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明野処分場の経営安定化・正常化の方策はあるのか
この問題は単純のようで複雑であり、県民や地域住民にどのように説明し、しかも確実な解決策を明示することができるか、至難の溝に落ち込んでいる。今更県行政を非難しても何の解決策も見ない。今回の問題はこれまでの結果から当然のことで、完成まで形振り構わず進んできた行政の責任である。県はどんなことがあっても補填に県費導入は避け無ければならない。
今回の県環境整備事業団の経営審査委員会の報告や指摘は全てではない。一例であることを念頭にして議するべき問題である。収支計画を検証していたのであって、その間に起こる環境的な問題ついてはまったく触れていない。県民や住民が一番心配しているのはそれである。明野町は山梨県の有数の野菜栽培地化が加速していて、直売や多方面に研究開発や地域住民の農業に対する意識改革も進んでいる。しかしその農業立地条件は環境の保全と維持であり、明野最終処分場はイメージばかりでなく相反する対照的な存在だ。
山梨県は今回のことを契機に徹底的に改善すべきであり、それには徹底した自力の調査検証が求められる。
視点を変えれば山梨県の林政・森林絡みの粗大残物は多く、観光地には多くの生活ゴミも増加している。市町村や県や業が行っている回収以外のゴミ処理も今後の山梨を考えると不安になる。特に長期化した切捨て間伐材や、森林事業の腐木柵の処理や事業地の放置木材も災害面からは今後大きな問題となる。また残留薬剤を含む大量の赤松処理残材もその量は天文学的な数字で、このまま増加すれば大きな環境・公害問題にも成り得る案件である。
現在山梨県が実施しているまたは実施しようとしている事業などへの意見提言参加などへの狭義の意見集約は危険であり、それが今回のような事案を起す。森林環境税などが好例である。明野処分場問題が解決することが今後の山梨県の方向を示すことになる。
「建設ありき」の検証が先だ 明野処分場 延長論(山梨日日新聞 2009・11・21記事「論説」)
北杜市最終処分明野町浅尾への廃棄物場の整備について、県は「喫緊の課題」と言い続けてきたのに、1日当たりの搬入量はわずか5・1%。1日料金収入も計画の4・4%に低迷し、「1800万円の黒字」と説明していた収支見込みは、逆に約35億円もの赤字になりそうだという。
言葉は悪いが、県民にしてみれば、詐欺にでも遭ったような気分だろう。景気悪化と重なり、産業界からの廃棄物排出景減っているとはいえ、計画との隔たりは度を超えている。
収支計画を検証していた県環境整備事業団の経営審査委員会は、5・5年と短い埋め立て期間設定や、管理型処分場でありながら一般廃棄物の焼却灰を受け入れないなど、過去の政策判断が経営に影響を与えていると指摘。改善策として、期間延長や焼却灰などの搬入を挙げた。《註----管理型処分場》
これを受け、横内正明知事は「県議会や県民の意見を聞きながら検討したい」と述べたが、「5・5年」「焼却灰除外」は地元理解を取り付けようと、10年以上も前に決めたことだ。それを見直さずに進めれば、採算面で無理が出そうなことや、家庭ごみを処理する市町村の需要に応えられないなど、問題が多いことは建設前から言われていた。
天野県政で計画し、継承した山本県政で着工したものだが、横内県政に転換した2007年2月の段階ではまだ本体工事が本格化する前だった。そのため県庁内でも慎重論が浮上し「事業の合理性や採算性を検証して正確なデータを得て判断しなければ『負の遺産』になりかねない」と漏らす幹部もいたほどだ。
その点をしっかり検証したのだろうか。本欄では先日、現在の収支計画は県内業者の委託処分量のほぼ全量が搬入されることを前提にした、甘いものであることを指摘した。経営審査委の報告書では「複数の処分ルートを確保するため明野処分場に搬入できるのは3分の1から2分の1という業者の声を載せ「全量搬入は不可能」としている。
こうした状況を、着工時や本体工事の段階で把握できなかったのか。景気要因はともかく、全量搬入など到底見込めないことを認識した上で、黒字となる計画を掲げて進めたとすれば、県民を欺いたと言われても仕方ない。また、把握が不十分だったとすれば、あまりにずさんだ。
どんなデータを基に、どこまで実情に即した経営見通しを立てていたか、説明が必要だろう。
経営審査委は「廃棄物の大部分を他県に持ち出している本県にとって必要不可欠な施設だとして、見直しを求めている。
処分場の必要性に異を唱えるつもりはない。だが、自県内処理のために「どんな処分場が必要か」ではなく「建設ありき」で進めた結果が、多額の赤字を県民の税金で補ったり、地元にさらなる負荷を押しつけたりしかねない状況につながったのではないか。
歴代知事や担当幹部の責任は重い。横内知事は会見で「私も含め関係した人々の責任はあると思う」と言及した。しかし「失政」の背景を検証しなければ、どんな見直しをするにしても、地元はもちろん多くの県民の理解は得られない。なし崩し的な
対応は、県の廃棄物行政への不信感を増幅する。
《註----管理型処分場》
管理型処分場 〔参考記事〕提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
低濃度の有害物質と生活環境項目の汚濁物質を発生させる、大部分の廃棄物に対し、安定化を図る。埋め立て後に次第に分解し、重金属やBOD成分、COD成分、窒素、酸・アルカリを含んだ浸出水が生じる。このため、ゴムシートなどによる遮水工と浸出水処理施設等が設置され、水質試験やモニタリングによって管理される。
降水は多くの場合そのまま受け入れるが、処分場周辺に降った雨が地表を流れる表流水は雨水排除施設で流れ込まないようにする。また、遮水工の劣化や破損による漏出を検知するための破損検知設備や、地下水位の上昇に備える地下水集排水設備など多重安全構造を組み込むのが望ましいとされる。埋め立て完了後、表面も遮水工で覆う場合もある。
現在は海面埋立地も、護岸と遮水工を布設して行う管理型処分場である(1973年(昭和48年)、東京湾中央防波堤内側埋立処分場が最初)。最終処分場の主目的である「安定化」を実施するのは、この管理型処分場である。
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