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環境特集 地球温暖化を食い止める(3)
大規模森林破壊を助長する違法伐採
森林と木材の役割(日刊木材新聞 平成20年6月13日記事)
地球温暖化を加速させる重大な問題のひとつが森林の違法伐採による大規模森林破壊だ。0ECD(経済協力開発機構)は07年1月の持続可能な開発に関する円卓会議で、世界各地において驚くべき速度で森林破壊が進んでいる現状を指摘、それにより生物多探性が絶滅に瀕し、地球温暖化が深刻化しているとの報告書をまとめた。世界増大させており、新たな違法伐採を助長する恐れが強い。この問題で私たち日本にできることは限られており、特に産地途上国の貧困問題や国の統治の仕組みが、違法伐採撲滅を難しくさせている。まず合法的でない木材は国産材を含め購買しないことの徹底から始めるしかない。とりわけ輸入業者は、合法性に疑いのある木材や原産地が不透明な木材は買わないという行動規範を持つ必要がある。
森林は人類の公共財
OECD円卓会議は、「経済と環境面での長期的便益を損なう、あるいはそれらを完全に無視した短期的な利益と引き換えに、天然資源の破壊が助長されている。それによって多くの人の犠牲の下に少数の人間が潤っているのである。違法伐採は途上国において年間100億ドルを超える公共資産の損失をもたらし、さらに税金や伐採権利料未払いにより50億ドルが毎年失われている」と指摘する。
違法伐採の危険性は、法律に則り適切な施業を行っている林産業にも複雑な悪影響をもたらす点である.違法伐採された素材を原料とし、さらに劣悪な労働環境や子どもなど若年労働者を酷使して生産された素材なり木材製品が、価格優位性により適正な手段で生産された素材や製品を市場から駆逐し、正常な市場形成を損なうという問題だ。
92年にリオで開催された地球サミット(国連環境開発会議)は、温室効果ガスによる地球温暖化問題、地球規模の気候変動問題が初めて世界の共通認識となり、併せて森林の重要性が明確に認識され、以後、森林認証制度が急速に普及していった。森林認証及びCOC認証は木材の合法性を担保するうえで重要で、先進国を中心に認証森林は増えたが、前述した熱帯地域を中心とした大規模な森林滅失は21世紀になっても食い止められておらず、現行の森林認証制度の限界を露呈している。森林減少を食い止めるための新たな仕組みを考える時期に来ていると感じる。
森林は人類の公共財であり、林産業界のみならず、すべての関係者利益に供するものであるという考え方が必要だ。木は伐るなという暴論にはくみしないが、最も身近に森林と接する産業として、誰よりも森林の重要性と継続性を認識し実践していく立場にある。
多国間協調が求められる時代へ
日本は政府調達から対策
違法伐採対策の必要性は、違法材が地球規模の環境保全と持続可能な森旅経営の阻害要因とされてから飛躍的に高まった、健全な森林とともに、健全な木材生産・流通という適正管理があってこそ、二酸化炭素の吸収源として森林機能を十二分に発揮できるわけだが概して低廉とされる違法材の流入で、持続可能な森林経営を後退させる恐れさえある。
先進各国、最善策を実行中
国際的に違法伐採問題が議論されたのが98年の英国・バーミンガムサミット.G8外相は森林行動プログラムのなかで違法伐採問題に触れ、先進国と木材産出国それぞれが乗り越える重要な課題のひとつに位置付けた。 その7年後の同じく英国・グレンイーグルズサミットで、違法伐採対策を進めることが持続可能な森林経営の第一歩とし、各国が最も効果的に貢献できる手法で行動することを明記.この取り組みはバラエティーに富むが、大きくくくれば3点で、先進国と木材産出国の関係協力、貿易関連措置、そして消費者啓蒙である。この需給両国における協力では、我がと国とインドネシアが02年に発足させたアジア森林パートナーシップ、英国とインドネシアや米国とインドネシアなどの2国間覚書などがある。要は輸出国と消費国それぞれが協調して違法材排除へ取り組むアプローチであるが、これには先進国主導の技術開発も含まれ、日本とインドネシアで形になってきたバーコード利用による森林モニタリングもある。
木材・建材業界へ大きなインパクトがあるのは2つめの貿易関連、ワシントン条約に基づく絶滅危惧種の貿易管理のほか、EPA(経済連携協定)における違法伐採問題への対処、そして公共調達、いわゆるグリーン購入法による合法証明材の積極調達である。
ただし、これら取り組みも乗り越える壁が少なくないのが現状。直近では、5月末にG8環境大臣会合が開催され、その場で今後の課題としては、木材輸出・消費国間の連携強化で合法で持続可能性に配慮した材の取引促進、輸出・消費両国の2国間・多国間の枠組み拡大、G8メンバーの木材生産国支援策の協調、REDD(森林減少・劣化による排出削減)への影響、マネーロンダリング対策など盛りだくさん。端的にいえば、これまでは各国ができることを手探りで開始しており、その効果をこれまで以上のレベルに引き上げるには、先進国間の協調、EUなど地域間の協調、そして先進国内でも公共部門と民間部門の協調が必須。既に違法伐採対策は生産・消費という2国間で取り組む次元を越え、マルチラテラル(=多国間)の時代に突入している。
このG8環境大臣会合へ提出された報告書は、洞爺湖サミットでも議論される予定。なお、G8森林専門家の会合は2年後に再度、場を持つという。
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2011年02月12日
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地球温暖化を食い止める(2) 森林と木材の役割 (日刊木材新聞 平成20年5月31日記事)
地球温暖化を食い止める(2)
