中途半端

ご無沙汰だけど、生きてはいる

ばーさんの思い出話

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明治34年に生まれて、平成9年にあの世へ行った、父方のばーさんのコト。
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入院中のばーさんには、毎日、血圧測定があった。
ある日のコト。
いつものように看護師サンがやってきた。ばーさんに声かけて、血圧計を開く。
ばーさんの腕に加圧帯を巻くのと、聴診器を当てるのと、イヤーチップを耳に入れるのと、全部同時進行にしか見えん手際の良さ。
ケド、片手に聴診器の先っぽ持って、片手にしゅかしゅかやるゴムの球を握って……、どんどん訝しげな顔になる看護師サン。

「…ん、……んん?? ばあちゃん脈が無いがね! どこ行ったん!」

いや、『さまよえる湖・ロプノール』じゃあるまいし、どこにも行ってない…はず(^ ^;)
ばーさん、脈弱いんで分かりづらいのよ。
しばらく聴診器で探って、無事発見。良かった良かった。

ばーさんは、血圧自体はすっげー安定してるんで、測り損ねると一発で分かる。
学生サンの実習にはうってつけかも。
実際、「すみません、もう1回測らせて下さい」って戻ってきたのが何人か。
ばーさんは、耳が遠い上に窓の方ばっか向いてるから、緊張しまくりの実習生がベッド脇に来て声かけても、全然気づかん。
すまんね学生サン、シカトしてるワケじゃないよ、聞こえてないだけ。

時々、男子学生もいたけど、コレはばーさんにとっては謎だったらしい。
医者はオトコ、看護婦はオンナ、てのがばーさんの常識だから。
長い白衣着てない…つまり、医者じゃない男のコが血圧測るってのが、どうにも納得いかんかったようで。すっげー不審そうなカオしてた(^ ^;)
仕方ないよな、明治生まれじゃな。


〈おまけ〉
ふと思い立って、腕伸ばして自分の肘の辺り見てみたら、静脈注射するトコのそばがぴっくんぴっくんしてる。
ははあ、コレが看護師サンが探してた上腕動脈やね…と思いつつ、手首の方に目をやると、やっぱそこもピクピクしてる。フツー脈測るトコだな。
面白いんで相方に、「ほーら、これがホントの『お脈を拝見』」つーて見せたら、「いや〜ん(T_T)」だってさ。
…あのな、静脈もほとんど見えんそっちの腕の方が、よっぽど「いや〜ん」だっつの。
看護師サン泣かせの静脈、も少し皮下脂肪が減ったら改善されるかなあ…? そもそもが深いトコだったらどうしようもないかあ…。
だって、せめて左右どっちかは簡単に針入れられる方が、何となく安心っしょ?
自分の腕の静脈なんか、ちょっと手ぇ下ろしてりゃ、縛るまでもなくぽこっと出るんだけどなー。
家で数年、寝たり起きたりをしてたばーさんだけど、自分が広島で仕事するようになって少し経った頃、入院した。
母親から入院したっちゅう連絡が来たんで、とりあえず見舞いに戻った。

で、ホントは、ボケた人にはやっちゃイカンのだけど、ついついやってしまう例のアレ。

「ばーちゃん、コレ誰?」
…と、自分を指さして訊いてみる。

ばーさん、チョット考えて、
「…ちはる!」(←ばーさんの姪の名前)

「違う、はるかよ」
「ん、はるかかえ」
いまいちピンと来てない風に復唱したあとで、ばーさんぽそっと一言。

「………半分、合(お)うとったの」(訳 : 半分、合ってたね)

