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野分(追記あり)

台風が過ぎ去り、急に寒く感じるようになりました。
皆様は、大丈夫だったでしょうか。

こちらは雨よりも風がすさまじく、夜中に古家をガタガタといわせながら、
朝にかけて通りぬけていきました。
久しぶりに怖かったです。

さて、源氏物語にも台風は出てきます。
1000年前も気象は同じという事でしょうか。

石井和子「平安の気象予報士紫式部」講談社α文庫

野分についても詳しくありました。

「野分たちて、にはかに肌寒き夕暮れ・・略・・(桐壺)」

桐壺帝が亡くなった更衣の母のところへ、命婦を遣わし文を送る場面。

この野分は台風ではないかということでした。
台風後、急に肌寒くなり秋がやってくると。

夏の高気圧を台風が東へ押しやり、
冷たい秋の空気を引き込む時のパターンだそうで、
まさしく中秋の名月あたりの頃にも台風はあるとの事。
ちょうど先日がそんな感じでしたね。

ちなみに、月がしみじみ綺麗だと桐壺巻ではその後にあるので
ここは、9月10日前後頃かと推定されています。

勿論、当時は台風は風速何十メートル以上という定義もなく
おそらくこの野分はこの様子から小型のものだっただろうともいわれていました。

本格的台風といえる野分については、
夕霧が紫の上を見てしまう野分の巻が有名です。

「野分、例の年よりもおどろおどろしく空の色変わりて吹きいづ・・(野分)」

その前の文に8月は秋好中宮の父の忌み月であり、
陰暦は今と1ヶ月ちょっとぐらい季節がずれますから
9月〜9月の中頃でしょうか。

夕霧は風で御簾が飛び散り、
障害物が無くなった部屋の奥にいる紫の上を見てしまいます。
樺桜のような美しい人であると。

その後夕霧は祖母である大宮(葵の母)の所に行きます。
大宮は大変喜び、
「この年になってこんな怖い野分は、はじめて」とわななき震えながら、
夕霧を頼もしく思うのでした。

夕霧は一晩中そこで過ごします。

「夜もすがら荒き風の音にも、すずろにものあはれなり。
心にかけて恋しと思ふ人のことはさしおかれて、ありつる御面影の忘れられぬを・・(野分)」

台風の風の中、恋しい雲井の雁よりも、
先ほど見た紫の上の面影を忘れられなくなっています。

暁方に風が衰え、村雨(むらさめ)のように雨がざっと降る頃、
六条院の離れた屋が倒れたという情報が入ってきます。
夕霧は養母である花散里を心配して再び六条院へ向かいます。

横なぐりの雨、空のけしきもすごきにと、
このあたりも今と全く変わりありません。

紫式部の描く細やかな台風描写を、
今と重ねあわせながら、大変面白く思いました。
(追記)
ちなみに、野分とは野を分けるほど強い風がふくという意味だそうです。
何となくその様子が想像できますね。
koten /にほんブログ村 古典文学ブログ

雪といえば、枕草子では<香炉峰の雪>が有名である。

雪のいと高う降りたるを
例ならず御格子まゐりて
炭櫃(すびつ)に火おこして
物語などして集りさぶらふに
「少納言よ 香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば
御格子上げさせて御簾(みす)を高く上げたれば 笑はせ給ふ(枕草子)


中宮定子が香炉峰の雪は?とたづねた時、
清少納言が白居易の漢詩を思い出し、御簾をかかげて雪を見たという話。

白居易の七言律詩の「香炉峰雪撥簾看」(香炉峰の雪は簾を撥げて看る)
をとっさに思い浮かべ、御簾を高くあげてみせた機知を自慢。

当時、女性ながら漢詩を知っているという事は、なかなかの知識人とされた。

源氏物語にも雪の場面が出てくる。
どの漢詩を手本にしたか勉強不足であるが、
若菜までの物語の中では、紫の上が窮地に追い込まれる場面に雪が表現されている。

朝顔の巻。
藤壷が亡くなり、朝顔の父桃園卿も亡くなった。
世間では光源氏の正妻として朝顔が
身分的にもふさわしいのではないかという噂も流れ出した頃、
源氏は朝顔の所へ雪の中、化粧をして弔いの見舞いに行くのであった。

紫の上は引き取った可愛い明石姫の世話をしながら、出て行く源氏を見ようともせず、
「馴れに行くこそ、げに、憂き事多かれけれ」と思う。

結局、朝顔は源氏を断り、
一生独身のまま上手に光源氏とつきあっていく聡明な選択をする。

もどってきた源氏は雪の降り積む中、雪遊びをさせる。
藤壷もその昔雪で山を作った遊びなどをされた事などを思い出して紫の上に語り、その夜、夢に藤壷が出てくるのであった。

ちなみに、この童女達に雪遊びの山を作らせている場面は
吉屋信子の「徳川の夫人達」にも同じように描かれていて、源氏物語の影響を感じた。
もっとも、江戸時代の大奥では源氏物語が盛んにもてはやされるようになり、
嫁入り道具他様々な意匠にも沢山取り入られているのはご承知の通りである。

イメージ 1

画像は「源氏物語の美術」より鏡台他


次の雪の場面は若菜上。
風邪気味で具合の良くない朱雀院の見舞いに光源氏が行った場面に雪は降っている。
朱雀院から女三宮を託され、ついに引き受ける返事をする光源氏。
その事を帰ってきて紫の上に話す場面も雪である。
紫の上の立場はこの事で大変苦しくなる。

そしていよいよ女三宮が降嫁して六条院に入り、光源氏と結婚する場面にも雪がある。

女三宮が藤壷のゆかりと思って引き取ったものの、目の前の女三宮はあまりにも幼すぎて光源氏は失望。
紫の上の幼い頃の方が、同じような年齢ながらはるかに見所のあった女性だったと思うのであった。
紫の上は今までと違って身分の高い女三宮に立場的にも苦しくなり、
女房達が不審に思ってはとみじろぎもせず、一晩中悲しく涙を流す。

ふと紫の上の夢を見て、あわてて帰ってくる源氏。
女房達は雪の中、ウソ寝をしてすぐにも開けず源氏を懲らしめる。
紫の上の袖が涙で冷たくなっているのを源氏は気付き本当に後悔する。
雪で今日は行けないという源氏に対して、女三宮からの手紙がやってくる。
とても拙い字に源氏は紫の上に対しても恥ずかしく思う。

雪の場面はその後も若菜下で光源氏が冬の月をめでて、
師走の雪の日に琴を弾く場面が出てくる。
これはおそらく女三宮の所で弾いている場面ではないか。

光源氏は紫の上には琴(きん)は教えていない。
また、妊娠5ヶ月で退出した明石女御も
どうして琴(きん)を自分に教えてくれなかったのかとうらめしく思うという文章があり、紫の上も師走は新春の準備で忙しく、春になったら女三宮の琴をききたいというあたり、
紫の上の所から女三宮の所へ移っていった光源氏を感じる。紫の上の心中は如何に?

宇治十帖でも雪の場面はあると思うが、
この物語前半の雪の場面は、紫の上の窮地を表すといえよう。

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