サブやんの気まぐれ調査研究

日本の里山は崩壊します。守るのは私たちです。行政主導の時代は終わり新たな取り組みが求められています。

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世界中を汚染した放射能 チェルノブイリ原発事故
 
(『地球環境が危ない』増田善信氏著 発行者 山本功氏 新日本出版社発行1990:4:20)
 
 チェルノブイリ原発事故は、このように発電所周辺に重大な被害を与えただけでなく、放射能を全世界にまき散らした。放射能雲は、その時どきの風に運ばれてヨーロッパ全域を汚染し、さらにその一部は偏西風にのって東に流され、日本の上にもやってきた。図38(略)は1996年5月から六月にかけて、つくば市にある気象研究所で観測した、チェルノブイリ原発事故に起因した放射能の濃度の変化を示したものである。観測した放射性物質は、雨などにあまり影響されないルテニウム103という元素である。この図から、放射能を含んだチリは、5月3日にはじめて日本の上空に達し、じょじょに強さを増して、5月9にピークに達し、それ以後一度減少し、再びじょじょに増加して5月26日に第二のピークを示し、それ以後急速に減少していることがわかる。第二のピークはおそらく地球を一周してきたもので、薄れながらも、塊りになって地球の周りを二回はまわっていたことが推測される。
 気象研究所の青山道夫ら(1997)の調査によると、1987年5月の一ヶ月のセシウム137の蓄積量は一平方メートル当たり129・8ベクレルで、これは大気中の核実験がもっとも頻繁に行われた1963年五月の値とほぼ匹敵するものであった。事故直後には日本にまでかなり高濃度の放射性物質が流れてきたことがうかがえる。ただし、日本でのチェルノブイリの事放によるセシウム137の蓄積量は、1960年から82年までの核実験による蓄積量の1・6〜4・3パーセントで、なんといっても長期的にみると、核実験による放射能汚染の彭響か大きいことがわかる。
 気象研究所の木村富士男・吉川友章は、チェルノブイリ原発の事放による放射性物質がどのように地球規模にまで拡散していったかを、数値シミュレーションの方法で調べた(『気象集結』六六巻第三号、1988年、499ページ)。
彼らは気象庁が日常使っている予報モデルを用いてまず風の場を予報し、次いでこの風の場を使って、放射性物質がどのようにして広がっていったかを求めたのである。ただし、二週間もの先が予報できるほど、今の予報モデルの精度は良くないので、二日ごとに実測の風の場におき直して、予報する方法を採用した。この種の問題では、どれだけの放射性物質が放出されたか、放射性核種は何で、全体の減衰率はいくらかなどを正確に知る必要がある。しかし、これは不可能に近いので、一個の粒子は五〇〇〇キュリーの放射能を帯びていると仮定し、図37(略)の放出放射能を与える数の粒子を追跡した。ただし、二週間くらいの間は放射能の減衰はないと仮定した。このような仮定をすると追跡する粒子の数はおよそ1万個になった。この粒子が図37(略)の放出量に比例して原発から放出され、その粒子は高度500メートルから1000メートルの間に一様に分布するものと仮定した。
 図39(略)はこのような仮定のもとで追跡した粒子を地表面に投影したときの分布図である。事故から約1日後の27日の0時(グリニッチ時)には、放射能を帯びた雲は北北西に移動している。これは26日には地表付近の風が南南西から吹いていたためである。次の日にはバルト海を越えてフィンランドとスウェーデンに達した。ソ連が事故を発表する以前にスウェーデンが、ソ道の原発事故を発表したのは、スウェーデンでこの放射能雲を観測したからである。 
29日にはフィンランドの上の放射能雲の一部は強い偏西風に流されて束の方に移動している。一方、原発の南南西にも放射能書が広がりはしめた。これは28日に風の方向が変わったからで、主として28日に放出された放射性物質が南南西に流されたからである。
 翌30日になると、北の部分はさらに東に流され、5月1日○時にはバイカル湖の上を通過した。一方、南の部分も早い速度で移動を開始し、これもまたシベリアを越えて東に向かった。これら放射能書を東に移動させた強い偏西風は、26日から28日にかけてシベリアの北西部にあった強い低気圧にともなうものであった。この低気圧はその後シベリアの北を通って東に移動し、5月1日にはシベリア東部で南東に方向を変え、サハリンと北海道付近を通過して5月3日には太平洋に達した。この低気圧の西の部分の北西の風で、放射能書は南に流され、5月2日に朝鮮半島に、5月3日には日本に達した。これが図38で示した5月3日に日本ではじめて放射能が観測されたものである。しかし、東に移動した放射能書は少量で、大部分は長期間ヨーロッパを覆い、ヨーロッパ中を汚染した。
 チェルノブイリ原発事放でとくに深刻だったのは放射能による食物汚染であった。野菜が汚染されただけでなく、牛乳が汚染され、赤ん坊をもった母親はパニックにおちいった。ソ連各地で牛乳中に含まれたョード131を調べたところ、ウクライナや白ロシアなどでは、ソ連政府の定めた規制値より100倍も高い放射能が含まれていた。政府はすべての子供の施設にヨード剤を配り、汚染した牛乳の摂取制限をした。ラプランド地方ではトナカイが食べる苔が汚染されたため、トナカイの肉が汚染され大問題になった。ギリシャではパニック状態が発生し、2500余人の妊婦が人口中絶をしていたとさえいわれている(野口邦和「出生数に見るチェルノブイリ原発事故の影響」『日本の科学者』 一九八八年四月号、三六ページ)。

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