わーははは、確かにそうだ〜! しかし、なーんでそんなコト、ぱっと思い付くかな〜?
これも座布団1枚っしょ(笑)
自分が就職して4、5年経った頃。
90歳近くなってたばーさんは、「胴が痛い」(腰が痛いの意)つーて一日中寝てるコトが多くなった上に、歳なりにボケてきてた。
弟は県外の大学行ってたし、自分と妹は出勤時間決まってるんで、一番自由が利く母親が、ばーさんに昼メシ食わせてから出勤してたんだけど。
みんなの留守中に、冷たい麦茶に山ほど砂糖入れて飲んで腹壊したり、トイレに間に合わんコトも増えたりして、チョット困るな〜ってカンジだった。

ある日、親戚のオジサンが来た。母親の、2番目の姉さんのダンナさん。
母親の兄弟姉妹は、連れ合い含めて仲いいんで、自分はガキの頃、このオジサンが一番上の兄さんだと思ってた(^ ^;)
で、母親が、ばーさんがボケちゃって…みたいな話をしたら、そんなコトはないだろう、とやおら立ち上がって、ばーさんが寝てる部屋に行った。

「ばあちゃん、ワシよ、分かるかな」
「……さて、覚えんかい」(訳 : さて、覚えてないね)
「ほんなら、ワシと○○さん(親父…つまり、ばーさんの息子の名前)と、どっちが男前ぞな?」

ばーさん、にやりと小さく笑って、曰く。
「……それはぁ、言えん」

オジサン、大爆笑。
「大丈夫じゃ、ボケとりゃせん」

母親が、
「ばあちゃん、何言いよんの。こんな白髪のおじいさんと○○さんじゃったら、○○さんの方が男前じゃろがね!」
と抗議するも、ばーちゃんは知らん顔。
そらまあ、親父は47歳から年食っとらんケド…ってか、真剣に反論する母親も母親(^ ^;)

とりあえず、ばーさんに座布団1枚かな(笑)
自分のばーさんが使ってた言葉の中には、未だに意味がよく分からんのがある。
1コは、「かっさいな」
あんまり良くない意味みたいなんだけど。拍手喝采の喝采とは、全然カンケー無いのは確か。
顔しかめて「あの子はかっさいなけん」とか言ってた。

も1コは、「ひして」
こっちは多分、「1日」って意味だと思う。
ミカンもぎ(ミカンの収穫作業のコト。実際には、もぐんじゃなくて鋏使うケドね)の時なんかに、「ひして2日(ふつか)かかるぞね」とか言ってたし。

何で意味不明なままかってーと、ガキの頃ばーさんに聞き返したら、
「若いもんが年寄り(としょり)をあざける」
つーてすねたから(- -;)
古くさい言葉遣いをからかわれたと思ったらしい。マジ分からんから訊いただけなんだけど〜。
後になって母親に訊いてみたケド、知らんかった。まあ、あのヒトは、県内は県内でも山の方の出だからな〜。

小学校1年か2年の頃だったかな?
センセが、「ひしこになって書きよる」って言ったことがあった。
「ひしこ」って言葉は知らんかったんで、休み時間に訊きに行ったら、「必死」ちう意味だった。
「ひしこで、とか、ひっしこたんで、とか、言わん?」と逆に訊かれたケド、言うどころかその時まで聞いたコトも無かった。他の同級生はフツーに使ってるって知ったのは、もっと後だ。
まあね、自分、同じ市内は市内でも南の端で育ったし。小学校は北東の端に近いトコなもんだから、時々こーゆーコトあったな。

だからばーさん、嘲笑ったワケじゃないんです。マジ疑問だっただけ。
その内、こんな言葉は全然耳にしなくなって、すっかり忘れてた。

すぐそばって意味の「ねき」とか、散らかるって意味の「さがれる」とか、聞かなくなった言葉って結構あるなあ。自分も使わんケドさ。
自分のツレってヨソの出身多いし、広島・高松にいた頃は伊予弁通じんしで、ずっと共通語でしゃべってたから方言かなり抜けたんだよな。…代わりに関西弁とかうつったケド(- -;)


