新!サブやんの気まぐれ調査研究

サブやんの気まぐれ調査研究の続編です

私が学んだ著書・参考書

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 人間はどこへ行くのか
人類の誕生と文明の発達
<「子供と自然」河合雅雄氏著 岩波新書 1990発行>

人間は幸福を求める動物である。猫や犬も快適な環境を求めはするが、積極的に幸福を追求する行動をとることはない。長大な生物の進化史の中で営々として作られた生態系の、いわば予定調和のような均衡系の中で、すべての生物はあるがままの姿で暮らしているのである。もちろん、そこには見えない競争があり、ときには血みどろの闘争もある。食うものと食われるものとのはげしい争いの関係が、生物の世界の根底にはある。しかし一万、棲み分けという平和共存の方策も、その中から生み出され、生物世界を構築する原理として機能している。
 人間はいつごろから、積極的に幸福を追求しようとし始めたのか。それは長い人類史の中で、おそらくごく最近のことではないだろうか。人類がいつこの地球上に誕生したかは、定かでない。化石人類学や分子進化学などの最近の知見によれば、たぶん五〇〇万−六〇〇万年前に高等猿類から分かれ、ヒトとしての道を歩み始めたものと考えられる。初期人類の生活様式は狩猟採集であったが、約一万二〇〇〇年前に農業と牧畜という新しい生業が始まった。人類の歴史をかりに五〇〇万年とするならば、人類はそのうち約四九九万年は狩猟採集の生活を送ってきたのであって、農業と牧畜の生活はごく最近始まったことにすぎない。
 農業と牧畜の発明は、人類史の中でも際立った大きな革命的事件であった。このことによって、人類は自然を自らの手で改変することを覚え、人為による生産手段を獲得し、やがては自然を征服し管理する方向に向かったのである。そして、文明の発達によって、幸福を手に入れることができると信ずるようになった。
 科学的思考および自然科学という学問を手に入れることにより、人類は物質文明を発展させていったが、いつしか幸福は物質的に豊かになることによって獲得できる、という錯覚に陥ってしまった。わが国においても、第二次大戦後の惨澹たる疲弊を克服し、高度経済成長の後の科学技術の進展による物質文明の発達は、自を見張らされるばかりである。戦後の苦境の中で、
誰がこの豊かな状況を予想しえたであろうか。
 われわれを取り巻く環境は、あっというまに人工化し、急速に自然が破壊されてしまった。昭和三〇年頃までは、東京都の二三区内でもトンボヤカエル、バッタなどの野生小動物がけっこうたくさんすんでいた。ところが、三〇年から四〇年までの間に、それらはすっかり姿を消し、農村でも農薬の大量使用によって急速に動物たちは消滅してしまった。戦後生まれの人たちも、しばらくの間はセミやトンボ捕りに興じ川遊びや木登りに夢中になって、自然とたわむれた記憶をもっている。しかしそうした幼少年時代を支えていた環境が一挙に崩壊し、子どもたちは自然とのつきあいを断ちきられてしまうことになった。
 一昔前は、道路には子どもたちが群れていた。今は自動車が道路を占領し、子どもたちはそこからすっかり躯逐されて、家の中に閉じこめられてしまった。多くの子どもは小さな家で飼育され、学校では厳しい管理の下に画一的な教育で締めつけられている。そして、テレビやオーディオセット、ファミコンなどの電子器具に埋もれ、無機的な世界の中で密室文化に耽って
いる。まるでクモの巣にかかった蝶が、もがきながら体液を吸いとられていくように、子どもたちは過剰な情報の網目の中で、もがきながら精神を衰弱させていく。


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サブやんの気まぐれ調査研究その2
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