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「こんにちは、HAL9000です」
「こんにちは、娘のHAL子でーす」
「二人併せてHALウララでーす。負けても負けても勝ち組でしたー」
娘「なあ、お父ん。小遣い全部使うてしもうた。カネくれ〜っっ」
父「ワシも全然カネ無い〜っ。小遣いくれ〜っ」
娘「ちっ、しけとんのー」
父「女の子がそんな言葉使うな」
娘「しゃあないのー、バイトでもするしかないか」
父「はじめからそうせい。けど、バイト言うたかて色んなバイトがあんぞ」
娘「バイトの定番と言えば、やっぱり喫茶店でしょ」
父「えー、お前には向いてへんやろ」
娘「どこが向いてへんのよ」
父「せやけどお前、威厳無いやん」
娘「威厳無いか?てか、威厳なんか必要?」
父「それにタバコ吸わへんし」
娘「一応まだ未成年やからなあ」
父「なによりお前、ヒゲ生えてへんやろ」
娘「なんで、いきなりマスター?
ウエイトレスや、ウエイトレス。ウチがやりたいんは」
父「ていうことは、お前の働いてる店に行っても奢ってもらわれへんのか?」
娘「高校生の娘にたかるな!」
父「ちっ、しけとんの」
娘「あほか、お前が言うな。
せやけど、聞いてんで。」
父「ナニを?」
娘「お母んと知り合うたんはバイト先、しかも喫茶店やってんやろ?」
父「あー、そうやったなぁ」
娘「その時の話ちょっと聞かせてぇや」
父「そうやなあ、ほな話したるわ。
その喫茶店は当時スゴイ評判の店でな。今のコスプレとかメイド喫茶みたいに
バイトの子ぉが変わったカッコして働く店やったんや」
娘「えー?!20年以上も前の話やろ」
父「そうや、当時は『仮装喫茶』て言うとったんや」
娘「・・・なんかダサ・・・」
父「ダサい言うな。連日大賑わいやってんぞ」
娘「そこへ行って知り合ったんやな?」
父「そうそう」
娘「ほんで、ほんで?どんなカッコして働いてたん?」
父「あの頃大人気のアニメのコスチュームしてたわ」
娘「アニメの?ナニナニ?」
父「ガンダムのシャア少佐」
娘「お前が働いとったんかい!」
父「え?あかんかった?『赤いウエイター』て呼ばれとったんやけどな」
娘「あかんとかやなしに、もうきしょいわ」
父「あれはあれでエエ稼ぎになんねんぞ。
お前やってバイトする前に面接受けるやろ。その時に多少は制服の注文が出てくんねんぞ」
娘「そうかぁ・・・。そうやなぁ。まあスカートが多少短いとかは我慢しなアカンとは思ってるけど」
父「そうやろ」
娘「でも、メイド喫茶とかはやっぱりできひんわ。あんな服よう着ぃひんわ」
父「まあメイド喫茶のユニホームはちょっと抵抗あるかのう」
娘「実は時給のエエ店見つけてもう面接も受けてんねん」
父「へー、時給いくらなん?」
娘「1000円。エエやろ?」
父「サ店で1000円はエエんちゃうん?」
娘「しかも三食昼寝付き」
父「住みこみ?!」
娘「エエ時給やろ」
父「どんな店?」
娘「お店の人が言うには、『ウチは歴史があって日本で最初の店です』て」
父「ほー、日本最初の喫茶店かいな」
娘「うん、京都が最初らしいけど」
父「そら初耳やな」
娘「で、トーストとかサンドイッチとかが無いらしいねん」
父「へー、コーヒーだけかいな。コーヒーにこだわりのある店みたいやな」
娘「そうみたい。『ウチはノーパンが売りです』て言うてたし」
父「そらノーパン喫茶やろ!」
娘「え?でもパンが無いからノーパンとちゃうのん?」
父「お前が言うてるのは食パン、アンパン、メロンパンの食べるパン!
向こうが言うてるのはパンツ、パンティー、パンティストッキングの穿くパン!」
娘「あ、でもパンストは穿いてもエエ言うてた。直ばきやったら」
父「え〜、しかもマニア向けの店ぇ」
娘「そうかぁ、ノーパン喫茶やったか、あの店。上手いことごまかしとったな。全然気付かんかったわ」
父「いや気付こう、な。店の雰囲気とかで。何となくこの店おかしいなぁ、いう所無かったか?」
娘「そういや、二階の床ガラス張りで一階から上が透けてみえてたなぁ」
父「むこう全然ごまかしてへんやん。直球勝負やん。お前どんだけボーっとしとんねん」
娘「ボーっとしてる言うな。ボケーっとしとんねん、ウチは」
父「余計悪いわ!その店どこじゃ、文句言いに行ったる」
娘「もう、やめてぇや。恥ずかしいやん」
父「恥ずかしいのはこっちや。娘がノーパン喫茶で働くなんて許せるか」
娘「お父ん、心配してんの?」
父「当たり前やろ。客として行った時に娘がノーパンで注文取りに来たら、気まずいやんけ」
娘「目ぇ噛んで死ね!」
父娘「ほな、サイナラー」
<了>
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