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活動時期が明らかにされていない活断層を
◆資料
『検証・日本列島』生越忠氏著 発行者 安部林一郎氏 日本文芸社 )
地震国・日本には、原発は似合わないのでは?
・地盤・地震問題が軽視されがちだった原発の安全性論争
考慮すべき活断層から除外しているようなことはないか
ところで、ある一つの断層の活動時期は、もし、すべての年代の地層がそろって発達している地域では、その断層で切られている地層の年代と、その断層で切られていない地層の年代とを調べることによって明らかにすることができる。
しかし、どの地域にも、すべての年代の地層がそろって発達しているわけではないから、たとえば五万年前以降の地層がまったく分布していなければ、そこの地域に存在する断層が五万年前以降に活動したかどうかは、地質学的には判断できない。
ゆえに、そのような断層は、原子炉設置にあたって考慮すべき活断層なのかどうかも不明ということになるが、そのことを理由にして、そのような断層を考慮すべき活断層から安易に除外しているようなことがあれば、場合によっては、原子炉設置にあたって考慮していなかった活断層を震源断層とする直下型地震が発生することもありうるのである。
ここで、浜岡原発3号機の敷地内で、同原発の基礎岩盤である新第三紀中新世の相良層を切る断層の活動時期を検討してみると、相良層を不整合に被う新期堆積層には、段丘堆積層および沖積層がある。そして、段丘堆積層の年代を示す資料は存在しないが、同層は低位段丘堆積層なので、常識的には、洪積世新期ないし同世末期のものと考えられる。また、沖積層の年代については、そのなかに含まれる木片によって、八〇八〇年プラス・マイナス一七〇年前ないし一万一五四〇年プラス・マイナス二四〇年前という測定値がえられているが、沖積世の始期は、約一万一〇〇〇年前なので、この沖積層のうちの古い部分は、正しくは洪積世末期に属することになる。
ところで、相良層中の断層は、これらの新期堆積層を切っていないから、約一万二〇〇〇年前から現在までの間には活動しなかったといえるにしても、約五万年前から約一万二〇〇〇年前までの期間にも活動しなかったという証拠は、まったく存在していない。ゆえに、相良層中の断層が浜岡原発3号機の設置にあたって考慮すべき活断層なのかどうかは、現段階では不明としかいいようがないのである。
ところが、この原発の設置主体の中部電力は、相良層中の断層は将来活動する可能性がないものと見なし、したがって、考慮すべき活断層とは認めなかった。
電力会社は、これまでにも、断層の死活の区別が不明なものについては、いとも簡単に死断層として片付けてしまうということをしばしばおこなってきたが、相良層中の断層についていうと、これは、死断層かも知れないし、約一万二〇〇〇年前よりも古い洪積世のある時期に活動した活断層かも知れないものである。ゆえに、相良層中の断層を考慮すべき活断層から除外してしまうというやり方は、決して安金側に立ったものとはいえないのである。
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2011年03月29日
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考慮すべき活断層の活動時期を著しく新しいものに限定することは妥当か
◆資料
『検証・日本列島』生越忠氏著 発行者 安部林一郎氏 日本文芸社 )
地震国・日本には、原発は似合わないのでは?
