文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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――はじめての方は『初日編』からお読みください――
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/62533746.html

【ギャラリー北翔 No.6】

※お写真の手作りグリーティング・カードは、お茶会に展示されていたものです。
↓詳しくはこちらを↓
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/62522282.html

花組『オーシャンズ11』の「三大ad lib. craftsman(=アドリブ職人)」といえば・・・

アン・ウッズ:初姫さあやさん、
ソール:悠真倫さん、
そして、ジョンソン医師(=ラスティの変装):北翔海莉さん♪
(そして、3人に巻き込まれたみなさま(笑))

では、ギャラリーにも二大名匠にご登場いただきましょう(^▽^)
悠真倫さん、飄々とした中にも人生の悲哀がさっと一刷毛、実にお見事!
こういう「役者ぶり」も、男役芸のひとつの究極だなぁって思います。

【ベネディクト・オフィス ―ひげダンスVer.―】

《ad lib. craftsman☆》
アン・ウッズ:初姫さあや 他

《場面解説》
カジノ王・ベネディクトは新事業を立ち上げるため、NPO団体『エヴァー・グリーン』と協力関係を結んだかに見せかけていたが、その実、団体財産の乗っ取りを企んでいた。
団体代表・ウッズ夫妻をオフィスに呼び出し、彼らの弱みに付け込んで譲渡契約にサインさせようと脅迫するが、そこへ何も知らないテスがやってくる―――

テス:(場の剣呑な雰囲気に)「・・・どうなさったの?」
ベネディクト:「なに、みんなで楽しんでいたところだ」(と、そこに居るメンバーたちにフォローを丸投げ。)

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

アン・ウッズ:「・・・えっと、あの、みんなで踊っていたの!」
(ひげダンスの音楽を最初鼻歌がちに、だんだんヤケクソなノリで歌いながら、ひげダンシング!ベネ部下&夫も一列に連なってテスの周りを陽気に行進。)
(テスに向かって)「あなたもどーおー!?」

テス:「はい!」(ひげダンスの手つき!)
アン・ウッズ:「えっΣ(@▽@!?)」
ベネディクト:「そこまでだ」

(↑ベネ様「君のことは私が守る」有言実行!!テスのキャラ崩壊を寸止め!!)

【ソールの演技指導 ―新婚バカップルVer.―】

《ad lib. craftsman♪》
ソール:悠真倫
フランク:瀬戸かずや

《場面解説》
集結した犯罪スペシャリスト集団「オーシャンズ11」のメンバーに、カジノ金庫破りの作戦を授けるダニー・オーシャン。
作戦遂行には敵を欺く演技が不可欠―――じゃ、みんなで演技の練習をしてみよう!

ラスティ:「演技指導は、ソールだ!」
ソール:「(皆に前に押し出され)・・・んじゃ、これ、やってみな(と、くるりと一回転。そこには「伝説の詐欺師」本領発揮の『別人』が出現する!)

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

「(女)もー、そろそろおっきしなきゃダメだぞ♪」
「(男)うーん」
「(女)もうっ、お・ね・ぼ・う・さん♪♪」(←ほっぺプニュ付。)

(ソールに戻って)「ほれ」

(全員の「ソール・・・今恥ずかしくなかったのか・・・」な引き笑いと「コレ指名されたらものすごく恥ずかしいぞ」で戦々恐々とするイレブンメンバー。指名されたのはフランク(=瀬戸かずや)さん。)

フランク:「(力演)」
全員:「・・・」

(・・・いるんだね。ジェンヌさんだってもとは女性なのに、女を演じようとすると逃れようもなく「オ○マ」にしか見えない人が・・・もう、全員(客席含め)が「ハズカシー!!!」状態を如何ともできぬまま、舞台は無情にも暗転したのでした。)

【ジョンソン医師 ―タブチ先生Ver.―】

《ad lib. craftsman★》
ジョンソン医師(=変装したラスティ):北翔海莉
ベネディクト:望海風斗
ベス(=ベネディクトの秘書):華耀きらり 他

《場面解説》
―――カジノ金庫破り作戦、遂行中―――
ホテルの最重要顧客であるロシア富豪に化けたソールは、ベネディクト等の目を金庫から逸らすために心臓発作で倒れる大芝居を打つ。
病院へ運ばれる患者に付き添うのは、救急医療センターから派遣されてきたジョンソン医師・・・に化けた、我らがラスティ・ライアン!

