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写真は皆伐採機械造林地の植林状況
〔樹木の生態〕《成長》
成長とは一般的には高さ、直径および材積における樹体の増大をいう。
樹高成長は樹木の生育初期における最も重要な成長因子である。なぜならば稚樹が生存競争において生き残りうるか否かは,稚樹の初期の樹高成長の如何に係るからである。
樹高成長は新条の樹勢の強弱に左右される。樹勢の強いものは梢端の芽が大きい。丈夫な芽を持たせ、またその芽の生育を扶ける環境を作り出すと、樹高成長は旺盛になる。多くの場合、稚樹は前生樹の庇陰の下で数年間は生育するものである。しかし上木の樹冠が疎開しないと,稚樹の活力はついには衰退し、棄色は淡くなり、新芽は繊弱になる。このような場合には、速やかに陽光を与
えないと稚樹は枯死する。樹高成長は、樹種・立地・森林の取扱によって相違する。樹高成長に関係する因子のうちで、陽光は重要な関係がある。陽光は槙物栄養の同化作用に欠くべからざるものである。初めのうちは直射光線を絶対必要とはしない。研究者によっては,新条の伸長が夜間または早朝に行われる事実に基き、直射光線は成長を遅延させると主張する研究者もいる。しかし陽光のエネルギーは直射光線にしても、散光にしてもこれを利用しなければ植物の生育は終止するのである。
温度も成長に欠くべからざる因子である。10度以下になると生育現象は終止する。40度ない50度以上でも生育は行われない。最適温度は20度〜30度の範囲であって,樹種ごとに相違がある。熱帯・暖帯・温帯・寒帯に分布樹種の相違が見られるのはこの温度差なせる所である。
水分も樹木の生存・生育に欠くことのできない因子である。細胞には水分が大量に含まれ、植物の成長組織の95%は水分から成っている。旺盛なる樹高成長は、土壌に含まれる水分と養分の存在が指標である。水分の不足は一般に梢殺の生育を示す。
以上は樹高成長に及ぼす立地の影響を見たのであるが、このほかに樹種特有の特質を見逃してはならない。たとえば濠州原産のユーカリは、外地へ移植されても、やはり旺盛な樹高成長を示す。 日本固有の樹種ではスギが最高となり、30〜40m以上に達する。
樹木はその幼年期に旺盛な樹高成長を遂げ、一定の樹高成長の経過を過ぎると,直径成長と材積成長が活発になる。陽樹は一般に樹高成長が早い。萌芽樹は同一樹種の場合でも実生樹より成長が早い。これは前者においては根系がすでに発達しているからである。しかし萌芽樹の成長は比較的早期に最高点に達しやがて衰えてくる。
樹木は過度に密生すると樹高成長を阻害する。それは光線の不足と根系の競争を免れないからである。しかしながら適度の密生は有利である。疎立しているときは、通直な大幹を形成するよりも、枝の発達に浪費されるからである。
次に直径成長と材積成長についてみよう。
樹木の直径成長は、形成層によって年序に年輸を形成してゆくことによって遂げられ、材積成長は樹高成長と直径成長の積算である。材積成長を支配する因子は概して樹高成長に関するものと同様である。
経済的林業の目的は最大の材積成長を実現することであるが,この目的を達成するための立地条件の判定に樹高成長を指標とすることのあるのは、この理由によるのである。
樹種固有の特質は、樹高成長の場合よりも材積成長の場合にさらに強く影響する。陽樹は材績成長も早期に始まる。陽樹では生存競争が早期に終了し,残存木は太陽光線と土壌養分を豊富に享受するからである。立木度の相違によって、同一樹高の林木にあっても直径は1/4にしか達しない
ものがある。
林木の物質的成長量は,材積成長量についてよりも、気乾重量の増加で示す方が正確である。一般に比重の軽い林木が重いものよりも材積成長量は大きい。
また陰樹は密生してもなおかつ同化作用を活発に営むことができるのでその成長を持続する。
こめ事実を綜合すると、単位面積当りの材積成長の大きいものは,比重の軽い材質を持つ陰樹ということになる。
一般に樹冠の形態は材積成長の指標となる。樹冠の発達した樹木ほど栄養を多量に摂取消化して樹幹を肥大させる。材の肥大成長は樹木内部における内応力が刺戟として働らき、内応力の刺戟が最も強い場所に異常肥大を見ることを学説として説くことがある。疎立している樹木は内応力の最大な根際で肥大成長し、また斜面に生立する樹木は谷側の年輪幅が広く成長する事実をこれにより説明するのである。
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