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森林の共用と共同管里(資料『インストラクター教本』)
森林を利用し、保全するという考え方の源は、森林の共同利用すなわち入会(いりあい)利用にみることができる。森林の入会利用とは、地域の人たちが共同で、自由に使えることをいう。その起源は古く、8世紀初頭の大宝律令によって、制度化されている。そこでは、特別な場所を除き、山、川、森林、沼などは、一個人に帰することなく、すべての人が、自由に利用できる、と定めている。一部の場所を除き、森林の木、きのこ、山菜を、誰でも採ることが許されていたのである。
このように、自然の独占を禁じ、自然の産物はひとりのものでななく、多くの人々が使うものだとする考え方は、形を変えながら後世へ受け継がれた。中世以降、庄園、大名領国制が広まっていったが、その領地の中においても、林野の入会利用は続けられた。江戸時代においても、幕府や大名の所有林野であっても、採取料負担の制限下、利用は地元民に自由に委ねられることが多かった。
こうした入会利用のシステムは、人問による自然からの一方的な収奪が進むことを防ぐ効果があった。なぜなら、共同利用林野は、地域の人々に食料、生活資材、農業資材を供給してくれる資源であり、これを荒廃させることは自らの生活基盤を崩壊させることを意味したからである。それだけではない。入会林野は地域に住む人々の生活環境を保全する役割も果たしていた。従って、地域の人々は、森林を利用しつつも保全管理に心がけたのである。このように、入会利用のシステムは、コミュニティーを維持する環境財、生産基盤を保全する機能をもっていた。
明治時代以降、森林の官民所有区分が明確にされてきた。また現代では山村の過疎化が進み、森林の地域外所有が増えた。それに伴い、森林の入会利用は次第に減少してきた。しかし、森林を共同で利用し、管理するという考え方は、現在にまで引き継がれている。
最近では、管理の担い手の一部に地域住民だけではなく都市住民が参加する例が増えている。「国民参加の森林づくり」の中に、さまざまな例をみることができる。例えば、水源下流地域の企業、自治体が出資して設立した基金が、水源地域の森林管理に資金的援助を行うといった例である。水源を涵養する森林の働きを享受するものが共同で管理しようというしくみである。
こうした例も、広い意味では、公共財としての森林の共同利用、共同管理といえよう。今、森林管理の担い手不足が指摘されている。さまざまな原因があるが、都市と山村間で、富、人口、情報の偏在が著しいことが根本的な問題であろう。市場メカニズムや財政支出だけで調整できる問題ではない。それを補完する新たなシステム(例えばボランタリーな支援)が求められているのである。森林の共同管理もその例外ではない。今後は、国内はもとより、地球規模での森林の共同管理システムを築き上げる努力が求められてこよう。
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