちたい」 「そう?、じゃあ、半分ずつね」 「うん」 持って来た鞄にお母さんが教材を入れてくれた。 何が書かれているのかな。 少し重たいけど、大丈夫。 「行くわよ」 「は〜い」 楽しみだな、明日からの授業。 本田隼人君にも会える。 本当に楽しみ。 早く明日になあれ。 P8へつづく。 ブログTOPに入口があります
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