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

(タブチ先生(←北翔さん音楽学校時代の恩師。お茶会でも北翔さんのモノマネで登場。)の特徴は↓
・口調がエドッコ調な早口べらんめぇ。
・語尾にこまめに「ネ」がつく。
・会話のリズムが速すぎるので周囲の反応を待てず、基本的には一人完結のノリツッコミ。
・リズムに乗って首をカクッと動かす癖が妙な躍動感。
と、いったところでしょうか。)

ジョンソン:「ア、あたしゃネ、ジョンソンっつうもんですけどネ。
この人ねー、心臓に持病があったんだネ。持病だったらどうして薬もってないんだー!!(と、ストレッチャーに横たわった患者の肩をつかんで肉薄!周囲の「イヤそちら病人ですから!」という義侠心からの制止動作よりも素早くパッと切り替わって)って話なんだけどネ。(周囲、あげてしまった手のやり場に困ってモショモショ動く。)

まだ若いのに困っちゃうネ、今の時代この年じゃまだまだ頑張ってもらわないとネ!
言うだろう?『定年後 田舎帰れば まだ若手』ってさ!まだまだこれからだよネ!

あ、ジョンソン&ジョンソンって製薬会社知ってる?アレうちの兄弟がやってんの!
長男のジョンソンに、二男のジョンソンで、アタシ三男。アタシも一緒にやらせてくれー!って言ったんだけどネ、それだとジョンソン&ジョンソン&ジョンソンってちょっと長すぎるんじゃないか〜っつってネ、それでアタシはこの仕事やってるんですよ。

あ、あんたがここの支配人さん?(ベネ様の「オーナーです」という返事をいかにも聞いてない感じで、言葉尻に乗っかってきちゃいながら)あれー、ちょっとカッコいいネ。

似てるって言われない?映画俳優のさ、トム・クルーズとか、トム・ハンクスとか、トム・ランジュとか。
エ、言われない?あっそう。(←この、人の返事を待たない感じと、言ってるそばから自分は飽きちゃって早く次のネタ喋りたい!って急く感じの間が、もうたまらなく面白いの!!こういう人、いる!いる!!)

じゃ、アンタも、早くあの秘書さんと結婚して、幸せな家庭作るんだよ!わかったネ!
んじゃほれ、早く病院行かなきゃ!!」

ベネディクト:「・・・余計なお世話だー!!」(←・・・吠えた!!)

――アドリブ・コレクションは全4パターン♪『3日目編』に続く!――
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/62541764.html

お茶会レポの途中ですが、ちょっぴり寄り道♪

日々進化(激化!?)し続けた、花組『オーシャンズ11』のアドリブ合戦!
ブログ・ツィッターなどでは「アドリブ・コレクター」多数出現!ともっぱらのウワサ。
不肖私も、観劇日の記憶をご提供します!

あっでもこういうものの楽しさって、口調のノリとかその場の空気感、まさに「間」の産物だから、文字にしちゃうと8割減なんですけど!
実際の舞台は、滂沱の涙(←笑いすぎて)レベルの面白さであったことを申し添えつつ、いってみましょう♪

【ベネディクト・オフィス ―花組絶賛上映中!Ver.―】

《ad lib. craftsman☆》
アン・ウッズ:初姫さあや 他

《場面解説》
カジノ王・ベネディクトは新事業を立ち上げるため、NPO団体『エヴァー・グリーン』と協力関係を結んだと見せかけていたが、その実、団体財産の乗っ取りを企んでいた。
団体代表・ウッズ夫妻をオフィスに呼び出し、彼らの弱みに付け込んで譲渡契約にサインさせようと脅迫するが、そこへ何も知らないテスがやってくる―――

テス:(場の剣呑な雰囲気に)「・・・どうなさったの?」
ベネディクト:「なに、みんなで楽しんでいたところだ」(と、そこに居るメンバーたちにフォローを丸投げ。)

