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日本の森林資源 造林(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
造林はその方法を大別して,人工造林と天然造林とする。人工造林は,
(1)苗木を養成してこれを林地に植付ける人工植林
(2)種子を人手で林地に播種して森林を仕立てる播種造林
(3)挿穂を林地に直挿する挿木造林
の3種がある。そのうち,わが国では人工植栽が最も普通の方法である。
天然造林は主として自然の森林更新能力を利用し,これに補助作業を加えるものである。森林内の母樹から種子が落ちて自ら発芽する場合もあれば,伐採された根株から萌芽して成立することもある。これに人力を加えて生育の環境音改良し,稚樹および粛芽を迅速に且つ確実に生育せしめるように助成するのが天然造林である。天然造林は周密な技術的計画と補助作業によるものと,天然造林とはいうものの自然放置と相選ばない程度の粗放なものとがある。結局、造林事業の趨勢は人工造林の消長に反映されている。わが国の人工造林は地域的にはすでに徳川時代初期からおこなわれているが、汎くおこなわれるようになったのは,日露戦争の時からである。その頃に,国が国有無立木地に大規模の人工造林に着手したことが動機となって民間造林も発展した。
人工造林の樹種別をみると,針葉樹が大部分を占め、広葉樹は僅少である。針葉樹のうちではスギが最も多くて約半分を占め,これについでヒノキ・マツの順であり,遥かに下ってカラマツとなる。広葉樹ではクヌギが2/3であって、これに次ぐクリ・ケヤキ・クスなどは極めて少ない。
人工造林面積は大正から昭和を通じて10万町歩を上下していたが、太平洋戦争中は増加して20万町歩を超えた。しかしこの期間は伐採が非常に多かつたことを思うと,植伐の均衡は造林が著しく不足している。
支那事変から太平洋戦争終戦までの戦争期間中の伐採跡で,造林未済の面積の累計は130万町歩と推定され、戦争中の森林荒廃の一面を示すのである。戦後,昭和25年から人工造林が増加して、造林未済地の解消の曙光の見えてきたのは喜ばしい。
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