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女形・女方(=おんながた)
【意味】
歌舞伎で、女の役を演じる男の役者。また、その役柄。
江戸初期に、女歌舞伎が禁止されて以後に現れた。(『大辞泉』より)
【『女形』お喋り♪】
「女形・女方」と書いて、読みは「オンナガタ」。
これが、上記の↑存在を表す正式名称なんですけれども、これとは別の呼び方、聞いたことありませんか?
・・・・・・
そうっ!(・・・今、だれと会話をΣ( ̄□ ̄;)!?)
「オヤマ」って言葉、聞いたことありますでしょ?
私のイメージなんですけれども、文字通り堅く読む「オンナガタ」より「オヤマ」のほうが、ちょっと変則的な読み方にツウっぽいこなれた雰囲気がある気がして、こっちの方がなんとなくイイ♪って思ってました。
読んで字のごとくの「オンナガタ」は、まぁいわばNHKアナウンサー言語的な正解であって、こっちの読み方のほうが本当なんじゃないのかな?って。
でもある時のこと。
TVだったかなにかのインタビューで「オヤマ」と紹介された某役者さんが、やんわりと「オンナガタ、なんですよ」と訂正なさっていたのを聞いて、あれぇっ?と思ったんです。
クラシカルで特殊な響きをもつ「オヤマ」という言葉が間違いで(というより、お嫌で?)「オンナガタ」が正しいと、役者さん自身がわざわざ訂正するということは・・・こりゃ、なんかあるぞ!?と思ったんです。
で、ずうっと興味はあったんですけれども、ついこの前読んだご本に、もしかしてこれが答えか!?という記述を発見しました!
「オヤマ」という言葉の語源は、どちらかというとネガティブな、蔑称に近いものであったというのです。
話はグウーーーーっ遡りまして、歌舞伎発祥の時代よりさらに前。
ありがたい神社仏閣(_人_)・・・といえど霞を食っては生きてもいられず、参詣者のオココロザシにて存続をはかっていました。
神様が降り立つのは幽玄・深淵たる僻地――という訳もあってか知らず、由緒正しい神社仏閣は都会より僻遠の地にあるケースが多々あった。
出雲、熊野、出羽といった超有名どころといえど、参詣者をただ待っているだけでは・・・まぁ、ちょっとアガリが足りないというわけで、神社仏閣側からみずから皆さんのいるところへ出かけていって寄付金をつのるという方法をとります。
いわば押しかけ募金―――って、人聞きの悪い!
神社仏閣に参詣できぬ人々とて、寄付という手段で神仏に手をつかねるチャンスを作ってあげるのです、それもまた救済の道・・・チーン・・・って、私今なぜか神社仏閣側の回し者になってましたが!?
・・・そういうわけで、寄付金募集の集団が全国に散らばってゆくことになります。
善意に縋った募金活動をする時に、むくつけき男性だけがぞろぞろと並んでいるより、女性がいるほうが集金もうまくいく!というわけで、巫女や尼僧も数多く派遣されていきました。
集金方法にも一工夫。信心だけに縋っての地道な活動をするよりも、パフォーマンスで人を集め、一気に集金した方が手っ取り早いし効率もいい。
で、宗教に関連したありがたい歌を歌ったり踊りを踊ったりで、華やかに楽しくエンターテイメント♪で、お代は見てのお帰りというわけ。
・・・と、なってまいりますと、男より女の方がそりゃ綺麗だし、頑張ってれば応援したくなちゃうな〜というわけで、集金成績がどんどん上がってまいります。
集金が多ければ、彼女達を送り出した本家のご機嫌もよくなる、待遇もよくなる、自分自身も潤ってくる!となりますと、巫女、尼とて生身の人間。
いつしか寄付奉納の志より「とにかく、お金!」となってしまいます。
女のもっとも高く売れる武器といえば・・・彼女達はいつしか、地方の金持ちに身を任せ、金を巻き上げるような手段に奔るものさえ出てきました。
こうなってしまうと、もはや故郷には戻れないし、自堕落な生活はもうもとへは戻らない。
出先で落ちこぼれた女芸人たちは、景気のいいところを目指してもうどこへだって行く。なんだってやる―――
なかでも、熊野三山から派遣されてきた比丘尼たちのうち、落ちぶれ果てた一部が「お山の女」(=お山とは「熊野のお山」のこと)と称され、この言葉は手軽な売春婦の代名詞にさえなりました。
これが語源となり、「お山」といえば遊女、それも上等ではない下級遊女を指し、蔑んで呼ぶ言葉となったのです。
歌舞伎芝居が人の興味をそそる存在を題材にして狂言を作る以上、「遊女」という存在は女性役の中でも頻出することになったと思われます。
抑圧され、本能を売り物にして生きる女というのは、外側から見ても、その内面においても深いドラマを生むということなのでしょう。
遊女=お山を演じる芸が深く発展したことで、「オヤマ」という言葉が次第にニュアンスを変え、いつしか歌舞伎役者が女性を演じる芸そのものを表す言葉に転用されていったということらしいのです。
※「オヤマ」の語源には、このほかにも諸説あります
現在、私達が「オヤマ」という言葉から受けるニュアンスに、マイナスイメージや蔑みの意味は含まれていないとはいえ、蔑称から発展した言葉であることは間違いないようです。
現在の辞書には「オンナガタ」=「オヤマ」という書き方をされているものもありますし、語源はどうあれ意味的には完全に換骨奪胎されて「オンナガタ」と同様ですから、決して使ってはいけない言葉であるということはありません。
ただ、「オヤマ」という呼称を好まない人が存在する、というのも事実のようです。
★【江戸&歌舞伎コトバ事典】 50音順目次★ はこちらから↓
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/28334090.html
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勉強になりました!