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

アン・ウッズ:「今、ウワサの花組公演やってるでしょ!?そのことを奥様方とお話ししていたの〜!ねっ奥さま、誰が一番素敵かしら?」

ベネディクト配下の男・・・なのになぜか振られたとおり奥さま役でΣ(@▽@!:「ワタシは断然!蘭寿とむ様よ〜♪♪イケメ〜〜〜ン♪♪」

アン・ウッズ:(テスに向かって)「あなたも観るわよね?チケットとりましょうか?」

【ソールの演技指導 ―爆弾低気圧Ver.―】

《ad lib. craftsman♪》
ソール:悠真倫 他イレブンメンバー

《場面解説》
集結した犯罪スペシャリスト集団「オーシャンズ11」のメンバーに、カジノ金庫破りの作戦を授けるダニー・オーシャン。
作戦遂行には敵を欺く演技が不可欠―――じゃ、みんなで演技の練習をしてみよう!

ラスティ:「演技指導は、ソールだ!」
ソール:「(皆に前に押し出され)・・・んじゃ、これ、やってみな(と、くるりと一回転。そこには「伝説の詐欺師」本領発揮の『別人』が出現する!)

ちなみにその日は、爆弾低気圧来襲か!?の予報に、客席も(はたして無事帰れるかな〜(^^;))な雰囲気。

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

ソール:(暴風雨に煽られて翻弄されまくる人を演じながら)「お、お客様〜〜!!は、早くホテルに〜〜〜!!」

タイムリー時事ネタっ(@▽@!!

ご指名はなく、全員で演技チャレンジ。
北翔さんは、エア傘で嵐に立ち向かうも風圧に押されまくり、傘はおちょこになって吹き飛ばされるシュチュエーションを。
もうね・・・傘のきしみと暴風雨がもはや「見える!見えるわ!!」な演技のうまさはもちろんなんですけど、選んだシュチュエーションが絶品なんですわ!
本人はど真剣なんだけどはたから見るとユーモラスっていう、あの微妙絶妙なツボをピンポイントで抑えてくる!
一瞬で、ほんのわずかな時間で完結するミニ・ストーリー・コントを作っちゃうセンス、すばらしすぎます♪

【ジョンソン医師 ―ジョンソン93歳Ver.―】

《ad lib. craftsman★》
ジョンソン医師(=変装したラスティ):北翔海莉
ベネディクト:望海風斗
ベス(=ベネディクトの秘書):華耀きらり 他

《場面解説》
―――カジノ金庫破り作戦、遂行中―――
ホテルの最重要顧客であるロシア富豪に化けたソールは、ベネディクト等の目を金庫から逸らすために心臓発作で倒れる大芝居を打つ。
病院へ運ばれる患者に付き添うのは、救急医療センターから派遣されてきたジョンソン医師・・・に化けた、我らがラスティ・ライアン!

↓↓★★★ここからLet`sアドリブ!!★★★↓↓

ジョンソン:「ジョンソン39歳!(←サバよんじゃった(テヘ♪)的なお茶目さを見せるも、全員の(んなわきゃねーだろ!!)という無言のツッコミに満ちた空気に)
・・・93歳。(←ちょっと不満げ。)

この人ねぇ、心臓に持病があったんだねぇ。早く病院運ばないと危ないかもしれないなぁ。あのねぇ(・・・以下、クドクドと病状説明。「早く運ばないと危ないんじゃ」という周囲のソワソワ感と、ジョンソンのローテンポながら付け入るスキを見せない間の取り方がもう、絶妙すぎ!ベネディクト、口を挟もうとしながら何度も阻まれる。)

遂にベネ様、「・・・長いな」とぼそっ。

(さらに続くクドクド台詞に、ベスがベネディクトに助けを求めるも・・・)

ベネディクト:「いや、どこまで行くのか、見届けたくなってきた」

(と、不意に、ベネディクトにロックオン。)

ジョンソン:あれー、あんたここの支配人さん?ひゃー、かっこいいねぇ。髪なんかばっちり撫でつけちゃってねぇ(と、いきなりベネ様の髪を触る!ベネ様、素でびっくりして身を引きつつ、ベスに「触った。ホントに触った」と訴え、落ち着いて下さいとなだめられる。)

私も昔はね、モテたもんですよ。白衣の王子なんて言われてね(←おじいちゃんがかつての武勇伝を語りだすモードで。「・・・うわーはじまったーこれながくなるよー!!」を覚悟させるあの感じ。)

でもね。すぐだよ。すぐこうだよ。(←一転、なぜか好戦的にベネ様に迫る。自分のハゲ頭を主張し続けながら)
いつまでも若いと思ってたら、すぐだよ!

