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森林資源(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
世界の森林資源(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
森林資源の現況とその有する意義とはつねに変化してきた。これは世界を通じての事実である。前史時代および初期歴史時代に森林は現時よりも広大な面積を占めていた。ヨーロッパでは原姶時代の森林面積に比し現在は三分の一に減少している。殊にイギリスは原姶林時代の95%が無くなった。スペイン.イタリー,ギリシャの森林は10%だけが残されたと推定される。アジアでは支部の森林面積の減少がまた顕著である。
現在の森林がその外観,構成,分布その他の特質において継続的に変化しつつあることは明白であって,この変化は今後もつづけられるであろう。森林資源は更新のできる資源であるとともに,極めて破壊され易い資源であるからである。
世界の森林面積は生産的林地についてみると18億haあって,世界面積の12%にあたる。しかし,このうちの半分近くは未利用林であって現在利用されている面積は11億haである。世界人口の1人あたりにすると利用林は0.5haとなる。
●世界の森林資源 森林構成
世界森林面積の計広別梅成は推定によると次の如くである。
針葉樹林 12,8800万ha 33%
広葉樹林 26,2700万ha 67%
計 39,1500万ha 100%
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上表によれば,広葉樹林が針葉樹林より多いが,殊に全林他の二分の一は熱帯広葉樹林であると推定されている。
なお樹木生育限界の外に植物の生育しない恒常凍結地帯と蘇苔・羊歯・潅木・湿地植物等の生育するツンドラ帯(寒冷気候帯)があるが,これらは生産林地となる能力を欠く。
●世界の森林資源 不均衡な森林分布(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
世界森林面積の分布が不均衡なことは周知の事実である。例えばこれを大陸別にみると,全森林面積に対し南アメリカは25・5%,アジア(ソ連を除く)は13.4%を占めているが、これを人口1人当りにするとク南アメリカは5・5haにも及ぶのにアジアは0・4haに過ぎない。
世界の森林資源 森林面積(大陸別)
アジア(ソ連領をのぞく)13,4%
ヨーロッパとソ連領 27,9%
北アメリカ 19,4%
南アメリカ 25,5%
アフリカ 11,8%
オセアニア 2,0%
計 100,0%.
●世界の森林資源 世界の森林面硬に対する%(国別)
ソ連 19
カナダ 9
ブラジル 12
アメガカ合衆国 8
計 48
国別に森林面積の分布をみると,林地はソ連,ブラジル,カナダ,アメリカ合衆国に集中し,これらの国で世界森林の5割を占めている。世界の森林面積の残る5割が釦余の諸国に分割されている。
世界の建築および工業原料資源としての針葉樹林の95%と温帯広葉樹の90%とが北半球の温帯に存在すること,ならびに森林の広大な面積が粗悪林柏であり,またさらに巨大な面積が今後の相当期間にわたって開発できぬ山奥に存在していることは,森林分布の不均衡を経済的に一層鋭くしている。
●森林の所有関係(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
森林の所有関係は国によって相違する。国有林・州有林・町村有林のように政府または公共団体の所有に属するものを公共有とし,個人あるいは会社に属するものを私有林として区分すると第6表の如くである。
林業経営の優れた国は,林他の相当部分が何等かの形で公共有に属している国々に見られることは一般に承認されている。しかし,公共有の占める割合が大なるに拘らず、林業経営が極めて低級かあるいは殆んど存在しない国もある。植民地的国々にこれらがみられる。他方公共有が少ないに拘らず,スウェーデンやオーストリアのように林業が高度に発達している国もある。
●森林の所有関係 木材需要(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
第2次世界大戦直前の全世界の木材消費量はおよそ15億㎥といわれた。そのうち用材の消費量はなかばよりすこし少く,燃材向けの消費が半分よりすこし多いと推定される。
一人あたりの木材消費量をみると,戦前にヨーロッパでは1,0㎥,北アメリカでは2,7㎥であつた。ほぼ同じ気候状態のもとに同じ程度の工業化されや諸国での一人あたりの消費量はおよそこの数字の問にある。ところがアジアの人口密度の高い地方の消費量は0,3㎥にしか達しない。伐採量は北米の伐採量が最も多い。世界の針葉樹の3大資源地帯といわれる北アメリカ,ソビィェトロシア領、ヨーロッパ北部のうちで,北米の伐採量が際立って多量であって,これが北米の莫大な木材消費を賄っているのである。
世界の森林資源の現実の成長量に比して,世界の年伐量は過大である。それは森林の大きな部分が未開発林であったり,荒廃林地であったりして、経済林の面積が三分の一程度にすぎないからである。
甚だ困難なことではあるが、合理的な良好な経営をするならば,現在の経済林の針葉樹の生産力は12億㎥にのぼすことができ,これに未開発林から6億㎥の生産を期待すればタ現在の生産力の2・5倍となり、世界の木材需要は保証されるといわれる。
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