
私の参考書の中に「史蹟名勝天然記念物」のほかに、郷土と民族を取り計らった「民間伝承」がある。これを読めば全国津々浦々のことが理解できる。
この本はかの有名な柳田国男先生も関与しているもので、山梨県から多数のかたがたが執筆している。特に山梨県を代表する土橋里木氏の熱筆も多く掲載されている。
つい忘れがちな私たちの先人の生き様と工夫こそ信仰に裏付けられた日本人の大切なものではなかったのか。
すっかり忘れ去り、放置された山村に新たな組織が官庁のバックアップで参入して、多くの民間伝承を駆逐していく。中にはそれこそ地域再生に取り組んでいるものもあるが、それは希薄である。
しかし先人や歴史が刻んできた農村景観や山村景観を、自ら破壊していく農林水産省の犯した罪は大きい。
画一的な田圃造成工事、多くの遺跡を破壊して作られた田畑から何が生産できるのであろうか。
私は二年間にわたって、壊されていく遺跡や遺構を追い続けたことがる。ある知人の考古学者が、「山梨県は大きな遺産を消失した。この地域は古代から中世近世の歴史が眠っている」との言葉が今でも心に残る。
その有名な先生は早速山梨県の関係者に連絡して関係者が見に来たが、破壊された遺跡を目の前にして口を噤んだ。
それからも工事優先現場の重機爪の間に、縄文土器が窮屈そうに挟まっている現場を見る。
もっと情けない話であるが、電柱敷設工事で標高1000mくらいの場所を掘削したら地中2mと思われる位置から、縄文土器が続々出てきた。連絡があって出かけてみたが、
私にはどうすることもできなく、黙視した。
現在民有林が次から次に開発伐採されている。掘り起こされた根の隙間に弥生時代の土器がうずくまっていた。遺跡調査地図にない場所だ。
林政には古代遺物に対する処方箋は無い。そこに日本遺産が眠っていても。
さて「民間伝承」より山村の女性についての記述を掲示する。土橋先生の筆による。
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