・地盤・地震問題が軽視されがちだった原発の安全性論争
そこで、耐震設計審査指針における活断層の定義について、また、右の指針において考慮すべき活断層の活動時期を著しく新しいものに限定したことについて、その当否を検討してみると、まず、第四紀に活動した断層であっても、将来は活動する可能性がない断層は考慮すべき活断層とはしないとしている点については、原子炉設置に支障がある活断層のみを考慮すべき活断層として認めるという実用上の見地からすれば、とくに問題はないということができる。
しかし、将来活動する可能性の有無の正確な判定は、至難の業であり、これを誤ると、考慮すべき活断層を除外してしまうことになるのである。
ところで、耐震設計審査指針は、前述したように、考慮すべき活断層の活動時期を著しく新しいものに限定したが、これは、繰り返し活動が確認されている活断層の活動の繰り返し期間は、活断層ごとにもちろんことなるにしても、おおむね数百年ないし一万年程度と考えられていることに基づいている。
活断層の活動の繰り返し期間が活断層の発掘調査などによって解明された例として著名なものに、一九三〇年(昭和五年)一一月二六日の北伊豆地震の震源断層となった北伊豆活断層系があるが、これは、過去六千数百年間にほぼ七〇〇〜一〇〇〇年の間隔で比較的規則正しく繰り返して活動しており、その回数は、北伊豆地震を引き起こした活動を合めて九回を数えることが確かめられている。
そこで、耐震設計審査指針では、ほぼ一万年前から現在までの間に活動した活断層は、将来も再活動する可能性があるが、ほぼ一万年以上の長期にわたって活動していないものは、将来再活動する可能性はないと見なした。そして、B〜C級の活断層については、繰り返し期間が五万年までの活断層も、安全側に立って、設計用地震の評価に取り入れることにしたものである。
しかし、北伊豆活断層系のように、発掘調査までおこなって活動時期を明らかにすることができた活断層は、現段階では、まだきわめて少数にとどまっている。そして、活動の繰り返し期間がかなり長く、歴史時代に被害地震の震源断層になった記録もないような活断層については、活動時期が明らかにされていないものが非常に多い。ゆえに、活断層の活動の繰り返し期間をおおむね数百年ないし一万年程度、長くても五万年程度とする考え方の当否については、現段階では、まだ解明されていないというべきなのである。
このように考えると、耐震設計審査指針で、考慮すべき活断層の活動時期を著しく新しいものに限定したことは、やはり失当というべきであろう。
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考慮すべき活断層の活動時期も限定
1、考慮すべき活断層とは?
◆資料
『検証・日本列島』生越忠氏著 発行者 安部林一郎氏 日本文芸社 )
地震国・日本には、原発は似合わないのでは?
・地盤・地震問題が軽視されがちだった原発の安全性論争
活断層とは、一般に、地質年代の最後の年代である新生代第四紀に活動したと見なされる断層をいうものであるが、耐震設計審査指針は、第四紀を、約一ハ○万年前から現在までの期間とするとともに、活断層については、「第四紀に活動した断層であって将来も活動する可能性のある断層をいう」と限定的に定義した。そのため、右指針によると、第四紀に活動した証拠があっても、なんらかの根拠によって将来も活動する可能性があるとは認められないものは、原子炉設置に支障のある活断層としては取り扱う必要がないことになるが、
右指針は、活動度が、
A級の活断層については、一万年前以降に活動したもの、
B級およびC級の活断層については、五万年前以降に活動したものと、原子炉設置にあたって考慮すべき活断層の活動時期を著しく新しいものに限定した。
しかし、活断層の活動度をA級・B級およびC級の三段階に区別することは、実際には、きわめて困難な場合が少なくない。それは、変位量はわかっていても、変位基準の形成年代がわからない
ために、平均変位速度を求めることができない場合が多いことによるものである。ゆえに、そのような場合には、年代の推定値あるいは地形の新鮮さなどに基づいて、活動度を大ざっぱに推定する以外に方法がないが、実際に、そのようにして活動度が推定されている活断層も少なくないのである。
それに、日本でこれまでに起こった内陸直下型の大地震あるいは大地震に近い中地震で、死者を出したほどの被害地震となったもののなかには、B級ないしC級の活断層の再活動によって引き起こされたものが枚挙にいとまがないほど存在しており、この約半世紀聞に起こったものについて見ても、戦後最悪の地震といわれる福井地震をはじめとして、表30に示したようなものがある。
ゆえに、活動度がA級の活断層については厳重な警戒が必要だが、活動度がB〜C級の活断層についてはさほど警戒する必要はないということにもならないわけである。
右に述べたような事柄を考慮に入れると、活断層の範囲や、活断層を活動度によってA級・B級およびC級に区別した場合の各級の活断層に対する評価については、なお検討すべき多くの問題点が残されているといわなくてはならないのである。
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考慮すべき直下地震をM=6.5に限定したことの「怪」
◆資料
『検証・日本列島』生越忠氏著 発行者 安部林一郎氏 日本文芸社 )
地震国・日本には、原発は似合わないのでは?
