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花火

僕が寝転がってテレビの高校野球を観ていると、僕のそばを伯父さんが歩いて通り過ぎようとして、僕を蹴飛ばした。
「あ、ゴメン…」
僕よりも伯父さんのほうが驚いた様子で、そう言って謝った。
その時僕は、テレビの野球の球の行方も忘れ、少し悲しい気持ちになった。
それは、蹴られたことがではなく、それが、伯父さんが視力を失ってしまったことを、あらためて思い知らされる出来事だからだ…
とは言え、伯父さんは完全に失明したわけではない。

6月に突然激しい頭痛を訴え、救急車で運ばれた先は広島市民病院。
そこの集中治療室へ彼を見舞ったのが、数日後だった。
脳内出血は右側で、視神経を損傷したとのこと。
だから、左目が完全に失明。
それに加え、右目の右半分も「飛蚊症(ひぶんしょう)」であまり見えておらず、彼の視界は右目の左半分だけになってしまった。
そんな状態なので、僕が足元に寝転がっていることすら見えず、蹴った本人が驚く始末だ。

今日は朝から母と一緒に伯父さんの家へ行った。
5月5日の日記に書いている、あの家だ。
伯母さんは相変わらず、体調が良くなさそうだが、夫の突然の不幸な出来事に戸惑い、いっそう不安そうな面持ちだった。
伯父さん自身、突如不自由な体になってしまったことで、うつ病気味らしく、背中を丸め下を向き、日に日にその症状は進んでいるように見えると、伯母さんが言っていた。

伯父さんの脳内出血は、幸いにも記憶や言語に障害が無かった。
だけど生活は一気に不自由になってしまった。
もちろん自動車の運転はもう出来ないし、顔を洗えば蛇口におでこをぶつけるし、食事を出しても、視界の外にあるものは見えていないから存在すら知らず、食べ残している。
突然そんな体になってしまえば、僕でも塞ぎ込んでしまうだろう。

でも今日は、嬉しそうだった。
今日は調子がいいと、本人も笑顔で言っていた。
僕と母が来ているのに加え、従姉(伯父さんの長女)夫婦も呉市から来ていて、嬉しかったのだろう。
だからなおさら、僕らが帰るときはとても寂しそうだった。

今日は宮島の花火大会だ。
海沿いにある僕のマンションからも、遥か遠くにではあるけれど花火は見えるし、迫力のある爆音も届き窓が震える。
僕は伯父さんに約束をした。
今日はもう無理だけど、来年は宮島の花火を見に連れていくと。
彼は少しのあいだ目を閉じていた。
その瞼の向こうには、目の前に大きく花開く無数の輝きが見えていたのかもしれない。
花火を見上げるように、うつむかずに生きて欲しいと、僕は願っている。

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