(その激しい「若さへの嫉妬」に腰が引けるベネ様。)

(・・・と、今までだれも止められない勢いで喋っていたジョンソンが一瞬静まる。周囲が「!?」と彼に注目した瞬間・・・あっ!寝てるΣ(@▽@;!!ガクっとなって慌てて目覚め、ちょっと誤魔化すように空とぼけて周囲を眺めるも、全員に見られていたことを察すると、一転開き直りながら)

・・・あごめんごめん、ナースに囲まれてる夢見てた。

【次回予告!!】

東京公演中、全4回分のアドリブをコレクションしました♪
ひとつとして同じパターンはありませんでしたよ!!
不定期掲載、またふいに出没いたします(^m^*)

――『2日目編』に続く――
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/62538924.html

新京成電鉄の各駅で配布されているフリーペーパー『新京成おでかけ情報試「新京成CiaO(チャオ)」Vol.104』に、北翔海莉さんの記事を発見しました!

オールカラー2ページ分。
「沿線紳士淑女録100」という、新京成電鉄沿線に縁のある紳士&淑女を特集する記事・・・
って、紳士枠!?淑女枠!?さあどっち(@▽@!!

出身地の千葉県・松戸っ娘としてご登場です♪

記事&インタビューの内容はこちら!↓

「お客さまの拍手や歓声が舞台人として一番のご褒美です」
・人の3倍練習した宝塚音楽学校時代
・役作りのため松戸の「戸定邸」へ
・どんな役でも「品」を大切に
・環境の変化はなによりのチャンス

お写真は・・・
マシュマロ肌♪な柔らかさを感じる、オフ・ポートレート。
ちょっと前までは、素顔において「かわいい」チャームだった少し下がり気味の目尻が、なんというか・・・大らかな余裕、貫禄を思わせる寛やかな魅力にすり替わってる!
いや、ホント、今この時がまさに「転機」であることを実感させる変化です。

プラス『華やかなりし日々』『クライマックス』より各一枚ずつの舞台ショット。

インタビューの内容も、「宝塚」全体を見渡す俯瞰視点を感じさせ、スケール感がありますねぇ。
宝塚ファン向けじゃないがゆえ、いち社会人としての「仕事」に立ち向かう姿勢に普遍性があります。
読み応え十分!

新京成電鉄ユーザーの方は、駅構内の無料配布マガジンラックをチェック!
その他の方も「泣くんじゃない(←と、北翔さんの声で読んでね)」Webで見られます♪

↓↓ こちらの公式HPから、記事を閲覧できます♪ ↓↓

http://www.shinkeisei.co.jp/area/ciao/

サイン色紙のプレゼントもありますよう!
応募しなきゃ(>▽<)

お正月休みも明けて初出勤の朝。
御屠蘇気分も抜け切らぬ、甘えたな機嫌で半分寝ながら朝ごはんを食べていたのです。
ラジオが言った「中村富十郎さんが亡くなりました」
一瞬で目が覚めた、なんて鮮やかな冗談!けれどニュースは冷静で、そのプロフェッショナルな口調に澱みはなくって、言葉がどんどん現実を積み上げていきました。
富十郎さんの心臓の鼓動が消えてしまった、もう、祈りも奇跡という言葉も無意味なのだという、いやぁ嘘だろう冗談だろうと思うその間にもどんどんどんどん事実が積み上がって、でも、誰もそのことに抵抗もしないのです。
いや、抵抗しないのじゃない。「できない」のだ、事実だからだ、やっと理解しました。
本当に、富十郎さんが死んでしまった。

