
<参考資料>国有林の販売
『森林破壊と地球環境』大石真人(おおいしまひと)氏著
「我が国は経済大国となった現在でも、国土の67%の森林を維持している。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でGDP(国民総収入、名目)が一兆ドル以上の国(1993年)は、わが国を含め、米国、ドイツ、フランスの四国であるが、わが国を除く12か国の国と面積に占める森林面積が垢おむね30%以下となっていることを対比させて見ると、わが国の森林率が先進国の中でも異例の高さとなっていることがわかる。その要因としては、国土の背稜部が開発困難な急峡な山地で占められていること、森林の発生に最適な温帯モンスーン気候に属していること、水の確保等の面で森林との「共生」を必要とする水田稲作農業が広く展開されて来たことなどが考えられる。
これらの要因に加え、わが国は古くから森林や木材との密接なかかわりの中で、優れた森林文化を育み、明治以降も近代的な技術、制度等をとりこんで、その新たな展開をはかったことも無視出来ない。しかしながら、森林文化の一番の担い手であり、森林の整備、管理を担って来た林業や林業と結びつきながら発展した来た木材産業は、現在、円高の進行に伴う外材輸入の増大、木材価格の低迷等により困難な状況に直面している。
これに伴い、それぞれの時代と状況に応じて森林文化の展開と、その世の中に対する発信の場となって来た山村の活力も低下している。こうした状況が続けば、わが国のすぐれた森林文化の継承が困難になるだけでなく、森林文化の展開を通じ、確保されて来た森林の持った恩恵や効用を享受し統けることが困難となることが危倶される。」
筆者からすればかえりみて他を見るように思われるが、そのあとで同白書は、内地のスギ原木の立木価格がほとんど変りないのに、昭和40年を100とした場合、伐出賃金は520、造林費は929で、林業労働者の後継も何にもほとんどないという、絶望的な数字を並べている。
続けて森林回復への取り組みについても記しているが、各地方の取組についても、きわめて象徴的であり、少なくとも採算のとれる林業回復、森林復興案は発表されていない。かえって森林を潰して、レジャーランドや温泉開発をするなどの考えが先行し、これでは森林破壊が深まるばかりである。
わが国には、森林面積の約三分の一の国有林と、約三分の二の民有林があり、森林蓄積量からいえば、拾猪むね4,5対5,5位である。
国有林は従来二種類あった。明治維新以後のことであるが、徳川幕府を中心とした武家族の持っていたものを国有とし、これを国有林とし、天皇一家の所有としてたものを皇室御用林といっていた。戦前までに青森だとか、木曽だとかに国有林と御用林の営林局が別tあり、営林署も別だった(ただ山梨県は貧困な県ということで、明治天皇が特別に同県へ県有林として下賜したので、山梨県のみは、異例に県有林が多い)。
また木曽は長野営林局管内であるが、いまも名古屋営林局管内の白鳥貯木場で貯材され、公売に付されるのは、木曽が尾張の徳川家の領地(天領という)であったためで、業界では木曽材のことをいまでも尾州材という。
これらの国有林材は林野庁の手によって、「特別全計事業」と名付けられて、一部の立木販売を含むが、多く営林局署の職員によって原木に加工せられ、各営林署の置場(営林署の近くや山中の広場にあり、いずれも土場といい、後者を山元土場という)に置いて、原則的に公開公売される。
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