文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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―初めての方は「その1」から順番にお読み下さい―
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/53216454.html

【第13回テキスト 義太夫原文】

中へつかつか親子連、出てくる久作。
「アどうぢやどうぢや鱠は出来たであらう。さて祝言のこと婆が聞いてきつい悦び。
ぢやが年は寄るまいもの。さつきのやつさもつさで、取りのぼしたか頭痛もする。アヽヽヽいかう肩がつかへて来た。橙の数は争はれぬものぢやわいの」
「さやうならそろそろ私が揉んで上げませうか」
「ソリヤ久松忝い。老いては子に随へぢや。孝行にかたみ恨みのないやうに、コレおみつよ三里をすゑてくれ」
「アイアイ、そんなら風の来ぬやうに」となにがな表へ当り眼、門の戸びつしやりさしもぐさ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【原文】
中へつかつか親子連、出てくる久作。

【解説】
嫉妬にまかせてお染を戸外へ追い出し、気も高ぶったお光が一人残る部屋へ、今度は家の奥から久作と久松が連れ立って入ってきました。

【原文】
「アどうぢやどうぢや鱠は出来たであらう。さて祝言のこと婆が聞いてきつい悦び。
ぢやが年は寄るまいもの。さつきのやつさもつさで、取りのぼしたか頭痛もする。アヽヽヽいかう肩がつかへて来た。橙の数は争はれぬものぢやわいの」

【解説】
喜びにとりのぼせた久作は、お光のモヤモヤなんぞには気付きもあらで上機嫌♪
久作の台詞。「おうどうだどうだ、膾はもうできただろうな?
今な、お前達の結婚のことを婆(=お母さん)に聞かせてやったぞ、そりゃ喜んだ喜んだ、大喜びだ!
ハハハ、しかし気持ちばっかり逸っちまって体がおいつかねぇ、さっきの大立ち周りに血が上ったか、頭がくらくらするわ。イヤだねぇ年はとりたくないもんだ。
なんだか肩がこってきちまった」
橙(=だいだい)の数とは年齢のこと。当時は誕生日という概念が希薄で、お正月ごとに一歳年をとると考えていたので、橙飾りでお正月を祝った回数=年齢というわけです。ちょっと洒落た言い方だなぁ。
気は若いつもりでも年には勝てない、と笑い飛ばします。
若い2人を目の前に嬉しがった当てつけ、なんて気配も感じられる、ほのぼのした愚痴ですな。

【原文】
「さやうならそろそろ私が揉んで上げませうか」

【解説】
久松の台詞。
「おやそれは大変、それなら私が肩を揉んでさしあげましょうか」

【原文】
「ソリヤ久松忝い。老いては子に随へぢや。孝行にかたみ恨みのないやうに、コレおみつよ三里をすゑてくれ」

【解説】
久作の台詞。
「おお、久松ありがとうよ♪『老いては子に従え』だ、ここは息子に任せましょ。
若夫婦のうち、一方ばかりに親孝行してもらうってのも不公平な話だね。これ、お光。
久松が肩を揉んでくれている間、お前は三里(に灸)をすえておくれ」
三里とは足にあるツボのこと、ここにお灸を据えると実によく効くのだそう。
肩には新聟、足には新嫁がとりついてのご介抱。若夫婦を中心にした幸せな暮らしがこれから始まる―――久作爺さん、気分も体も極楽です(^^)

【原文】
「アイアイ、そんなら風の来ぬやうに」となにがな表へ当り眼、門の戸びつしやりさしもぐさ。

【解説】
お灸を頼まれたお光はことさら元気にお返事します。
「ハイハイ!それじゃ、お灸を据えるのに風が吹いては迷惑ね!」
と、振り向きざまに戸口をキッ!と睨みます。
その先では追い出されたお染が戸を開けて中を覗こうと、おろおろ立ち尽くしているのです。
お光は戸口へ向かうと、改めて、門の戸をピッシャリ!と立て切りました。

――その14へ続く――
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61737276.html


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