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●日本の森林資源 所有種別(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
林業においては国家または地方公共団体の経営に属する公企業が民間私企業と併存しており,林業の特異点の一つをなしている。国家の発展と産業との関係をみるのに,その初期においては国営の産業が相当に重要な地位を占め,民業の発達につれて国営は順次にその席をゆずってゆくのを普通としている。わが上古の歴史をみても,工業・商業あるいは大陸との貿易などが,朝廷あるいは貴族の需要を充たすために,直営または強力管理の下におかれていた。近くは明治初期の工業の扶植発展も政府の直営でおこなわれた。だが,その多くはすでに民業に委譲された。しかし林業では公企業は現在も今後も安定した所有形態である。
所有種別を面積についてみると,その%は,国有林32%フ公有林17%,社寺有林1%,私有林50%である。公有林が公共経営であることに立脚して公共林業と私林業とに分別すると,両者が相半ばする。公有林を私有林とともに民有林とする分類方法(わが国の統計はこれによる)にしたがえば,国有の三分の一に対し民有が三分の二となる。国有林は北海道と東北地方に多く,中国と近畿に少く,その対照は著しいものがある。他面,私有林は北海道と東北地方にすくない。公有林は中部,近畿,中国に比較的多い。
次に所有種別を林木蓄積についてみると,その%は面積比率におけるよりも国有林の地位が高く,国有林55%,公有林13%,社寺有林1%,私有林32%となる。国有林の蓄積が多いことは老齢大径木の多いことと奥地原生林の存在とに原因している。ゆえにこのことは同時にまた国有林が品質的に優良木を有っているということになるが,その反面において搬出不便であるから,経済的価値は必ずしも蓄積量に比例するというのではない。
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