私もどちらかと言えば『オヤマ』のほうが通っぽい感じがしていたのですが、そういう語源があったのですね〜。
2007/7/22(日) 午後 9:16
わ==面白かったです〜〜ペコリン
2007/7/31(火) 午前 1:48
ず〜っとオヤマって読んでました。へええ、そうなんですか。少し賢くなりました!
2007/7/31(火) 午後 2:00 [ eur*kaa**ha ]
私も、「オヤマ」って、通っぽい、昔から言われている正しい言葉だと勘違いしていました。。。でも、その割にはあまり「オヤマ」と聞かないかも…と思います。どっちがいいのか、両方言ったりしていたこともあったのですが、これからは「おんながた」と自信を持って(?)言おうと思います!
2007/8/5(日) 午前 0:08
たしかに役者さん自身が好まない呼び方だとは知っておりましたが、こんな背景があるとは・・。勉強になりました。
2007/8/13(月) 午前 1:53
こじゆ様っ、私この前、カナリ古い本で獅童丈の女形姿を拝見しましたっ!今のオットコマエ姿を観ていると、女形は身替座禅@玉の井(浅草の・・・浅草のインパクトが・・・もはやトラウマのように消えません(笑))や、伽羅先代萩@八汐(観たい!獅童丈の八汐!)系しか想像がつきませんけれども、いや、あの、かなり綺麗です!若いお腰元役でしたが、考えてみれば今だって細身の小顔、結構綺麗な女形に化けられるのかも!?
2007/8/15(水) 午前 10:37 [ 雪柳 ]
天ママ様、天ちゃんにひんやり枕は最高のプレゼントを差し上げましたな♪運ちゃん付きでお返しがきたってのはまたいいオチ(笑)落語の才能があるフォレットってことで売り出しましょうっ(←・・・どこに!?)これ、ちょっと「へぇ、そうなんだ」なネタでした〜。
2007/8/15(水) 午前 10:47 [ 雪柳 ]
KillerT様、私も飲んでました、学生時代にプロテイン!なんか学生時代はいつもお腹すいてたので(←分かりやすい貧乏学生だ・・・)トレーニング後のプロテインさえなんか嬉しかった記憶が(^^;私は牛乳で飲んでましたね〜。ねっ、これちょっと「へぇぇ!」ですよねぇ。日常の中にも無意識の差別語はたくさん潜んでいるのでしょうもの。知らないなら仕方ないというのも一理あるし、知らないこと自体が罪っていうのもオトナの現実だったりして。この言葉は全然そんなことありませんけれど、医療関係に携わっていらっしゃったりすると、言葉の使いようも油断ならないことがあるのだろうなぁ。
2007/8/15(水) 午前 11:33 [ 雪柳 ]
ゆきの様、澤瀉屋巡業レポありがとうございます!すっごく行きたかったけれどどうしても都合が合わず・・・レポを頼りに「想像観劇」させていただいちゃいました・・・そして感動(T^T)伝統芸能に関わる通称的な言葉って、時折こういうものがあるみたいですねぇ。まったく気にしない人もいらっしゃるのでしょうし、自分が、先達たちが、人生をかけて極めぬいたものに対し、語源とはいえ蔑みに由来した言葉を冠されるのはいい気分ではないという向きもあるのだろうし。知らなくてもいいけれど知っていると使いようもある、ということトコロでしょうか〜。
2007/8/15(水) 午後 0:14 [ 雪柳 ]
ゲバラ様、こんにちは♪まさか娘さんに「舞妓さんの修行に行きます!!」などと宣言されてはいらっしゃいますまいな!?でもでも、この前、雪柳の妹・ねこ柳(童顔)が「舞妓体験」をしてお写真を撮ってきたのですけれど、いやっ舞妓さんの白塗り&鬘&扮装ってのはオンナノコを100倍増しぐらいに可愛くしますね!!あれは驚きですよう、どうです、娘さんに!?あっでもそんなことしたら父的キケンが増しますでしょうか(^^;ちなみに歌舞伎のことはほとんど知らないねこ柳は、私の部屋にあった魁春丈@静御前のお写真を見て「あっ舞妓だ!」と言ってました。舞妓じゃないぞ・・・いや、ある意味舞妓だろうか。
2007/8/15(水) 午後 0:29 [ 雪柳 ]