森林と木材の役割 (日刊木材新聞 平成20年5月31日記事)
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告は地球温暖化ガスの急激な増加がもたらす地球上の様々な災厄について強い警告を発した。この報告を受け、IPCC活動に加わる日本の科学者グループも国民に対し、緊急メッセージを発した。(急激な地球温暖化により)「地球上の各地の生態系は、こうした急激な変化に順応することができず、死滅のリスクにさらされる生物種が増える、大規模な水不足、農業への打撃、感染症の増加、自然災害の激化など様々な悪影響が複合的に生じる恐れが強い.このような事態は人類生存の危機であり、そうした未来を子どもたちに残してはいけない」と訴える。
地球温暖化 人類生存の危機をもたらす
世界各地で発生している異常気象、例えば想定外の集中豪雨や大干ばつ、熱帯性低気圧の強度増加など.よく指摘されるのが北極海の海氷面積の減少や永久凍土の融解面積拡大だ。海面温度の上昇は単に生物環境に影響するにとどまらず、玉突き型で地球全体に影響を及ぼしている。私たちの身近でも、夏場における熱帯夜の増加などは明らかに温暖化がもたらす変化といえる。動植物の生態系も大きく変わっている。
世界の森林でも温暖化の影響と思われる問題が数多く指摘されている。前述した永久凍土の融解は北方森林に深刻な影響をもたらしているが、世界各地で林地地質の乾燥化が近年問題となっている。カナダBC州で大量発生しているロジポールバイン立木に対するMPB虫害も冬場の気温上昇が引き起こしたものといわれる。
森林でより深刻な問題は、熱帯地域を中心に森林の滅失に歯止めが掛からないことだ。農地や宅地への転換、伐採後の林地放棄などが森林滅失原因だが、多様な生態系の維持機能を有し、最大のC0₂吸収源である森林のそうした状況は地球温暖化をさらに加速させていく要因だ。
IPCCは「人類が化石燃料の消費によって毎年排出するCO₂の量は約70億炭素トンで、今後さらに増加すると予測されている。
異常気象は人為的現象 IPCCが緊急メッセージ
一方、自然界が1年間に吸収できるC0₂の量には限りがあり、人為的な排出量のうち約30億炭素トンにとどまると推定されている」と指摘、何としても低炭素社会への転換を急がねばならないとする。
地球温暖化対策で森林と木材製品が果たす役割は大きい.すべての伐採は森林破壊だとか、伐採そのものが気候変動に加担しているという間違ったメッセージはIPCCも否定している。むしろ適切に管理され循環生産が可能な森林を積極的に活用することでより多くのC0₂を吸収、固着することが重要で、そのためにも森林の健全化が必要だ。森林と木材製品のこうした重要な機能は、まだ正しく理解されていない。IPCCが強調する低炭素社会の実現において、鍵を握るのは木材である。
国民一人ひとりの力を結集
企業もブランドイメージに活用
内閣総理大臣がチームリーダーを務めるチーム・マイナス6%は、平成17年4月に閣議決定した京都議定書目標達成計画に基づき、小泉純一郎首相 (当時)を本部長とする内閣の地球温暖化対策推進本部の肝いりで始まった国民運動.約束した温室効果ガス6%削減の目標達成に向け一人ひとりの力を結集することを目的に活動している。
行動目標は、①冷房は28度に設定しよう(温度調節で減らそう)②蛇口はこまめにしめよう(水道の使い方で減らそう)③エコ製品を選んで買おう(商品の選び方で減らそう)④アイドリングをなくそう(自動車の使い方で減らそう)⑤過剰包装を断ろう(買い物とゴミで減らそう)⑥コンセントをこまめに抜こう(電気の使い方で減らそう)の6項目。だれもがすぐに取り組める身近な対策と個人であればホームページにアクセスするだけで登録できる簡便さが国民の参加意識を刺激し、登録数は220万人、2万団体を超えた。特に夏場の軽装を促す「クールピズ」やスーパーの袋を代用する「エコバッグ」の使用などの取り組みはチームの枠を超えて浸透している。
19年6月からは当時のチームリーダーである安倍晋三首相の「I人1日1キログラムのCO₂削減」の呼びかけに呼応し、身近な行動でどれだけ削減できるか宣言する「私のチャレンジ宣言」を開始。数十項目の対策のなかから日常生活でできると思う項目をネット上で選択すると1日にどれくらいの量のCO₂を削減できるか算出できるようにした。これには多くの協賛企業が応援キャンペーンを行っており、チャレンジ宣言カードを利用すると様々な特典が得られる。
住宅会社では三洋ホームズが戸建て住宅を購入した人に太陽光発電システム1キロワット分を無料で提供したほか、大和ハウス工業がホームページの応募フオームでカードを添付して申し込んだ人にエコバッグか「環境住宅読
本」を進呈.東急ホーム(現・東急ホームズ)も展示場でカードを提示した人にエコバッグを進呈するキャンペーンを行った。すでにチャレンジ宣言は60万人を突破し、今年度中にも100万人の達成が見込まれている。企業にも環境貢献はいまやブランド価値を高める重要な要件となっており、自社のマーケティングに絡めて応援キャンペーンを展開したり、登録すれば自由に使えるロゴマークを使って環境貢献をアピールしている。
参加企業が年1回行う活動報告もホームページに随時掲載されている。旭化成グループが家庭での電気、ガス、水道などの料金や使用量から1ヵ月間のCO₂排出量が計算できるエコ生活支援プログラム「Ecoゾウさんクラプ」をホームページ上で展開していることや、積水化学工業が03年度に設けた「環境配慮製品基準」を06年度には「環境貢献製品基準」に発展させ、自社だけの取り組みでなく、製品や事業を通じて広く外部への波及を図っていることなどが紹介されている。
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