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(森林は)巨大なガス交換器
<「森林100の不思議」財団法人 日本林業技術協会編 1998>
木が成長を続けて森林となるのは一枚一枚の葉の光合成による有機物の生産があるからです。光合成は太陽の光エネルギーを利用して・炭酸ガスと水から炭水化物をつくリ酸素を放出します。ですから森林は、成長を続けながら巨大なガス交換器の役割も演じています。
光合成の化学反応式から計算してみますと、1キログラム植物体をつくるために約1,6キログラムの炭酸ガスを吸収し、約1,2キログラムの酸素を放出しています。それでは、森林では1年間にどの程度のガス交換を行っているのでしょうか。
森林の成長は、土地の栄養条件、気象条件、土壌条件などによって違いますから、おおよそのことしかいえませんが、日本の森林では、一ヘクタールで1年間に15〜30トンの炭酸ガスを吸収して、11〜23トンの酸素を放出しています。この値は、1ヘクタールの森林でおよそ40〜80人が呼吸に必要とする酸素を供給していることになります。
しかし、森林の酸素供給量が大きいと感心してはいけません。酸素は人間の呼吸ばかりでなく、工業などによって大量に消費されますから、もし東京23区の酸素消費量を森林でまかなうとすると、東京23区の面積のおよそ20倍以上の森林を必要とすることになるからです。
森林のガス交換器としての重要性はもっとほかのところにあります。酸素は大気中におよそ21%も含まれていて森林がなければ酸素が不足するというような事態は起こりそうにもありません。
問題は、森林が吸収して固定する炭酸ガスのほうにあるのです。炭酸ガスは大気中に0,03%しか含まれていませんが、太陽熱で暖められた地球からの放熱を遮断するいわゆる温室効果によって地球の温度調節に重要な役割を果たしています。炭酸ガス濃度が上昇すると温室効果が増加し、地球の気温が上昇します。これに伴って地球の気候が変わり、赤道を中心とする地域の急速な砂漢化の進行などが予想されています。
炭酸ガス濃度が産業革命以降急速に上昇を続けている原因は、近代文明がこれまで地中に閉じ込められていた石炭、石油などの化石燃料に依存し続けているからです。このエネルギー消費による大気中の炭酸ガスの増加量は1年間におよそ18億トンといわれ、21世紀半ばには、現在の炭酸ガス濃度の倍近い0,06%に達すると予想されています。
地球の炭酸ガス濃度の上昇原因の70%近くは化石燃料消費ですが、熱帯地域の森林破壊の影響もおよそ22%と高く、森林生態系の役割もきわめて重要です。
森林は木の幹という巨大な貯蔵庫をもっています。光合成によって炭酸ガスの炭素を有機物に変えて幹に貯蔵し、その分だけ大気中に戻っていくのを妨げています。しかし、熱帯地域の急激な人口増加は、生活燃料と食料生産の場の確保のため、急速な森林の破壊(一秒間におよそ三十六岬.の減少)をもたらしています。
世界の森林の保全間題は、単に〈豊かな緑〉の維持にとどまらず、大気の炭酸ガス濃度調節にかかわる地球レベルの〈生存と環境〉の間題として考えていく必要があります。(森川靖氏著)
参考資料
http://blogs.yahoo.co.jp/hakusyunetto/28208584.html
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