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誤った豪雪地帯の人工造林
《参考資料:『ブナの放流』・「森は地球のお医者さん」宮下正次氏著》(一部加筆)
〔秋田県〕
秋田ではブナ林の伐採跡地にスギが大量に植えつけられた。ところが深い雪に押され、曲げられたりして、成長も悪く、標高600メートル以上のスギは、用材として使いものにならないという調査結果が山形大学の北村昌美名誉教授によって発表された。
いりひろせ
〔新潟県〕
新潟県の入広瀬村は、日本を代表する豪雪地帯で、ここにはみごとなブナの森があった。そこは昼でも暗く人間の手が入ることはなかった。100年伐っても伐り尽くせないといわれていたが、いざ伐り始めみと35年足らずで伐り尽くしてしまった。
伐採跡地にはスギが植えつけられたが、30年以上たった今も、スギは飴のように曲り、用材として利用できるものはない。ここでも積雪は4メートルを超え、木は雪の重みに耐えることができなかった。
地形的にみても平坦な場所で、湿性ポドゾルと呼ばれる土壌で、土の性質からみてもそこにスギを植えたことは誤りであったといえる。なぜなら植えつけられたスギは根を伸ばしはじめると、酸欠状態の土壌にあたって活動を止めてしまうからだ。地形の悪い箇所はもう一度ブナの森にもどそうと計画されたが、ブナは再び帰ってはこなかった。
(注)
湿性ポドゾル=鈍頂尾根、準平原面、火山泥流台地などの重粘、ち密な土壌母材のところに生成される。多量の二価鉄が含まれ、表層部に強い還元作用をうけていることがこの土壌の特徴と考えられる。(中略)主として北海道北部、本州脊梁山脈、中部山岳の温帯上部から亜高山帯にかけて、アカエゾマツ、アオモリトドマツ、ヒメコマツ、ネズコ、ヒノキ、ブナ等の天然林下に多い。(「林野土壌の分類」林業試験場研究報告第二八○号より引用)
〔保安林〕
保安林にはいくつもの種類があるが、以上のような「水源かん養保安林」に「土砂流失防備保安林」を合わせると全体の九割を占める。この二つの保安林は日本列島の背骨の部分をなす国有林地帯と重なっている。
しかし国有林の経営は、伐った木材を売って経営するという独立会計で、一貫して「森から儲ける」という思想の経営が続いてきた。ところが大赤字が続き、収入を上げたくても伐れる木がないというのが実態だ。「育つ分だけ伐れ」という林業関係者にとっての森林憲法は押し流され、大増伐に拍車がかかった。この結果、思いもよらなかったことがおこってきた。それが水涸れである。
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