・地盤・地震問題が軽視されがちだった原発の安全性論争
ところで、現在、原子炉の耐震設計に関する安全審査は、一九八一年七月二〇日に原子力安全委員会が決定した「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について」(以下、「耐震設計審査指針」と略称)に基づいておこなわれているが、これは、一九七八年九月末の、当時の原子力委員会が原子力委員会と原子力安全委員会とに改組される直前の時期に作成したもので、その後、原子力安全委員会によって引き継がれ、現在にいたっている。
そして、これによると、原子炉の耐震設計に際して考慮すべき直下地震(原子炉設置場所にとって震源が直下に近い地震)は、既往の被害地震の記録に関係なく、M=6.5、震源距離一〇キロメートルの地震に限定することとされている。
しかし、全国各地に起こった既往の内陸直下型地震のなかには、前記の濃尾地震(M=H)を最大として、M=6.5以上のものが枚挙にいとまがないほど存在している。戦後最悪の被害地震である福井地震(M=7,1)は、福井平野の直下で起こった典型的な内陸直下型地震であるが、この地震による死者数(三七六九人)は、戦後に起こったいずれの海洋型地震によるそれをもはるかに上回り、内陸直下型地震の恐ろしさをきわめて明瞭に示す結果となった。
それにもかかわらず、耐震設計審査指針が旧原子力委員会によって決定されてからは、全国のどこの発電用原子炉についても、考慮すべき直下地震は、M=6.5、震源距離一〇キロメートルのものとされている。
たとえば、浜岡原発3号機の場合、当初の申請書では、一五八九年三月二一日(天正一七年二月五日)に大井川下流右岸(浜岡原発の立地点の北方約二〇キロメートルの地点)を震源として起こったM=6.7の「駿河・遠江の地震」を考慮すべき直下地震とされていたが、のちに通産省の指示によって書き替えられた補正申請書では、直下地震としてM=6.5、震源距離一〇キロメートルの地震を考慮することに改められた。
ところで、ある原発の立地点を襲うことが想定されうる地震のうち、直下地震は、震度の点では設計用最強地震および設計用限界地震を必ず下回るのであれば、考慮すべき直下地震の規模および震源距離をどのように限定しようとも、耐震設計上に大きな問題を生じることにはならない。しかし、震源距離が遣い海洋型地震よりも震源距離が近い直下地震のほうが、たとえ規模(M)はかなり小さくても、より高い震度になったという例は、これまでにも少なからず存在しているから、ある原発の立地点にとってもっとも高い震度の地震は、規模は小さいが震源距離の近い直下地震のほうで、規模は大きいが震源距離の遣い設計用最強地震および設計用限界地震ではないということも、ごくふつうにありうるはずである。
そして、内陸直下型地震の大部分は、海洋型巨大地震に比べて、規模がかなり小さいとはいうものの、前述したように、M=6‐5以上のものも多数存在しており、また、M=6.5以上、震源深さ二〇キロメートル以浅の内陸直下型地震が起こった場合には、しばしば地震断層が出現することが知られているから、原発の立地点で地震断層が出現し、それによって原子炉などの重要な設備の基礎岩盤が破壊されるといったことも、当然ありうることになる。
このように考えると、耐震設計審査指針が、考慮すべき直下地震の規模をM=6,5、震源距離を一〇キロメートルのものに限定したのは、著しく妥当性を欠くものといわざるをえないのである。
ここで、耐震設計審査指針が、考慮すべき直下地震に関して、右のように理不尽な限定をなぜにおこなったのかを推察してみると、それはおそらく、原子炉などの重要な設備の基礎岩盤に地震断層が出現し、基礎岩盤が破壊された場合には、いわゆる耐震設計は無意味なものとなり、原子炉などの重要な設備の安全性を現在の耐震技術によって確保することは不可能になること、したがって、直下地震が起こっても原子炉などの重要な設備の安全性は確保できるというためには、原発の立地点には地震断層が出現する可能性があるような直下地震は起こらないことにする必要があることによるものであろう。
要するに、耐震設計審査指針が、考慮すべき直下地震を前述したようなものに限定したのは、まったく「政治」的理由によるものであり、そこには、正当な科学的根拠はまったく存在していないといわざるをえないのだが、この点について、私の公開質問状に対する東京電力社長の回答は、「……設計上考えなければならない地震は、敷地及びその周辺を調査し、その結果、敷地において過去にマグニチュード六・五を上回る直下地震の発生、あるいは直下地震を発生させる可能性のある活断層が認められた場合は、マグュチュード六・五以上の直下地震を耐震設計上評価することになります。したがいまして、直下地震をマグュチュード六・五に限定して考慮しているわけではありません」となっている。
しかし、原発の立地点になっているような過疎地では、一般的にいって、過去の被害地震の記録が乏しいこと、また、どんな場所でも、活断層の存否を突き止めることは、詳細な調査を実施してもできない場合があること、などの諸事情を考慮に入れるならば、敷地において過去にM=6.5を上回る直下地震が発生した記録がなく、また、そのような直下地震を発生させる可能性のある活断層が認められなかったという場合、考慮すべき直下地震の規模をM=6.5に限定するのは、著しく妥当性を欠いているといわなくてはならない。
すなわち、地震の規模(M)の記録は、地震歴がふえるにしたがってたえず更新されていくから、敷地において過去にM=6.5を上回る直下地震が発生した記録がないからといって、将来にわたっても、そのような規模の直下地震が発生するおそれはないということはできない。また、そのような規模の直下地震を発生させる可能性のある活断層が地下深所に潜在し、地表面あるいはその付近では見られない場合には、ふつうの調査方法によっては、その活断層の存在を確かめることができず、その活断層の再活動による直下地震が発生するまで、その活断層の存在がわからないということになるのである。
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耐震設計に″落とし穴″
◆資料
『検証・日本列島』生越忠氏著 発行者 安部林一郎氏 日本文芸社 )
地震国・日本には、原発は似合わないのでは?
