新!サブやんの気まぐれ調査研究

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原発 「タイムテーブル方式」の興亡
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
 
 この「タイムテーブル方式」の興亡について、より詳しく見ることにしよう。
 日本の原子力開発プロジェクトはどれも「タイムテーブル方式」に基づいて進められており、各ステップごとに「チェック・アンド・レビュー」(挙げた実績や将来性についての審査)が実施される仕組みとなっている。これをクリアーしなければ、次のステップの装置やプラントを建設するための予算がつかなくなり、プロジェクトは中絶させられる。そして次のステップに進むためには、事前に設定された目標を何としてもクリアーしなければならない。
y原子炉開発の場合、通常は
   験炉、
②原型炉、
③実証炉、
の三段階のシナリオがつくられる。
 実証炉というのは他のエネルギーと競合しうる採算性を達成することを目標として製作される原子炉のことである。実証炉は一品生産であるため、単独では十分な採算性を必ずしももたないが、同型炉の量産体制の確立によるコストダウン効果を考慮に入れれば、商用炉として使用に耐えることが建前となっている。その意味で実証炉とは、商用炉第一号を指すと解釈できる。
(しかしこれは、あくまでも建前論のうえの原則である。高遠増殖炉(FBR)開発などでは、「原型炉」の次のステップとして建設される予定の原力炉の採算性が非常に劣悪となることが確実視されるため、それに便宜的に「実証炉」の名称をあてがいつつも、それと「商用炉」との中間に、新たに「初期実用一号炉」「初期実用二号炉」というステップを設定し、徐々に採算性を向上させていく、という苦肉の策のシナリオを原子力委員会は採用している。もちろんこれは、「実証炉」の正しい語義からの大幅な逸脱である)。
原発 暗転した実用化計画
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
 
 核融合が実用的なエネルギー源の開発を指向するプロジェクトとして頭角をあらわしたのは、前述のごとく、一九六〇年代末である。それから先の十数年間、核融合予算はまさに指数関数的な急成長をみせることになる。核融合予算がピークに達するのは一九八二年度であり、その金額は五百三十七億円に達したのである。だがそれ以後、核融合予算は減少過程に入り、現在は三百億円余となっている。
 一九八二年という年は、予算が頭打ちになったばかりでなく、核融合の実用化の見通しが大きく暗転した年でもある。一九七〇年代には核融合関係の官庁文書のなかで、核融合発電の「実用化目標時期」がつねに明示されていた。「第二段階計画」(一九七五年)では、西暦二〇〇〇年頃に「実証炉(商用炉第一号)」を完成させるというタイムテーブルが示されている(表2)。
 ところがその後、「実用化目標時期」は加速度的に後退していった。そして一九八一年の報告書を最後として、「実用化目標時期」までのタイムテーブルはおろか、目標時期自体についてのコメントまでが、核融合関係の官庁文書から一斉に姿を消すのである。これは一九八〇年代初頭の段階ですでに、日本の原子力界において核融合への悲観論が強まっていたことをうかがわせるエピソードである。日本の核融合開発の「黄金時代」(第二次ブーム)は一九七〇 
年代であり、八○年代を迎えるとともに核融合開発は「斜陽期」に入った、というのが筆者の見解である。
原発 大型核融合装置JTI60の誕生
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
 
 日本の核融合開発はさらに一九七〇年代に入って、国家的使命を帯びた巨大ナショナル・プロジェクトヘともう一段の飛躍をとげることとなった。
 一九七二年六月の新しい「原子力開発利用長期計画」(第四次長計)に示された核融合開発のターゲットとタイムテーブルは、第三次長計のそれよりも一段と具体的な内容のものとなっている。すなわち「我が国においては、トカマク型トーラス装置の研究開発に当面の重点をおくこととし、昭和五〇代に臨界炉心プラズマ試験装置を建設することを目標とする」という明確なポリシーが掲げられたのである。なおこの第四次長計(一九七二年)ではじめて、「臨界プラズマ条件」ならびに「臨界プラズマ試験装置」という概念が出現した。
 第四次長計をうけて、原子力委員会は一九七三年五月、核融合研究開発懇談会(専門部会に相当するもの)を設置し、「第一段階計画」につづく「第二段階計画」の基本方針を討議させた。その最終報告書がまとめられたのは七四年七月であるが、その内容は第四次長計の趣旨を全面的に反映した野心的なものであった。
 それに基づき、原子力委員会は七五年七月、「第二段階核融合研究開発基本計画」(とくに終了年度は指定されていない)を決定した。核融合は、「原子力特別研究開発計画」(ナショナル・プロジェクト)に指定され、高速増殖炉(FBR)などの主要原子カプロジェクトと肩を並べる「国策研究」となったのである。そして「臨界プラズマ条件の達成」が第二段階計画においてクリアーすべき主目標として掲げられた。そのための「臨界プラズマ試験装置」に相当するのが、日本原子力研究所(原研)において建設されたJTー60(JAERI Tokamak60なおJAERIは原研の略称)である。JTー60の建設は一九七八年四月より始まり、七年間の歳月を経て一九八五年四月に完成した(現在は改良工事のため運転を中断している)。
 
