中途半端

ご無沙汰だけど、生きてはいる

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入院中のばーさんは、そこが自分の家じゃないってコトは分かってたっぽい。
ケド、不思議なコトに、「帰りたい」とは一度も言わんかった。
病院だと理解してる時と、どっかの別荘だか旅館だかで療養してるつもりの時とがあった気がする。
で、ある時、自分に向かって、こんなコトを言い出した。

「アンタ、ここの年季が明けたらウチへおいでな。やぁがおってもかまん、連れといで。お庭もあるんぞな。広いけれ、遊ばしたらええ」
(直訳 : アンタ、ここの年季が明けたらウチへ来なさいよ。赤ちゃんがいてもかまわない、連れておいで。お庭もあるのよ。広いから、遊ばせればいい)

この後、部屋はちゃんとしたのがあるとか、じーさんの盆栽だけは赤ん坊に触らせちゃイカンとか、イロイロ雇用条件が続いたんだけど…。
あの、自分、独身だしコドモ居ないです。(←当時)
……ってか、それ以前に、年季奉公の住み込み女中じゃなくて、アンタの孫ですがな(^ ^;)
まあ、誘うくらいだから、気に入ってくれたんだろうケドさ(笑)


ばーさんの記憶は、ぐるぐるループしてるカンジだった。
「ウチ」と言ったのが、ばーさんの里のコトだったり、婚家のコトだったり(- -;)
自分の母親は、ばーさんにとっては息子のヨメなのに、時々、実の母親だと思ってたりした。
自分の弟は、初の男孫だってんでムチャクチャかわいがってたのに、生まれたコトすらよく忘れてるし(T_T)
たま〜に話に出たと思ったら、ばーさんの記憶の中では、相変わらず小学校低学年だし。とっくにハタチ過ぎてるってばよ(笑)
時々、見舞いには来てたんだけど、どうも、病院のスタッフだと思ってたようで。あんなにじーさんそっくりなのになあ。
せめて息子と間違えてやれよ、ばーさん…と思ったんだけど、どうも、息子が2人いたのも忘れてたみたいだな。

ケド……長男が死んでダンナが死んで、跡取った次男まで死んだのも忘れてるワケで。
その次男の葬式で、「この家の男が絶えてしまう」って、棺桶にすがって泣いたのも忘れてるワケで。
…まあ、コレはコレでいいんかもなー、と思った。

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