記憶に、それこそブルーレイ並みの高画質で残っている富十郎丈の演技があります。今も、胸の中に呼びかければいつだって上演できる。
十八代目中村勘三郎襲名披露狂言「盛綱陣屋」、主役の盛綱は勘三郎丈、富十郎丈のお役は和田兵衛でした。
お役のこまごまとした云々はいいでしょう、二人は死をすぐ傍らに控えさせた武将同士、敵対する間柄です。
富十郎丈(演じる和田兵衛)の懐の深さ・・・いや、イメージで言うと「ふところ」なんていう小さな、内向きの範囲に収まりきるものじゃなかった。
青空。それもその向うに暗黒の、永遠の、完全な無であり無限の有である「宇宙」を従えた青空。
あの和田兵衛を、自分の感覚に一点の嘘もつかずに表現しようとしたら、抽象的ではあるけれどまさにこれしかありません。
常に傍らに居る「死」の存在を誤魔化さず、しかし生を諦めていない、あるがままを受け入れ、いささかも怯まず、臆せず、あけっぴろげで、太陽のように明るく、自然体である。
悟りという言葉から抹香臭さを抜いた感じ。
秋の空のように寂しく明るく、涼しく澄み渡って、どこまでも突き抜けて、高い。
盛綱と兵衛は敵同士であるにもかかわらず、敵の目をまっすぐに見据えて、言葉やら利害やらそんな人間にとっての「枝葉」には一切頓着せずに、むきだし裸の魂同士で対話する・・・その骨太の、爽やかさといったら!
そのがっつりとした、いわゆる「漢」の清潔感、究極の意味での童心、それこそ女の出る幕じゃぁない犯しがたい聖域感!
現代的な感覚で言えば、富十郎丈、別に美男じゃありません。
けれど、この和田兵衛に私は心底、惚れました。
私はこんないい男、はじめて見たと思いました。

富十郎丈といえば・・・これはちょっぴりワルクチ!?にもなっちゃうのですが、初日開けてすぐの舞台なんかだと、台詞が入っていないことがよくありました。
後ろで台詞を付けるプロンプターの声がはっきり聞こえて、その言葉をそのまんま富十郎丈のお声がなぞっていく、なんていう、ちょっとギャグみたいなこともあったなぁ。
私が歌舞伎を観始めてすぐの頃。私も若かった・・・というか、カブキズキ界での幼稚園児には、まっすぐな正義感というか、やたら潔癖な真面目さがあって、舞台を極端に神聖視したがるんですね。だから、そういうのすごく嫌だったんです。そんなの舞台に対する不真面目不誠実であると。目に見える部分しか見えないものだから。
でも、悔しいことに、私はそんな演技にさえ心を動かされてしまったことがある。
悔しい悔しいと思いながら、感動してしまった。観劇に求めていた「欲しいもの」を満たされて、満足してしまったんです。
台詞回しの妙に、人間描写の説得力に、その「芸」に。
理性は反発しているのに、本能は満足してしまったのでしょうね。
だから、生意気な悪口なんかで毒づきながらも、富十郎丈の出る舞台は大歌舞伎だと信じてお金を払ったのです。いや、払えたのです。
「お金を払える」って言い方は、潔癖な理想家には俗っぽいし、下世話に感じられるでしょう。けれど自分でお金を取ってくる人ならわかるはず、それがものの価値の真実です。
「芸が若い」人の未熟さも、それを補って余りある情熱に、誠意に抱かれていれば美しいと思います。けれど、はっきり言ってしまえば私は「熱意に対して」だけでは、お金を払えない。そういう舞台のために支払うチケット代に名前をつけるなら「応援」「未来への投資」「ひと時の快楽」・・・時折、競馬の大穴のような万馬券をつかむこともありましょうが、いわば「ギャンブルにつぎ込む捨て金」です。羽根の生えた浮き金、ご祝儀、いわば洒落です。
代金と、精神的な意味での対価が正当なものとは思っていない。
舞台芸術において、それを得る為にお金を払う価値があるのは「芸」に対してだけです。
それは「今」目の前にあるこの時だけじゃない、彼が生きてきた時間、積み重ねてきた稽古、肉体に取り込んできた技術、恨まれた託された夢見られた運命と、才能、先に死んだ人の命ごと。その蓄積に対する、尊敬と信頼。それら全部を内包した「芸」ってもの。

