山梨県森林事情
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地球温暖化阻止へ、業界の取り組み
温暖化防止で注目高まる森林吸収機能
課題は伐採木材の取り扱い
(日刊木材新聞 平成22年1月6日記事)
鳩山首相が2020制度を構築し、少ない年度までにCO₂を25%%削減するという目標を発表したことで、暖化対策は今後、さらに強化されていくことは間違いなさそうだ。しかし、25%削減に向けた具体的な手法や、どの分野から何%ずつ削減していくかといった議論はこれからだ。森林整備の推進によりC0₂の吸収量を増やしていくためには気侯変動条約の枠組みのなかで評価方法を確立していくごとが求められる。また、住宅版エコポイントなど新たな制度を構築し、少ない予算で効果的にCO₂削減につなげられるような施策が求められ、太陽光発電への補助金への見直しが求められ、太陽光発電協会の業務運営費が高額なことが指摘されるなど、環境分野でも当然だが効率的な事業実施が必要になっている。
日本は京都議定書で掲げた90年比で温室効果ガス6%削減の公約達成に向けて、森林吸収によるもの3,8%を含めた目標設定を行っている。森林吸収源対策として、緊急間伐の実施や、次世代省エネ基準に適合した住宅の普及など、木材・建材業界にとって関連の深い分野への事業が強化されている。
森林吸収による温室効果ガスの削減については、09年12月にコペンハーゲンで開催されたCOP15で伐採木材(ハーベストウツドプロダクツHHWP)の取り扱いが注目された。第2約束期間での伐採木材の取り扱いによっては、木造建築を推進していくことが温暖化防止につながると期待されているからだ。しかし、COP15では伐採木材の取り扱いを含む森林経営の算定方法については意見収束はできなかった。
先進国の主張は森林経営が行われている森林(吸収・排出が計上される森林)から伐採される木材は、最終的に処分される段階で排出と計上し、紙などの短寿命の製品も対象とする。輸出を含めて国産材を対象とするというもの。埋め立てなどで処分される木材は、排出と評価するなど、カスケード的な利用を行った後は最終的にサーマルリサイクルとして利用するべきとの考えからだ。
ただ、こうした提案に対して途上国は、伐採木材の扱いは従来どおりとし、温室効果ガスの排出削減こそが大切との立場をとる。伐採木材の取り扱いを変更すると、それで削滅量を確保しようとして森林経営、施業のいると見られているという。
一方でツバルは附属書一国より厳しい内容で伐採木材の位置づけを提案。附属書一国は伐採木材の排出量のみを計上するべきとし、例外として認証された継続する。伐採木材だけを吸収扱いにするというもの。
森林認証は既存の制になるため、この扱いや生物多様性への配慮、合法木材、持続的森林経営、施業のモニタリングなど独自の指標で新たに制度を立ち上げて実施しようという内容。
COP15で合意に至らなかったことで、今年11〜12月の次回締約国会議に向けて検討を継続する。
伐採木材の取り扱いによって、今後の木造建築業界に大きな影響を与えることになるため、この扱いには業界としても多大な関心をもって行く必要がある。
温暖化防止へ(日刊木材新聞 平成22年1月6日記事)
今後の交渉となるが、日本が第2約東期間に国内の森林吸収で、どこまで認められるかがポイント。ただ、適切に管理された森林の木材を使用することが、混暖化防止貢献につながることが正当に評価されるよう業界を挙げて取り組んでいく必要がある。
温暖化防止に向けては住宅版エコポイント制度の創設や、太陽光発電システムの普及拡大、排出削減・吸収クレジット制度の創出など、木材、建材、住宅関係でも様々な分野で関連している。住宅版エコポイントでは気密・断熱サッシなどと、断熱材、コージェネシステムなど省エネ性能を高めた住宅とすることが求められてくると見られ、省エネ関連のビジネスチャンスが広がりそう。
具体的には太陽光発電システムは、09年11月から発電した電力の買い取り価格が2倍に引き上げられるといった促進策が取られ、市場は大きく動き出している。国内メーカーは増産対応を打ち出しているものの、「2カ月以上待たされる」というビルダーの話もあり、成長分野だけに供給はタイト化している。
太陽光発電が普及拡大していく過程で、住宅システムに組み込んでいる大手ハウスメーカーが優位になるとの見方もあり、工務店向けのルート販売で建材問屋などの流通が、どこまで太陽光発電システムを提供していけるかも問われそうだ。
