白鳥イチゴ

イチゴの育種を通して、日本の農業の今後を想う

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第10回目は寡日照下の着色について。

促成イチゴ栽培の大きな課題として、寡日照下での着色不良がある。
暖冬や日照量の多い年には問題にならないが、何年かに一度、この問題に必ず遭遇する。
緩やかな西高東低型の気圧配置が長く居座った今年の1月がそうであった。
主だった促成品種で着色不良や不受精の果果が軒並み出現した。

幸いにも、そのような寡日照下でも当系統は着色性で劣らなかった。
隣の対照品種の色乗りがいまいちの時でも、果面全体が明るい赤色であった。

しかし、このような寡日照下で色づきのよい品種は、
日照量の多い春季から初夏にかけて反対に暗赤色になりやすい。

イチゴの発色過程には気温や紫外線が関係しており、
気温が高く、紫外線量の多い春季には発色量が増し、
外観的には成熟時に暗赤色になりやすい。
そして、店頭では過熟になった、古い果実と勘違いされることになる。
過熟を避けるために若どりすると、食味が大幅に落ちることになる。

ところが、本系統の果実色調は初夏でも暗くならないことを昨年の選抜時に確認した。
つまり、季節的な日照変動下で色調は変わりにくく、明るい赤色(鮮赤色)となる。

いつ馬脚を現すかと冷や冷やしながら観察している時、
このような望外なラッキーに出くわすと、急に元気を取り戻すことができる。
開発的な仕事は、結論が出るまでいつもこの繰り返し。


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