富十郎丈が教えてくれました。歌舞伎っていう娯楽に対する、観客の(私の)心の中のエゴイズム。清濁併せ呑む、残酷さ、リアルさ、冷徹さ。
そして、舞台の上では「真に価値あるものの存在」だけは何にも犯されないっていうこと。そう、人気にも、美貌にも、若さにも。

富十郎丈を観るためのチケット代、きっちり還ってきました。
記憶の中に収まった財産の、まっとうな・・・いや、そうとう「お買い得な」対価として。

富十郎丈がいつかインタビューで、こんなことを仰っていました。

息子の鷹之資が二十歳になったら、富十郎の名前を彼に譲りたい。
そうなったら自分はなんて名にしようかな。
「富くじ」なんてどうだろう!

「富くじ」丈に、「大当たり!!」なんて機嫌のいい大向こうが掛かって。
その大らかなめでたさに、歌舞伎座につめかけた満場の観客がどっと笑う。
新富十郎丈の清かな凛々しさと、福福しい守り神さまの笑顔。
そんな景色は、未来の現実だと思っていました。根拠もなく、信じて疑わなかったのに。

満81歳というお年を、若すぎるなんて言ったら怒られてしまうかもしれないけれど・・・
富十郎丈は、明朗な芸質ゆえか、溌剌と明るいその存在感ゆえか、とても若く思えました。お体が利かないことなんかあったはずなのに、舞台姿はすごく若く見えて、だから、富十郎丈逝去のニュースから受けた衝撃は、感覚的には50代60代の働き盛りが突然亡くなったと聞かされたショックに近かった。
そして、実年齢を聞いて二重にびっくりしたというのが正直なところです。
人生を全うされた方に、もっともっとをねだるのは浅ましいと知りつつも、もっともっと時間が欲しかった。悔しい、悲しい、惜しい、まだ早い・・・そういう、ガツガツした餓鬼の心を観る者にむき出しにさせるだけ、富十郎丈はなんというか、生命力に溢れていらっしゃいました。
もう、富十郎丈の未来が歌舞伎の板の上にないなんて、冗談きついよう。

思い出したこと、もうひとつ。
富十郎丈を特集したご本を読んだ時、お母様の吾妻徳穂さんが何かのスピーチで「私が、一さん(←富十郎丈のご本名)を産んであげたのですよ!」と仰っていた、というエピソードが載っていました。
舞踊の名手が、息子をこの世に届けたことをこんなに朗らかに誇っている!
舞踊界に中村富十郎の存在があることは真に価値があることなんだって、そうはっきりと親が口にできる存在。
カッコいい!ものすごく。

富十郎丈の舞台を観られたこと、幸せでした。
でも不思議、もう亡くなってしまった方なのに、いつかまた会えそうな気がするのです。それもまた、富十郎丈らしさなのかもしれません。

―初めての方は「その1」から順番にお読み下さい―
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/53216454.html

【第14回テキスト 義太夫原文】

燃ゆる思ひは娘気の細き線香に立つ煙。
「サアサア親子とて遠慮はない。もぐさも痃痞も大掴みにやつてくれ」
「アイアイコリヤマアきつうつかへてござりますぞえ」
「さうであらうさうであらう。ついでに七九もやつてたも。オツトこたへるぞこたへるぞ」
「サア父様すゑますぞえ」
「アツアツアアア、アアえらいぞえらいぞ。ハヽヽヽヽイヤモウモウあすが日死なうと火葬は止めにして貰ひませう。丈夫に見えても古家。屋根も根太もこりや一時に割普請ぢや。アツアツアツ」
「オオ父様の仰山な。皮切はもうしまゐでござんす。ホンニ風が当ると思や。誰ぢや表を開けたさうな。締めて参じよ」と立つを、引止め、
「ハテよいわいの。昼中にうつとしい。ノウ久松、久松、久松、コリヤ久松。よそ見してゐずと、しかしかと揉まぬかいの」
「サアよそ見はせぬけれど、覗くが悪い。折が悪い、悪い悪い」と目顔の仕かた。
「ヤ悪いの覗くのと、足に灸こそすゑてゐれ、どこもおみつは覗きはせぬが」
「サアアノ悪いと言ひましたは、確か今日は瘟こう日。それに灸は悪い悪いとサいうたのでござります」
「エヽ愚痴な事を。このやうに達者なは、ちよこちよこと灸をすゑ作りをする、そこで久作。アツアツやっぱり熱いわいハヽヽヽ。ムなんぢやわい、わが身達も、達者なやうに、灸でもすゑるのがおいらへの孝行ぢやぞや」
「オヽさうでござんすとも。久松様には振袖の美しい持病があつて、招いたり呼出したり、憎てらしい、あの病ひづらが這入らぬやうに、敷居の上へエヽ大きうしてすゑて置きたいわいな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【原文】
燃ゆる思ひは娘気の細き線香に立つ煙。