・地盤・地震問題が軽視されがちだった原発の安全性論争
以上に述べたように、日本の原発は、多少の程度の差はあるにせよ、すべて地震時の危険性をはらんでおり、「地震国・日本には、原発は似合わないもの」であることが明らかになる。
ところが、電気事業者側は、原発のなかでも安全上とくに重要な設備(原子炉および重要な機器など)は、耐実力を一般建築物の三倍に設計することとされており、また、この設計耐震力は、その地方で想定されうる最強の地震に対しても十分に安全であることを必須の条件としているので、地震時の危険性は、原発については心配無用といったいい方をしている。
たとえば、浜岡原発3〜4号機の場合には、歴史地震のなかで、同原発の立地点に最大の影響を与えたと見られる一八五四年十二月二三日(嘉永七年〈安政一年〉一一月四日)の安政東海地震(M=‥8‐4)を設計用最強地震として、また、地震地体構造上から、同原発の立地点を襲う地震の規模として上限と考えられるM=8.5の地震を設計用限界地震として考慮された。
そういうわけで、中部電力浜岡原子力発電所長のごときは、「東海地震(庄。同地震の想定規模はM=8.0)が起こって、ビルやマンションが倒れることがあっても、浜岡原発は大丈夫。東海地震が起こったら、浜岡原発へ逃げればよい」と真顔でいったこともあったというが、東海地震が起こった場合、浜岡原発の敷地が避難場所として開放されるなどということはありうるはずもないから、周辺住民のなかに、このような言葉をまともに信じるような人は、おそらく一人もいないだろう。
原発に限って、どんなに強い地震にも十分に耐えられるという道理はあるはずもないが、ここで、電気事業者側がいうところの「万全の耐震設計」の中身を検討してみると、まず第一に、地震の震度の記録はたえず更新されているので、「想定されうる最強の地震」をどのように想定するかということが大きな問題になる。
とくに、被害地震の歴史が短い場所では、過去の被害地震の記録から、その場所で起こりうる最強の地震を想定することはきわめてむずかしいが、原発の立地点の多くは、大昔から過疎地で、京都や江戸(東京)などのように古くから開けた場所と比べると、被害地震の歴史も一般に短いため、原発の立地点に最大の影響を与えたと見られる地震を歴史地震のなかから選び、それを設計用最強地震としてみたところで、その地震よりも強い地震が将来、原発の立地点を襲う可能性はきわめて大きい。
また、地震地体構造の研究をよほど精細におこなわないと、設計用限界地震を過小に評価するという誤りを犯しかねないことにもなる。
浜岡原発3〜4号機の場合、設計用最強地震として安政東海地震が考慮されたことには問題はないとしても、設計用限界地震の規模をM=8.5としたことには、若干の疑問が残る。それは、過去に東海沖−南海沖に起こった巨大地震の規模の上限は、たしかにM=8.5であるにしても(表I・表6=22〜25・35ページ参照)、日本と同一の環太平洋地震帯に属する他の地域では、M=9クラスの地震もしばしば起こっているからである。
次に、耐実力を一般建築物の三倍に設計すれば、どれほど強い地震に襲われてもはたして安全性を保ちうるのかということも、問題にしなくてはならない。
すなわち、原発の立地点が地震に襲われると、原発に対してこれを倒そうとする力が働くが、この力よりも原発が倒れまいとする力(耐震力)のほうが十分に大きければ、計算上は、原発は倒れないで済むことになる。そこで、原発の耐震設計では、安全上とくに重要な設備の設計耐震力は、建築基準法に定められている一般建築物の設計耐震力の少なくとも三倍になるように決められているのだが、たとえば、設計用限界地震を過小評価したために、これを超える強さの地震が万が一にも起こったというような場合、設計耐震力を一般建築物のそれの三倍にしたからといって、安全性を保ちうるとは必ずしもいえないのではあるまいか。
また、かりに原子炉は安全であったとしても、配管類などの損傷によって重大事故が発生するという場合もありうるはずである。