「国内クレジット制度」など排出権取引市場が今後形成されることが期待されているが、現時点では末知数。京都議定書でのCDM(クリーン開発メカニズム)の国内版として整備されてきたもので、CDMが、先進国が途上国の排出量削減を支援して排出権を得るのと同様に、国内では大企業が中小企業の排出権削減を技術や資金で支援していこうというのが国内クレジット制度。
木質バイオマス関係では09年11月時点で10件の案件が承認申請されており、協同組合いわき材加エセンター勿来工揚における木材乾燥用重油ボイラーから木屑焚きポイラーへの転換による排出権削減事業が認証されている。こうした制度が活用されていくことで、木材産業に大企業の資金が流れていくことが期待される。国内クレジット制度だけでなく、環境省の「オフセツト・クレジツト」(JlVER)などもあり、適切な森林管理を行うことで環境価値を貨幣価値に転換できるものとして期待される。
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業界の取り組み 森林の役目
伐採木材評価の行方に注目
経済界も森林健全化へ動き
森林と木材製品重要性を周知させるべき(日刊木材新聞 2010 1・6の記事)
木材は重量の50%が炭素であり、大気中の二酸化炭素(CO₂)を炭素の形で貯蔵する特性がある.1立方㎡当たりで0・23トンの炭素を貯蔵するといわれ、木造住宅1棟で20立方メートルの木材を使用した揚合、4・6トンのC0₂由来の炭素を住宅内部に貯蔵することになる。
さらにこの木造住宅を建築するために伐採された森林に植林されることで立木がC0₂を吸収していく。仮に木造住宅も植林された森林も50年間は解体や伐採されなければ、森林と木造住宅に貯蔵されるC0₂は木造住宅10万棟でざっと2000万トン規模になる。
木造住宅にとどまらず、様々な建設資材を木材に置き換える。家具や住宅内装仕上げ、梱包や土木産業用などの分野でも木材を優先的に使用すればC0₂の貯蔵量はさらに拡犬する。様々な用途に使われた木材は廃棄後も焼却せず、各種木質ポード原料として再利用することで、炭素貯蔵期聞はさらに延長できる。木材需要の拡大に連動して森林の伐採や植林を適切に循環させれば森林は健全化し、C0₂吸収力も高まる。
この、伐採木材のC0₂貯蔵機能をどう評価すべきか。京都議定書において伐採木材のCO₂貯蔵効果は評価の対象とならなかったが、ポスト京都では重要な検討課題となっている。評価方法を巡って木材産地国と消費国などで意見が分かれており、国際的な合意が得られるか見通しづらい。COP15でも明確な方向性は打ち出し得なかった。
京都議定書では、伐採木材は中・長期的にC0₂貯蔵と排出が同量であるとみなすとした96年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の考え方が導入されたが、IPCC自身、第4次報告などで伐採木材に対する評価の必要について言及しており、今後の動向が注目されるところだ。
日本の森林は果たして十分なC02吸収機能を有しているのか。老齢森林は長い年月をかけたくさんのC0₂を貯蔵してきたとはいえ、樹齢とともに吸収機能はどんどん低下してくる。現在、日本各地で問題となっている放置森林もこれに近く、森林が適切にC0₂を吸収するには森林を手入れし、そして何よりも持統的な植林が必要となる。
京都議定書では伐採木材を考慮に入れなかったため、伐採しなければC0₂を排出したことにはならないとされたが、この考え方は健全な森林でなければC0₂を十分に吸収しないという現実が反映されていない。
多様な用途を木材に置き換える
健全な森林こそが増加する大気中のC0₂の重要な吸収源であり、そのためには伐採と森林再生を循環させることが最も重要である。こうした考え方は欧米では既に主流となっており、例えば木造公共建築物の優先的採
用はいくつかの国で制度化されている。
また、世界的な木造中高層建築に対する規制緩和も同じ考え方に基づく。欧米では木造5,6階建て建築物がかなり増加している。建築における環境評価という考え方、いわゆるライフサイクルアセスメント(LCA)では単に木造建築物のCO₂貯蔵効果だけでなく、建築材料の製造から廃棄に至る環境への影響、とりわけ製造時のCO₂排出という点で木材製品は金属製品に比べ圧倒的に少ないC02排出で生産できる点も評価されている。
言うまでもなく木材は森林という持続司能な資源を背景とする最も安定した産業資材である。環境の世紀と定義付けられる21世紀は、木材こそが人類の持続可能性を担保するといっても過言ではない。必要なことは森林の健全化であり、森林を健全な形で持続していくには積極的な木材製品の活用が重要になる。
