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○足尾銅山に見る森林再生
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歴史の証人・足尾(死と生の山)(『森林教育の創造と実践』「日本人の森林文化」森林文化研究会編 平成4年刊)
栃木県足尾町の山間にある足尾ダムでは,一雨降ると,濁流と清流とに,くっきり別れた二色の流れが見られる。濁った水は5キロほど西の沢・松木川から,澄んだ水は北へ4キロほどさかのぼった久蔵沢などから流れ出る。山一つほど隔てた国立公園・日光を訪れる人々の姿は四季,絶えないが,このダムの二色の流れに気付く人はあまりいない。
この近くの山々の木は,かつての足尾銅山精錬所から発生する亜硫酸を含んだ重い煙のため,枯れてしまった。1957年に林野庁の緑化事業が始まって35年,最初に手を付けた久蔵沢の山々は生き返った。澄んだ流れはその証(あかし)である。
濁流が出る松木川の最上流部は,全山灰色,荒涼とした光景だった。高さ300〜500メートルの瓦礫(がれき)の尾根がどこまでも続く。山腹には生きた草木一本見えない。あちこちから細い滝が水音をたてて流れ落ちていた。
よく見ると,立ち枯れた木や無数の切り株がある。亜流酸ガスを含んだ重い煙がこの沢沿いに流れてきて,木を枯らす前は,鮮やかな緑に覆われていたのだ。それらの切り株は,いずれも1メートルほど苗に浮いている。上の緑が死に絶え,下の土が雨で流された。土を奪われた山は,骸骨のような姿になってしまった。その頂上,300メートルほどの高さでは,命綱をつけた人々の手で,復元作業が行われていた。土,肥料,ススキ,ヨモギなどの種を入れた小さな木綿袋を鉄の棒で止め,まず草による緑化,次いで木を植えようというのである。
すでに緑化できた久蔵沢の万も,最初は死の谷,死の山だった。深さ,直径ともに25センチの穴を掘り,一本一本植えた。土も人の背で運び込んだ。いま全山緑に覆われ,ニセアカシア,クロマツなどは高さ10メートル正になっている。ここでニホンカモシカ,キツネ,シカの姿を見た。ここは人工の森なので,この高度で普通に見られるミズナラ,ツガなどがない。いまそれを増やし,自然に近い緑づくりへの工夫が試みられている。
足尾はわが国の公害問題の原点といわれるが,清,濁,二筋の流れは,いまも,歴史の生き証人となっている。
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