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「ぴこぴこ」ってのは、乳幼児にくわえさせる「おしゃぶり」のコト。ウチではそう呼ばれてた。 多分、胴体の方を強くつまむと、ぴこぴこ音がしたんじゃないかと思う。 ほら、よく幼児用の靴のかかととかに仕込んであるヤツ。あんなカンジ…じゃなかったかな。 自分、おしゃぶり取れるのは、結構遅かった。3歳くらいだったかなあ。くわえてたの覚えてるさ(^ ^;) 多分、もうとっくにやめてなきゃいかんかったのを、「持ってるだけ」とか言ってごまかしてたらしい。くわえてるトコ母親に見つかると怒られたし。「やめんと捨てるよ」と脅されるだけだったケドね。 その頃着てた服は、だいたい胸か腹にでかいポケットがあったから、そこに入れといて、親の姿がない時にくわえるワケ。で、やばい、と思ったら、さっとポケットに(笑) ある時、見つかりそうになって慌ててポケットに隠そうとしたら、ぽろっと手からこぼれた。 大事なぴこぴこが、敷地の境の金網の下から、外に転がり出てしまった。 ウチの周りはまばらな雑木林で、ちょうど金網の辺りから下りになってて、10メートルほど下の行き着くところは農業用の溜め池。 金網は、その溜め池をぐるっと囲んでいる。当然、出入りのために切れてるトコはあるんだけど、溜め池には絶対に近づいてはいけないと躾られていた。痺れるほど水が冷たくて、すり鉢状に深くなってるから、危ないんだわ。 なので、外から回って拾いに行くなんてことは、思い付かない。 でも、早く拾わないと、親に見つかる。見つかったらそのまま処分される。 必死になって金網の下から手を伸ばしたら、指先が届いた。 よしっ、何とかこっち来い…こっち……あ! 斜面の石ころにかろうじて引っかかってたぴこぴこは、ちょんとつつかれて、ころころとさらに転がり落ちていった。 焦った自分は、さらに手を伸ばした。でも、石ころだらけの地面と下枠に腕が挟まれて、全然届かない。 こ、これはいけん。 ますます焦った自分は、その辺から棒きれを拾ってきた。棒でもってこっちにかき寄せようというワケ。 網の目から棒を突きだすと、斜め下のぴこぴこに届いた。 ……届いたケド、それだけだった(T_T) 何故なんだーー!(←3歳児、心の叫び(笑)) その時は、届くのに動かせないのが、すっげー悔しくて悲しかったんだけど。 今考えると、当たり前だわな。斜面の上から斜め下に棒が届いたところで、どうやって上に上げるんだ。しかも、金網の目で棒の可動範囲は限られてるし。 道具を使う、その発想は良かったんだけどねー。 それからしばらく、ぴこぴこは雨ざらし日ざらしでそこに転がってた。 見えるトコにあるだけに悔しさが募ったケド、自分で落っことしたとあっては、もう仕方がない。 でも、かなり長い間、未練がましく取ろうとしてたな(笑) 何年後だったか、ウチの敷地が広がって、金網も数メートル下にカッコいいのが立て直された。 自分は小学生だったと思うケド、日曜に養鶏場の手伝いに連れてかれた時、ぴこぴこを探した。 や、今更どうしようってワケじゃないケド、落とした場所は分かってるし、何となく、何となく(^ ^;) 結局、見つからんかったケドね。 生前、実家の庭で草引きしながら、 「前の家は、ちょうどここら辺に箪笥を置いとって、引き出しの奥に、一個だけ供出せずに隠しといた指輪が…」 と言いつつ、かりかりと地面を熊手でかいていたばーさん。 供出っても、今の若い人にはピンとこないかな。日本は資源がないからね、戦争で輸入が止まるとあって間に不足して、農作物はもちろん、金物、貴金属、馬、果ては犬猫まで、国民から半強制的にかき集めたワケ。貴金属については安く買い上げたっちゅう話もあるケド、その辺はよく知らない。 空襲で家が丸焼けになった後、ばーさんの指輪は、さんざん探しても見つからんかったらしい。何年たっても諦めきれんかったんやね。 自分は、確かにアンタの孫ですわ(^ ^;)
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2005年12月22日
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