原発 核融合開発に君臨する原研
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
 
 さて、日本学術会議力持委核融合部会の『将来計画第二次案』を、日本の原子力委員会(JAEC)は積極的に評価した。それを契機として核融合研究は、科学技術庁主導のビッグ・プロジェクトヘと再編されることとなったのである。
 原子力委員会が一九六七年四月に二度目の改訂を行なった『原子力開発利用長期計画』(いわゆる第三次長計)には、次のI節がもりこまれた。
 「この間のわが国での研究は、プラズマの体系的研究の面で成果を得てきてはいるか、核融合という目的意識を明確にもつ研究開発の面では著しく立ち遅れている。このような時期に、諸外国の研究開発に伍し、積極的に研究開発を推進することが現在の急務である。したがって、わが国においても核融合の実現をめざして、昭和四十四年度にはプロジェクト研究に着手することを目途に、直ちにその準備をすすめる必要がある」
 この第三次長をふまえて、原子力委員会は核融合専門部会を六七年五月に設置し、研究開発の今後の具体的推進方策について検討を開始した。そして翌六八年、原子力委員会は核融合研究開発を「原子力特定総合研究」に指定し、同時に定めた「核融合研究開発基本計画」(第一段階計画、六九年原研は日本の核融合研究開発の中枢機関として君臨し、今日に至っている。
 この第一段階計画の発足を境として日本の核融合は、アカデミズムを主力部隊とした研究分野から、科技庁傘下の官庁研究所を主力部隊とする開発プロジェクトヘと変容を遂げたと見なすことができる。つまり「核融合研究」の時代から「核融合開発」の時代への移行である。
原発 間違って信じていること 引き下げられたハードル
「地球環境・読本』「別冊宝島101」掲載 吉岡斉氏著(九州大学教養学部助教授)
 
 この一九六六年の時点ではじめて、「核融合用プラズマ」という概念が、公式文書のなかに登場したことは注目に値する。『第二次案』の本文中には、新しい「組織体」は、「プロジェクト研究の各段階における(Tlnr)図上の目標およびその達成所要期間を明確に予定すること」と述べられており、またターゲットとして、(T−nr)図上において「ローソン条件」を満たすべきことが明記されている。一言でいえば、ここではじめて、「実用化を前提としたタイムテーブル方式」(または単に「タイムテーブル方式」と略記)が、核融合研究の世界に出現したのである。
 ここで「(T−n7)図」というのは、プラズマのイオン温度(T)を横軸、プラズマの密度(n)と閉込め時間(r)の積を縦軸にとって、核融合炉のエネルギー収支がプラスとなる目安を示すためのダイヤグラムである。
 D−T反応の(T−nr)図を参考までに掲げておく(図1)。三本の曲線(A、B、C)が図中に描かれているが、実用炉級プラズマの目安となるのは「自己点火条件」(曲線A)である。Aの線上またはその上側に達する温度(T)、密度(n)、閉込め時間(r)をもつDーTプラズマを核融合炉の内部でつくりだすことができれば、プラズ
マは外部からエネルギーを注入しなくても自動的に燃えつづけ、こんこんと汲めども尽きぬエネルギーを発生する。
 次に、炉内へのエネルギー注入に用いる電力と、炉から発生するエネルギーとがちょうど釣り合うための条件を「ローソン条件」と呼ぶ(熟から電気への変換係数としては普通、1/3という値が使われる)。曲線Bがそれに相当する。
 核融合装置を運転するには、炉心にエネルギーを注入するエネルギー・ドライバー以外の機器にも莫大な電力を使わねばならない(とくにプラズマを閉じ込めるための磁気容器をつくりだす電磁石は、数万キロワットの電力を消費する)。だからたとえ「ローソン条件」を達成しても、核融合装厦全体としてのトータルなエネルギー収支は大幅なマイナスとなる。それでもローソン条件は、「ゼロ出力」核融合装置を製作したと主張しうる、およそ考えうる最低ラインの指標となるため、関係者たちはその達成を核融合の「科学的実証」と呼び慣わしてきた。
最後に「臨海プラズマ条件」(曲線C)というのは、実用化への道程における「第一のハードル」をさらに引き下げるために、核融合関係者たちが苦心して編み出した作為的概念である。これをクリアーすることの科学的・工学的意義はあまりないが、核融合装置の性能の便宜的な指標として使うこともできなくはない。
 以上に述べた三つの「条件」をごくおおまかな数字で表わすと、表Iのようになる。

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