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原発 間違って信じていること 引き下げられたハードル
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
この一九六六年の時点ではじめて、「核融合用プラズマ」という概念が、公式文書のなかに登場したことは注目に値する。『第二次案』の本文中には、新しい「組織体」は、「プロジェクト研究の各段階における(Tlnr)図上の目標およびその達成所要期間を明確に予定すること」と述べられており、またターゲットとして、(T−nr)図上において「ローソン条件」を満たすべきことが明記されている。一言でいえば、ここではじめて、「実用化を前提としたタイムテーブル方式」(または単に「タイムテーブル方式」と略記)が、核融合研究の世界に出現したのである。
ここで「(T−n7)図」というのは、プラズマのイオン温度(T)を横軸、プラズマの密度(n)と閉込め時間(r)の積を縦軸にとって、核融合炉のエネルギー収支がプラスとなる目安を示すためのダイヤグラムである。
D−T反応の(T−nr)図を参考までに掲げておく(図1)。三本の曲線(A、B、C)が図中に描かれているが、実用炉級プラズマの目安となるのは「自己点火条件」(曲線A)である。Aの線上またはその上側に達する温度(T)、密度(n)、閉込め時間(r)をもつDーTプラズマを核融合炉の内部でつくりだすことができれば、プラズ
マは外部からエネルギーを注入しなくても自動的に燃えつづけ、こんこんと汲めども尽きぬエネルギーを発生する。
次に、炉内へのエネルギー注入に用いる電力と、炉から発生するエネルギーとがちょうど釣り合うための条件を「ローソン条件」と呼ぶ(熟から電気への変換係数としては普通、1/3という値が使われる)。曲線Bがそれに相当する。
核融合装置を運転するには、炉心にエネルギーを注入するエネルギー・ドライバー以外の機器にも莫大な電力を使わねばならない(とくにプラズマを閉じ込めるための磁気容器をつくりだす電磁石は、数万キロワットの電力を消費する)。だからたとえ「ローソン条件」を達成しても、核融合装厦全体としてのトータルなエネルギー収支は大幅なマイナスとなる。それでもローソン条件は、「ゼロ出力」核融合装置を製作したと主張しうる、およそ考えうる最低ラインの指標となるため、関係者たちはその達成を核融合の「科学的実証」と呼び慣わしてきた。
最後に「臨海プラズマ条件」(曲線C)というのは、実用化への道程における「第一のハードル」をさらに引き下げるために、核融合関係者たちが苦心して編み出した作為的概念である。これをクリアーすることの科学的・工学的意義はあまりないが、核融合装置の性能の便宜的な指標として使うこともできなくはない。
以上に述べた三つの「条件」をごくおおまかな数字で表わすと、表Iのようになる。
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