整理され人の手が入っている里山森林は見ているだけでも爽快感が伝わってくる。またそこには積み重ねてきた先人たちの森作り技術の高さを確認できる。最近ではこうした里山風景の根源である赤松森林が恐ろしい勢いで消失している。行政も赤松皆伐採を進め、行き場を失った動植物や水でさえいっきに地下に入り、下方の森林地帯にも大きな影響が出ている。
赤松は古くから病気療養や気分爽快の森、手近な利用木材として人々の住む近所にあり、その発芽から成長まで逞しく、植林桧に比ではない。現在でも建築材として、合板用などに切り出され持ち出されている。しかしこうした木材の中には「マツノザイ線虫」の入ったものもあり、何の規制や指導を持たない山梨県から虫害の発生源が全国に飛び火している。
私たちは田舎風景・農村景観・山村景観形成からも必要な赤松が大規模伐採され、地域にも深刻な影響が出ていても行政は推進はできても規制はできない。したがって県民は失われていく里山景観を眺めているだけである。
手軽にできた森林浴も行政の手により失われていく。ところどころにある補助事業森林浴林などは末端林政の齎すものである。裏返せば特別地域を設けなくてならないほど森林は荒廃しているといえる。
健康の源----森林浴
<「森林100の不思議」財団法人 日本林業技術協会編 1998>
森林を歩き、森の雰囲気に触れながら健康づくりをする森林浴が最近盛んです。森の中に入るとさやかな気分になり、それまでたまっていた疲れがとれ、体にやすらぎを覚えます。森林浴が健康によい理由はいくつかあります。
森林はシーンと静まりかえっています。それは森林が騒音を和らげる働きをもつからです。無数の木々の葉が音を吸収し、森林に静寂をもたらします。都会の騒々しさで疲れた体は、森林の静寂の中でほっと息をつき、やすらぎを覚えるのです。木々の緑の色もストレスを解消するのに一役買っています。穏やかなイメージの木々の緑は、私たちの目によく映り、疲れた目を休ませてくれます。
自動車の排気ガスや工場が出す煙などがいっぱい入った都会の空気に比べ、森林の空気はきれいで、すがすがしくおいしいとよくいわれます。無数にある木・の葉が空気を汚している物質を吸い込んだり、吸着したりして空気を浄化します。それで森林の空気は、きれいでおいしいのです。
また、森林の空気の中には、木や草が放出するフィトンチツドが含まれています。フィトンチツドも森林の空気をすがすがしくおいしくし、健康に役立っています。
フィトンチッドとは・植物や動物から放出され、他の生き物の生活に影響を与える物質いわば生物活性物質の総称です。フィトンチッドの種類は多く、そのうちのいくつかは、すでに取り出され、医薬品や殺虫剤としてされています。
森林浴に出かけ、私たちが直接触れるフンチッドは、数あるフィトンチッドの中でも揮発性のもので、においの成分として大気中に浮遊しているものです。揮発性のフィトンチッドは、これまで植物の葉や茎、幹の蒸留によって精油として濃縮された形で取り出され、利用さきました。しかし、植物から大気中に放出され、拡散し状態でどのような作用を及ぼすかは、よくわかっていませんでした。
最近になりその裏づけが行われだし、体に良い効果があることがわかってきました。ヒノキやトドマツの葉のにおいの適度な濃度のもとでは、実験動物として使用したハツカネズミはその運動量が増し、活発に動き回ります。木のにおいの成分、αーピネンのにおいのある部屋では、人の疲労の回復が早まることもわかっています。(谷田貝光克氏著)
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