【解説】
久光と恋仲であるというお染の出現に、嫉妬と怒り――その本質は不安と怯え、でもありましょう――カッカとのぼせるお光。「気の細き」とは神経質・気が小さい・臆病という意味。「細き」という言葉が、灸をすえるのにも使う線香の形へとつながります。
さらに想像を膨らませれば、若い娘の細い体のてっぺん、つまり頭から、ぷんすか煙(=湯気)をたてる様子と、線香のてっぺんが真っ赤に燃え、ちりちりと自らの身をすり減らし、ひと筋の煙があがっていく様が重なって見えますね。

【原文】
「サアサア親子とて遠慮はない。もぐさも痃痞も大掴みにやつてくれ」
「アイアイコリヤマアきつうつかへてござりますぞえ」
「さうであらうさうであらう。ついでに七九もやつてたも。オツトこたへるぞこたへるぞ」

【解説】
久作の台詞。
「親子なんだから遠慮は要らない。気を遣ってちまちまやられたって効かないから、思いっきりやっちまっておくれ!」
『もぐさ』とは灸につかう治療薬(=ヨモギの葉を干し、臼でついて作る綿状のもの。灸を据える際に燃やす材料)のこと。たくさん盛れば一層熱いわけですが、その分キクんでしょうね。
『痃痞(=痃癖、けんぺき)』とは肩凝りを治す按摩術のこと。強めマッサージを御所望というわけ。

久松の台詞。
「はいはい、わかりました(と、揉み始める)うわっ固い!こりゃ凝ってますね!!」

久作の台詞。
「そうだろう。ついでに頭痛のツボも押してくれ・・・おっと、こりゃ効く、効くねぇ!」
『七九(=糸竹空、しちくくう)』とは眉毛にあるツボのこと。眉尻あたりにくぼみがありますでしょ。このツボを押すと、目の充血、結膜炎、頭痛、頭痛に効くと言われています。
長い解説、読みつかれたらぐいっと押してみて(笑)

【原文】
「サア父様すゑますぞえ」
「アツアツアアア、アアえらいぞえらいぞ。ハヽヽヽヽイヤモウモウあすが日死なうと火葬は止めにして貰ひませう。丈夫に見えても古家。屋根も根太もこりや一時に割普請ぢや。アツアツアツ」

【解説】
今度はお光が灸にとりかかります。
お光の台詞。
「さ、お父さん、お灸すえますよ・・・じっとしててね・・・」
ツボにもぐさを盛り、線香で火をつけます。

久作の台詞。
「熱っ!熱い熱い、うわぁこりゃ大変だ大変だ。あはははは(と、もう熱過ぎて笑っちゃう(笑))いや、こりゃ、明日死んだとしても火葬はやめてもらいましょ。あつっ、熱い!」と強がりつつの軽口。
そして「丈夫そうに見えても古家」と自分の老体を家に例えて。
『割普請』とはひとつの普請をいくつかに分担して行なうこと。つまり、屋根も根太も、とは頭(肩)には久松のマッサージ、足にはお光の灸と、自分の体を総取っ掛かりで治療をしてくれていることをユーモラスに表現しているわけです。