化石燃料代替も木質バイオマスが最適
木材は単に建築材等で用いられるだけでなく、燃料としても今後、重要な位置づけを与えられる。穀物由来のバイオ燃料は広大な森林を切り開いて、そこに燃料用の畑を開発する必要がある。すなわち森林の滅失である。現在、世界各地の森林滅失の主な原因は農地への転換、宅地化、そして遼法伐採である。森林放置もこれに加えてよいかもしれない。
特に農地への転換は熱帯地域の天然林を著しく荒廃させてきた。
化石燃料に代わる燃料資源の開発は非常に重要なことであるが、代替するのは木質燃料でなければならない。燃料用資源は林地残材、製材や合板工場の廃材、さらに住宅等の解体材と幅広い。しかも穀物由来の燃料のように森林を滅失させる必要はなく、むしろ森林そのものを健全化し、森林の循環にも貢献する。現状はコスト面で転換が難しいと言われているが、公的助成で打開できることだ。実際に北欧では木材由来のバイオ燃料による暖房、さらに工場等へのエネルギー用に活用されている。
ここではコストうんぬんではなくエネルギー資源に対する根本的な考え方の変更が国民的なコンセンサスの下に実施されている。
日本でもカーボンオフセットの一環として、例えば木屑焚きボイラーへ転換した場合、公的助成が出されるようになったが、林地残材を安定して燃料設備のある場所まで搬出できるような工夫が必要と考えられる。
環境省はJ-VER制度を創設し、間伐推進型、持続可能な森林経営推進型、植林の3つを森林C0₂吸収を促進するプロジェクトであるとして、当該プロジェクトのCO₂吸収量を算定し、これを市揚流通型のクレジットとする取り組みを開始した現状は普及前の段階であるが、今後、全国森林組合連合会がプログラム認証する方式で各地に広がる可能性が出てきた。どの程度の
クレジット販売代金を取得できるか依然不透明だが、森林整傭の原資となれば、目下の閉塞的な状況を打開する一助になるかもしれない。
注目される次世代業システム
経済界も日本の森林健全化に動き出した。経済界の政策提言機構である日本プロジェクト産業協議会(三村夫会長―新日鉄会長)は今春をめどに、「次世代林業システム」の基本構想を取りまと提言すると表明した。
ここでは素材生産、木材製品製造寸流通、利用が一体となって全木材を00₂利用、特に国産材率を50%まで引き上げるというもので、森林の健全化と積極的な活用を経済界挙げて取り組めば、林産における大きなプロジェクトも登揚すると期待される。この協議会に加わっている大手商社トッゴは「経済界も、地球益という観点から森林保全に対して真剣に取り組む必要があるとの共通認識ができつつある」と語る。企業の森づくり運動などを通じて森林保全への関心が広範囲に高まってきたと考えられる。
京都銀行など地銀64行による「日本の森を守る地方銀行有志の会」(柏原康夫会長―京都銀行頭取)のような動きもこれまでは考えられなかったものだ。
森林と木材の活用こそが、地球温暖化阻止という人類の課題に対する最も有効な対策であるという認識は今後、一層明確なものとなっていくであろう。
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様変わりする林業マンの森林に対する意識
私たちの周囲にある森林についての知識は、常に官報により意識や知識を植え付けられてきている。特に恩森林や地域の財産森林は大きな様変わりを続け、現在では行政の一方的な事業が多く、県民や地域住民へのコンセンサスなど得られない中で急速に山地森林や自然への破壊とも等しい事業が今日も展開している。ここで山梨県林業の歴史を簡単に振り返ってみよう。
山はそこに存在する森林とともに山梨県民の財産であり、観光資源であり、災害予防や自然との共生などさまざまな要件を含んでいて、森林山地行政は農林水産省や林野庁の自由扱い物件ではないことは明白である。
しかし最近の林政は建前と本音の部分が余りにもかけ離れてきている。林政は県民の視野や意識から消えたところで展開している。現在の山梨県の森林山地事業の中で、県民の有益になるものがあるのか大きな疑問が残る。
林業(参考資料『日本の民族 山梨』土橋里木氏・大森義憲氏著 昭和49年)
入会山
山梨県は山国であるから、一歩山奥の村に入ると総面積の80パーセント以上が山林で、森林資源がその町村の経済を左右するという所が多い。しかし、これは官有地と民有地とをあわせての話で、明治初年までは、甲州の大部分の農民は、付近の入会山へ自由に入山し、草刈り、薪取り、炭焼きの原木などを採取することができたのである。
《民から官へ》
