鹿=●
私=○
○ーあれ!ここの桧林はおかしいぞ。
−こんな桧の皮の剥け方は、これまで見たことがない。
(桧林の中に入る)
●ーおじさん、こんにちは。
−何しにきたの。
●ーいいかげんにしろ。
−お前たちが皮を剥いた桧は、枯れて成長しないんだ。
−他にも食べる木はあるだろう。
−桧の間の雑木や雑草を食べてくれ。
○ーおじさん。私たちは人間が私たちのために植えてくれたと思っていた。
●ーそんなわけはないだろう。
−この様な森にするには、多くの税金が使われているんだよ。
○ーそれは人間の勝手でしょう。
−この地域はもともと私たちの生活の場なのです。
−そこに私たちの断りもなく植林してしまって。
○ー私たちも今食べるものがなくて困っているのです。
ー森の中に私たちの食べるものがなくなってきているのです。
−おじいさんに聞いたら、昔は人が山に入ってきれいにしていたので、春のなると若芽がでて、それが私たちの家族や仲間の食べ物になっていたって。
●ー昔はむかし。今は今。
−こんな処を県民が見たら、怒って投書がくる。
−理由はいいから、もうやめてくれ。
○ーお前たちがこれ以上、桧を食うのならこちらにも考えがある。
●ーおじさん、それは私たちを殺すということ。
−もうだいぶ撃たれて、私のおじさんやおばさんも撃たれてしまった。
−最近では、その私たち鹿仲間を殺して、レストランで食べる計画があるとういうではありませんか。
○ーそれはお役人の考えることで、おじさんたちは知らない。
ーただお前たちの生かして置ける頭数があって、それを越すと殺していいんだ。
−殺した鹿、桧の甘皮を食べた鹿は特においしいのかも知れない。
−とにかく、植林した桧は傷つけないでおくれ。
●ーおじさん、私たちを殺さないで。
−私たちにも生きる権利があるんです。
−私たちはどこで生活すればいいんですか。
−最近では里山もどんどん伐採され、荒野のようになり、そこへ桧を植え、生活の場を奪う。
−おじさんたちも、私たちが生きる場所をつくっれください。
−私たちはもともと人と一緒に生活をしていたではありませんか。
○ーごめんな。おじさんいはもうわからない。
−林野庁といって、頭のいいおじさんたちがたくさんいるから聞いてくれ。
−集団になって農林水産大臣とも話し合ってくれ。
−今なら福田総理の支持率も下がっているから、案外聞いてくれるかも知れんぞ。
●ー環境庁もいいぞ。
−固体という言葉も訂正してもらえ。
○ーおじさん、私たちの先祖は春日大社の神の使いとして、多くの人に親しまれ、今でも多少いざこざがあっても奈良公園でも人とともに生きています。
ーおじさん、私たちの生きる場所をつくってください。
●ーおじさんたちは、ただ森や林を守るためにがんばっているんだ。
−鹿だって好きだよ。
−ここに天然林を伐って、桧の植林などしたくないんだ。
○ーおじさん。お母さんたちが呼んでいるの行くよ。
−今度はお父さんやお母さんも仲間も連れてくるんで、お願いします。
−さようなら。さようなら
●ーごめんな。何もしてやれなくて
<鹿は森の中に消えていった。この森は再生できない。植え替えることが懸命であり、無闇に手を加えることは税金の無駄使いであり、伐採したらそのまま放置して自然の力に委ねることが賢明と思われる>
このシリーズは続編があります。(後日)
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