中途半端

ご無沙汰だけど、生きてはいる

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《迷子の心得》

もの凄い人混みの中では、横に並んで手を繋ぐより、親のベルトを掴んですぐ後ろを歩け。
万一迷子になった場合は、気づいた時からそこで動くな。

小学校を卒業した春休み、親父が自分と妹を東京につれて行った。
生き物飼ってる家業だから、旅行なんかしたことなかったのが、いきなり、東京。
親父は、養鶏業者団体の旅行で海外にも行ってたケド、自分と妹は、飛行機に乗ったのも生まれて初めて。
余談だが、その時の自分は満13歳で、大人料金が適用されるはずだった。
が、親父曰く。
「飛行機で重要なのは重量で、年齢は体重の目安に過ぎない。平均以下のお前が、大人料金を払う必要はない」
……おいおい、オッサン(- -;)
そりゃ確かに、小児運賃で済む妹の方が重かったけどね。
普段は遵法精神ガッチガチの親父に、まさか年齢詐称をさせられるとは思わんかった。

ともあれ、上野動物園、東京タワー、霞ヶ関ビルと、一般的お上りさんコースの東京見物。
その最中、観光客でごった返す東京タワーで、自分は不覚にも迷子になった。
親父の後ろを歩いてたはずが、いつの間にやらはぐれてたんだな。人波に持ってかれたのかも知れんが。
親父も、妹の方に気を取られてたんだと思う。
上る前だったか、下の方の展望台だったか…どっちだろ?
土産物とか売ってるワゴンがあったような気がするケド、とにかく気づけば周りは総て人の壁。
親父は、あの年代の人間にしては背が高くて目立ったが、いかんせん、自分が人に埋もれていては探しようもない。
うーむ、これはいけん。

人もあろうにこの自分が迷子になった、という現実。実は、ものすごーく認めたくなかった。
ガキなりにプライドが傷ついたワケやね(笑)
しかし、事実は事実。この上は、恥の上塗りにならんよう、潔く事態に対処するしかない。
まずは「迷子の心得・その一」だ、と、人波に逆らってその場でムリヤリ仁王立ちしていたら、しばらくして親父が戻ってきて見つけてくれた。
叱りもせずに、「ようじっとしとったの」と褒めてくれたおかげで、プライドは崖っぷちで救われたさ(笑)
親父と一緒にいた妹の方が、半ベソだったけどね。


ちなみに、「迷子の心得・その二」は、
知らない人に声を掛けられたら、親がすぐ来ると言え。
「その三」が、
これはいかん、と思うまで待っても親が来なければ、なるべく近くの店員さんとか駅員さんとか、そういう人を探して事情を説明しろ、だった。

そんなだから、もう少し歳がいくと、
「目で見て、口で尋ねて、耳で聞け。金さえ無事なら何とかなる」
という、知らん土地での非常事態の心得になるワケやね。

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