
海岸の岸壁にへばりつくような黒松や、防砂林の海風によって一方向に傾いた松林など松の強さとその山水画に似た景観は大きな日本の財産です。
また富山県の散居に見られるように、家屋周囲の小さな森はそのこに住む人々にとって樹木や竹と日常茶飯事の付き合いが存在したものです。
そして日本風景の原点というべきこの松群が虫害や自然枯れなどで、里や森林に深刻な問題を呈しています。
この虫害は、マツノマダラカミキリ虫の体内に居るマツノザイ線虫がカミキリ虫の口から噛んだ葉の中へ侵入し、養分を供給する細胞を食い尽くしていきます。やがて松は葉から枯れ始めて、やがて幹から根っこ部分にも侵攻して、やがて松は根をつけたまま倒壊します。重さ1〜3トンもある松が倒れるさまは恐ろしい限りです。
この対策には虫害にかかった松の伐採と薬剤処理(薬剤塗布・薫蒸処理)されます。この薬剤処理は林野庁の施策でもありますが、残された薬剤の地下浸透などその与える影響は定かではありません。
また持ち出す費用はないから、塗布後はその場に放置されている光景もよく目にします。あまり大量に薬剤を使用すると、その土地利用にも一抹の不安がのこります。
よく観光地で目にするのが、保全より観光目的の整備が目立ち、これが原因で枯れる場合もあります。
特に指定記念物になると早急の対策が遅れ、結果的に枯れたり腐ったりする原因となります。
樹木は永遠に生きるものでなく、自然に息絶えるもののありますが、最近では人為的な行為で枯れる場合も目立っています。
中には利用するだけで保全育成がまったく見られない史跡もあります。
ここに掲げた名松「舞鶴の松」も寿命ではなく周囲の観光施行なども起因しています。
カミキリムシが噛んだ箇所が発見されたのは二年前の春ころ、一部に変色枯れが確認できました。これまでも多額な保全事業が展開されましたが、そそれもすべて適切であったとは考えられません。
観光地はその地域には必要ですが、人間は自然を利用だけして自愛と育成への関与は日ごとに薄くなっていきます。利用型の観光は将来が見えず、共生型の観光のあるべき姿を構築する必要があります。「使い捨て観光」のつけがこの名松も現れたとも考えられます。
最近では長期滞在型の観光など称して、安易なとってつけたような観光施策が目立っています。腰をすえ将来を見据えた自然観光のあり方が山梨県に問われています。
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