『山梨の百年』所収の「恩賜林」によると、地方長官(当時の藤村県令)の裁量によって、これまで村持ちの共有山であった山林原野が、官有地と民有地とに区別されることになり、明治14年に、入会山の99パーセントまでは官有地に帰した。
《御料地・荒廃森林へ》
そして皇室の財産をつくるために、明治22年9月、川梨県の広大な官有山林原野は、そのまま御料地に編人された。
こうして従来の入会慣行による伐採はいっさい認められず、一木一草たりとも払い下げによらなければ、これを得ることができなくなった。
もし無断で伐採すれば処刑されることになり、その払い下げ子続きの煩雑さと、いろいろの制限、あるいは払い下げ価格の問題などをめぐって、入会民は悩まされ、また抵抗した。そして庶民の愛林思想は喪失し、盗伐・濫伐・放火(山火事)などが
続いて起こり、入会山相の荒廃はなはだしく、入会御料地の合理的な経営は全く行き詰ってしまった。
恩賜林(県土の三分の一)
御料地の無償下付を受け、県みずから経営の実をあげたいという、山梨県議会からの請願もしばしば行われていたとき、明治末期(40年と42年)に両度の大水害が起こった。こうして、「水を治むるは山を治むるに在り」という世論が起こり、ついに明治44年11月11日、明治天皇の思召しをもって、山梨県下の御料地を県有財産として下賜されることとなった。これがすなわち「恩賜林」または「恩賜県有財産」というもので、実測の結果約16万4000ヘクタール、山梨県総面積の三分の一余りがそのまま県有財産として、県の経営にまかされたのである。
県の経営となってからは、樹齢や林相に応じ、また水陸害の原因とならぬよう、計画的に一部分ずつ民間に払い下げ、また順次植林・造林もしていった。楠樹については、俗に「尾根松、沢杉、平桧」といわれ、尾根の高所には松を、湿潤の谷沢には杉を、中腹の平には桧を植えることがよいとされた。例えば南巨摩郡富沢町などの林業組合は、桧七分に杉三分ということである。
林産物
《和紙》
山林業の一部としてカゾ(こうぞ・楮)、みつまた、椎茸等も栽培された。明治中期が最盛期で、楮は美濃紙、みつまたは半紙の原料となった。原木一五貫束三把で五貫匁(約19キログラム)の楮がとれた。
これを仲買人が買い集め、西八代椰市川大門町や南巨摩郡中富町西島の紙工場や、あるいは静岡県の製紙会社へ送られたが、大正期に洋紙の流行で、楴.みつまたの需要は止んだ。
《炭焼き》
炭焼きも盛んで、山梨県は有数の木炭生産地であった。しかし、現在はプロパンカス・石油ストーブ・電熱器等におされて、木炭の生産は激減し、どの山村へ行っても、炭焼きをする者は4〜5戸に過ぎず、それも自家用を焼くだけという状態である。
伐木の作法
そこかしこの山でチエーンソーが重いうなりをあげ、木々は非常な速皮で伐り倒されていく。現今の伐採人夫は革たる労力の提供者であって、杣人(そまびと)の作法など知っているはずがない。それでも、毎月の十七日は山の神の祭日だから、山に入ってはいけないくらいのことは知っている。
しかし、4〜50年前までのソーマ(杣人)ならば、伐木の作法を皆守ったものである。西八代郡上九一色村の例では、朝、ソーマが山の仕事場に着いて、その日の仕事にとりかかる時、先ず最初の立木一木を伐り倒すと、かたわらの若木一本を折り取って来て、その切株の裂け目へまっすぐに突き立てる。これは、倒した木の上に天狗様が遊んでいた場合には、立てた若木を代用として「この上で遊んでもらいたい」と願う意味である。これはソーマが最初に伐る木について行う儀式であるが、仕事始めだけでなく、その後も大木を伐る場合にはこの儀式を行ったという。
一の枝(力枝)が真東に向かって出ている木には、必ず天狗様がいると信じられ、用心深いソーマは伐木の際、いったん峰打ちをしてからおもむろに斧の刃をあてた。この峰打ちは樹上の天狗様に「「今伐るから退いてもらいたい」と予告するためだという。
ソーマが何人かで組を作って山を歩く際、その中には尺八の上手な者がいて、新しい山に入る時には、必ず尺八を一曲吹いてから入山した。山の神(天狗)は尺八の音色を好むからだという。
また、川の景勝の地に、トりイギ(鳥居木)と称して鳥租の柱のように二本並んで立っている木とか、四本柱といって四隅に四本並んで立っている木は神聖視して、杣人や炭焼きは伐るのを忌むという。
わが国古来の信仰では、樹木は神の依り代であった。民俗の方でも、年輪を重ねた樹木には、自然とそこに宿るものの存在を認めている。これを精ともいい、木にも霊魂があるものと想像して、多くの神樹霊木の伝説が生まれたのである。
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