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日本の森林資源 木材需給と森林資源との関係(『林業概論』 島田錦蔵氏著 昭和32年)
林産物の需給と森林資源の分布との関係を分析してみると,用材では,生産地帯は東北区と四国区,消費地帯は関東区,中部区,近畿区となり,中国区は僅かに生産超過、九州区は僅かに消費超過区である。木炭では,関東区と近畿区だけが消費地帯で,他は生産地帯に属し,なかんずく東北区が顕著である。しかし概していうと,生産地と消費地との疎隔は、ソ連やアメリカにおけるほど顕著ではない。
資源の分布が条件に高まれているのは、思うにこれは日本の気候が温暖多雨であって,各地とも林木の生育が良好であり,寡雨乾燥による砂漠地帯や草原地帯のごときを欠くからであろう。しかし林木蓄積量は乏しくて,1町歩あたり平均280石に過ぎないのである。
これは一方に蓄積量に富む原始林の減少を意味し,他方に一般森林の過伐濫伐を示すものであって,将来の林産物の供給量の低減が憂えられるとともに,治水上に及ぼす悪影響が近年明白に観取されるに至っているのである。現在の林業の課題は、
従来の林野面積率の名目そのものの実質的な改善向上,すなわち樹種の改良,林椙の改善に指向するのである。ここにこそ
日本の国民文化の繁栄に寄与する林業の使命が存する。
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