「かっさいな」と「ひして」の意味をご存じの方、いらしたらコメントしてやって下さいm(_ _)m
久しぶりに思い出したからには、意味が知りたいっす。
記事中でじじばばがしゃべってるのは、古い伊予弁。
伊予弁てのは、広義では「愛媛県内」、狭義では「松山市とその周辺」の方言のコト。
自分は「松山市とその周辺」の意味でしか使わない。松山在住の人は、だいたいそうじゃないかな?
だって、同じ県内でも他地域の言葉は意味分からんのも多いし。宇和島や新居浜出身のツレに、「伊予弁てウチらの方言より柔らかいねえ」って言われたコトもある。

以下は、伊予弁の特徴。きちんと調べたコトはないんで、あくまで自分の印象。
○古語が多く残ってて、イントネーションはわりと平坦。
○音便が多い上に拗音・促音は落ちやすく、助詞も省かれがち。
○尊敬・謙譲・丁寧の敬語表現は、極めて種類が少ない。
○顕著な特徴がないせいか、大阪弁みたいな個性の強い言葉の影響を受けやすい。若い人は特に。
なもんで、自分がガキの頃と今ですら、かなり変わってる。
つまり、年代によってかなり言葉遣いが違うワケだけど、男女間でも結構違う。
地域差もわりと。山の方と海の方で違うのはどこでもある話だろうケド、小学校の通学班レベルでも、自分の班と隣の班では、既にチョット違ってた。


ちなみに、夏目漱石の『坊っちゃん』で有名になった「〜なもし」「〜ぞなもし」
あれは、そーとー古い伊予弁なんで、フツーの会話では、生まれてこの方一度も聞いたことない。
未だにああいう喋り方してると思ってる人、多いみたいだけど…てか、自分のツレ(広島生まれ・広島育ち)にもそう信じてたヤツいたしなー(- -;)

ついでに、自分が普段しゃべってるのは、ちょっと前の伊予弁+関西弁+北海道弁+共通語の、ごちゃ混ぜ。
関西ってのは、神戸とか大阪とか和歌山とかイロイロ混じってるから。そっちのツレと話してるだけでうつった。北海道は、昔ラジオで中島みゆきの番組聴いてたもんで、チョットうつって直らんまま。
ま、記事の文とそう変わらんワケで、ツレや相方と話してる時は、かーなり荒い。一人称も「オレ」とか「わし」とか混じるし。まあ、明治維新までは女もそう言ってたんだし…って、理由にならんか。
もちろん、親やお他人様相手には、それなりにカッコつけますともさ(^ ^;)
ボケボケになったばーさんと話す時は、意識的に古い伊予弁使ってた。
「嫌じゃ、お母さんでもそんなん言わんがね(笑)」
(意訳 : やっだー、お母さんでもそんな言い方しないわよ)
とは、たまたまそれを耳にした母親談。


《オマケの伊予弁講座》

●共通語「何をしているの?」を、単純な疑問文として、実家近辺の伊予弁で言ってみる。
 
「なんしよ(る)んぞな」……年配・男女※
「なんしよ(る)んぞ」 ・ 「なんしよ(る)んで」……少年以上中年以下・男性
「なんしよ(る)んぞね」……年配・女性※
「なんしよんの」……中年・女性※
「なんしよ(る)ん」……中年以下・女性、青年以下・男女

(注)
 ・ 区分は、あくまでも自分の判断なんで、実態とは違うかも。
 ・( )内の音は、省略されることも多い。
 ・ アクセントは「し」。語尾は下げる。
   特に※印の3例は、語尾を上げると、嫌みや不審、催促っぽいカンジが強くなるコトが多いんで、注意。

しかし、同じ「何をしているの」でも、叱責を込めた「一体何やってるんだ!」って意味で訳すと、「何をしよんぞ」とか「何をしよんのぞ(ね)」とかになったりもするんだよなあ。

……改めて列挙すると、結構ややこしいね(^ ^;)

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