さらに、原発の立地点の基礎岩盤に、地震時に際して地震断層が出現し、水平または垂直方向に大きなずれが生じた場合には、いかなる耐震設計も無意味なものになりかねないことをも、ここで問題にしなくてはならない。
地震断層は、すでに述べたように、M=6‐5以上、震源深さが二〇キロメートル以浅の内陸直下型地震が起こった場合に、しばしば出現する。そして、日本では、これまでに二一例が知られているが(表5=〜0〜34ページ参照)、濃尾地震の際に出現したものが最大で、変位量は、垂直方向に最大六メートル(水鳥地震断層)、水平方向に最大八メートル(根尾谷地震断層)に達した。また、二一例のうち、海洋型地震によるものは、安政東海地震および関東大地震の際に出現した各一例ずつがあるだけで、さらに、二一例のうちの一七例までが、M=6.5以上の地震に際して出現している。
しかし、現在の地質学あるいは地震学の水準では、地震断層の出現しそうな場所、出現した場合の延長距離や変位量などの予測は、まったくできない。
また、地震時に生じる地盤変形には、地震断層によるずれのほかに、隆起・沈降・陥没や地割れなどもあるが、これらの予測も不可能である(ただし、たとえば東海大地震が起こった場合、御前崎が隆起するだろうといったようなことは、ある程度予測できる)。
そのため、これらの地盤変形は、地震時における原発事故の重要な原因になりうるにもかかわらず、耐震設計では考慮外におかれている。原発が地震に襲われた場合、原子炉などの安全上とくに重要な設備の耐震力が一般建築物の三倍に設計されていたとしても、基礎岩盤自体が瞬時に大きく変形してしまえば、原子炉などが破壊されるという最悪の事態が起こりうることも十分に予想されるのに、である。
このように、原発の耐震設計には、大きなJ洛とし穴〃が存在しているといわなくてはならないのだが、この点について、私の公開質問状に対する東京電力社長の回答では、「………仮に原子炉建屋の耐震力は十分にあっても、強い地震が起こった場合、基礎岩盤が大きく破壊するのではないか、とご懸念されていますが、原子炉建屋直下及び周辺部の地質状況並びに基礎岩盤の強度等を詳細に調査し、地震を起こすような断層がないこと、並びに、想定し得る最大の地震動を受けても基礎岩盤が健全であることを確認しておりますことから、基礎岩盤が破壊されるおそれはないと考えられます」とされている。
しかし、東京電力は、柏崎・刈羽原発1号機の敷地を真殿坂断層と呼ばれる活断層が通り抜けているという明白な事実を隠蔽し、また、信濃川の西方を走る気比ノ宮断層については、敷地に影響を与える活断層であることを認めているものの、実際には三〇キロメートル以上もある延長距離を一七・五キロメートルと短く判定して、敷地に与える影響を過小評価した。さらに、同原発1号機の基礎岩盤の単位体積重量および一輛圧縮強度の平均値を最低値といってごまかし、これらの岩石試験値のばらつきを実際よりも小さく見せかけようとしたことは、前述したとおりである。
なお、かりに真殿坂断層が東京電力のいうように活断層ではないとしても、震源断層となる活断層が地下深所に潜在し、ボーリング調査などの通常の地質調査の方法によってはとらえられない場合も多いから、「地震を起こすような断層がない」などということは、だれにもできないはずであり、それゆえにこそ、内陸直下型地震の予知は、現段階では不可能なのである。
もし、東京電力が、どんな場所についても、詳細な調査を実施しさえすれば、震源断層となるような活断層の存否を明らかにすることができるというのであれば、同電力は、内陸直下型地震が起こりうる場所と起こりえない場所とを正確に見分ける能力を待っていることになるが、同電力がそのような能力の待ち主でないことは、ここで改めて指摘するまでもない。
いずれにしても、原子炉建屋の基礎岩盤が破壊されるおそれはないという東京電力社長の説明には、なんの科学的根拠も存在していないのである。
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