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自由地下水とその利用
地下水 ㈱循環資源研究所 寄本勝美氏編集 村田徳治氏著 ぎょうせい(一部加筆)
沖積層、台地を形成している洪積層、丘陵をつくっている第三紀層等の地下の浅いところには、天水が直接浸透したり、川の水が浸透した地下水が存在している。地下に浸透した天水は、重力によって次第に深部へと降下し、通常、地下10〜20mに存在する難透水層の上にたまる。地表から一番浅いところに存在する泥・粘土・粘土質砂煙層等からなる難透水層の上部に砂・砂煙等からなる透水層が存在し、その透水層に貯留されている地下水を自由地下水あるいは不圧地下水と呼んでいる。自由地下水は、天水の供給によってその水量が変化するため、地下水の水面(地下水面)も上下する。また、難透水層には、不規則な凹凸があり、そのため難透水層の起伏により地下水面も変化する。地下水面が3〜4m程度の関東ローム層では、30mm以上連続して雨が降らないと、地下浸透して地下水として貯留されないといわれている。
人類は浅井戸を振り、この第一難透水層上の自由地下水を古くから利用しており、現在でも家庭で使用している井戸水のほとんどは、自由地下水である。上水道水源や工場用に自由地下水を利用する場合には、直径3m以上のコンクリート枠を沈下させてつくった浅井戸が用いられており、川のほとりや特殊な地下水脈を利用する場合には、一つの井戸で日量1000〜3000㎥程度の地下水を汲み揚げることができる。これらの浅井戸は手振りで、井底から水が湧き出す。
大量に自由地下水を揚水するために、コンクリート製井筒の側壁から、細孔が多数穿孔されている細いパイプをタコの足のようにつきだして、井底のみでなく、周辺から広く集水する井戸がつくられている。この井戸は、我が国の地下水工学の権威であった清水本之助博士が、戦前、水の乏しい満州(現、中国東北部)で大量取水できる浅井戸として開発したもので、満州井戸と呼ばれている。この満州井戸は自由地下水を取水するため、地盤沈下を引き起さないということで、四日市市の上水道水源の一つである河原田水源池、山形県東根市の上水道水源、その後神奈川県座間市・東京都三鷹市などに建設された。
満州井戸は、図2に示すように帯水砂理層の中に沈下させた鉄筋コンクリート製井筒(内径5〜6m・深さ10〜20m)の壁面から多孔集水鋼管(長さ10〜20m)を帯水妙理層中に水平放射状に突出した構造をしている。多孔集水鋼管の突出により井戸の直径を25〜35mの超大型井戸に拡大したと同じ効果があり、帯水地層に配置した多数の多孔集水鋼管によって地下水の流入速度を微速に保持することができ、周辺の帯水地層の圧密を防ぐことができる。このため井戸の宿命的欠陥ともいえる井戸損失水頭の発生を防止できる。
また、わずかな水位降下高(2〜4m)で、日量1万〜3万もの大量取水ができる。
ヨーロッパでは、ライン川をはじめとする河川の水を利用するためにバンク・フィルトレーションという自由地下水利用技術が採用されている。図3に示すように河川の近くに浅井戸を掘り、川床から浸透してくる水を揚水する方法である。ライン川における地下水利用は、河川から浸透してくる地下水を揚水し、凝集沈澱・急速濾過・活性炭吸着・緩速濾過した水を再び地下に浸透させ、それを再び揚水して塩素滅菌した後、上水道として給水する。この方法は土中の微生物による有機物の分解や土による無機物の吸着による水質浄化をするものである。
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白州の天然水と地下水
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