【原文】
「オオ父様の仰山な。皮切はもうしまゐでござんす。ホンニ風が当ると思や。誰ぢや表を開けたさうな。締めて参じよ」と立つを、引止め、

【解説】
久作の大げさな軽口を受けて、お光の台詞。
「もう、お父さんったら大げさなんだから〜!皮切(=最初に据える灸のこと)はもうおしまいよ」
灸が熱くなる原因といえば、燃えるもぐさに風が入るということ。燃えているところに空気(=酸素)を吹き込むと一層よく燃えますでしょ。
その連想から、戸口を開けて中を覗きこんできたお染の姿を思い出し、むらむらっと怒りの炎が大きくなったお光。
「そうそう、なんだか風が入るわねぇ!誰かさんがまた戸を開けたんじゃないかしら!閉めてこなけりゃぁ!」と立ち上がろうとする。
それを久作は引き止めて。

【原文】
「ハテよいわいの。昼中にうつとしい。ノウ久松、久松、久松、コリヤ久松。よそ見してゐずと、しかしかと揉まぬかいの」

【解説】
久作の台詞。
「どうしたお光、戸が開いていたって別に構わなかろうに。昼間からそんなに締め切ったら、風も通らずむさくるしいじゃないか――」
なぜか戸口にばかり気を向けるお光を不思議がる久作。久松も、お光の態度に「?」と思ったのでしょう、ふと戸口に目を向けて・・・あぁっ!そこにいるのはお染お嬢様!!
お光ちゃん(^^;・・・残念、完全ヤブヘビです!!

久松は動揺に気もそぞろ、目は泳ぎ、手がおろそかに。久作は「どうした?久松、よそ見してないでしっかり揉んでくれ」とダメだしします。

【原文】
「サアよそ見はせぬけれど、覗くが悪い。折が悪い、悪い悪い」と目顔の仕かた。
「ヤ悪いの覗くのと、足に灸こそすゑてゐれ、どこもおみつは覗きはせぬが」
「サアアノ悪いと言ひましたは、確か今日は瘟こう日。それに灸は悪い悪いとサいうたのでござります」

【解説】
ダメだしされた久松、しどろもどろで言い訳。
「い、いえ、よそ見しているわけじゃないんですが・・・覗いちゃまずい、今はまずい、まずい・・・」
ボソボソとつぶやく久松に?な久作は「お前さん、何いってんの?誰が覗くというのだ。お光は覗いちゃいるまいが・・・」
墓穴を掘った久松は必死に言い訳。
「えっ、あの、まずいって言いましたのは・・・あっそうそう!確か、今日は瘟こう日だったと思い出したんです!今日は灸をしちゃいけない日だった、だからまずいって言ったんです!」
『瘟こう日』って何でしょう?良くわからないんですが、まぁ、お日柄なりお縁起なりで、灸をすることがよくない日なんでしょう(←いいかげん(^^;)

【原文】
「エヽ愚痴な事を。このやうに達者なは、ちよこちよこと灸をすゑ作りをする、そこで久作。アツアツやっぱり熱いわいハヽヽヽ。ムなんぢやわい、わが身達も、達者なやうに、灸でもすゑるのがおいらへの孝行ぢやぞや」

【解説】
久作の台詞。
「何言ってんだ、灸が悪いなんてことありますかいな。俺がこんなに元気なのは頻繁に灸を据えて健康作りをするから、それで久作って名前なんだよアッハッハ(とオヤジギャグ。)
あっつ、熱い・・・ん、なんだな、お前達も健康づくりに灸でもすえて、元気でいてくれるのが親孝行ってものだよ」

【原文】
「オヽさうでござんすとも。久松様には振袖の美しい持病があつて、招いたり呼出したり、憎てらしい、あの病ひづらが這入らぬやうに、敷居の上へエヽ大きうしてすゑて置きたいわいな」

【解説】
若い二人の健康、幸せを願う久作の言葉の尻馬にのっかって、お光はぷりぷり怒りの口上!
「その通りよ!お灸が必要だわ。久松さんには『振袖の、美し〜い』バイキンがくっついてるのよね!招いたり呼び出したりしつっこくまとわりついて、憎らしいったらないわ。あのバイキンがうちの中に入ってこないように、敷居の上におっきい灸でも据えて悪いモノをおっぱらっちゃいたいわ!!」
と、痛烈なあてこすりを言います。

――その15へ続く――


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