文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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湖月わたるさんの魅力。
一言で言ってしまうなら、それは「男そのもの」の魅力!

宝塚の男役は、女性の肉体で男性を演じるという倒錯的なもの。
究極の目的が「男性そのもの」であるならば、本職(?)の男性に敵うはずありません。
女を男に仕立て上げる、そんなまわりくどいことしなくたって本物を連れてきたほうがよっぽどいい。
本物の男性を超えられるわけがないハンデを背負った乙女たち・・・にもかかわらず、宝塚の男役というのは男を超えた魅力を放つのですよね。

なんでなんだろう?

私が思うに、宝塚の男役というのは「男役」であって「男」ではないような・・・
女心をくすぐる魅力―――近寄り難い孤高感だとか、気障なクールさ、ふと垣間見せる母性本能をくすぐる脆さ―――みたいなエッセンスをものすごい純度に高めて身に纏った、いわば「キャラ」としての男。
性別を乗り越えるという特大の無理をしている必死さに、男の悲壮感が匂いたつ。
懸命さに、生き急ぐように駆け抜けていく若い勢いが匂いたつ。
すべての相乗効果が、神々しいばかりに「理想的!」な男を生み出してくるような。
これが、宝塚の『男役』だと思うんです。

男役論を語った後に、湖月さん。この方だけは、見事にあてはまらないんですよね(笑)
『男役』がガラス細工の精巧品なら、湖月さんの魅力はよっぽど骨太。
「大雑把な大きさ」、「得体の知れない懐の深さ」・・・理屈は要らない、こいつは頼れる!っていう雰囲気。雰囲気というか、根拠のない安心感(笑)
・・・これは『男役』じゃなくて生身の『男』そのものの魅力では!?
この感覚があるのは、私の知る限り湖月さんだけです。
魅力的な男役さんはいっぱいいるけど、湖月さん以上はもちろん、追随する人も見当たらない魅力。

・・・・そこに、若干の「わかってないなぁ」感が漂うのもまさに男(笑)
頼れるし、尊敬しているし、皮肉じゃなくて素直に「ついていきます」と言わせてくれる男の中の男。
でも、物事を細やかに見る女からすると・・・ちょっとしたこと、あたりまえのこと、人の汚いところ・ずるいところみたいなものが見えてないなぁと苦笑したくなることもしばしば。
そういう、大らかな「無頓着さ」が男のカワイイところでもあったりして(^^)
私がついててあげなくちゃ!と思わせる可愛らしさ♪
まさにそういう、本格的な男の「分かってないなぁ」感まであるんですよ。すごいなぁ。
ある意味、女心をがっちり捉えた完璧な男(笑)

『男役』さんの、魔力みたいにうっとりする感覚はすこし少ないかも。
けれど、健康的・・・というか、リアルな男の体温が漂うんです。
それが、本当に、たまらないくらいカッコいい。
先ほど「敵うはずがない」といった生身の男に、この人だけは伍しています。伍しているどころか、ある意味勝ってます。
うそだぁ、と思うなら舞台をご覧あれ。

そして、もうひとつ。湖月さんのそんな魅力を何倍にも引き出す名パートナーが傍らに寄り添ってくれているのが本当に大きいと思います。
星組娘役トップスター、檀れいさん。
美しい容姿もさることながら、しなやかに芯の通った「女らしさ」が湖月さんをより大きく見せ、湖月さんの大らかさが檀さんをより可憐に、魅力的に見せる・・・まさに名パートナーだと思います。
次回公演で退団の決まった檀さん。
湖月&檀コンビの最後の舞台、あまりにお似合いのカップルが、最後の別れをどれだけの情熱で魅せてくれるのか―――残念なようで、とても楽しみです。

【物語】

ここは大阪の遊郭・吉田屋の店先。
滑稽ななりをした阿波の大尽がぷりぷりと怒りながら店から出てきました。店の者が慌てて、総出で追いかけてきます。
阿波の大尽は吉田屋ナンバーワンの花魁・夕霧にぞっこん。
今日も夕霧目当てでやってきたのですが、当の夕霧がなにやかやと理由をつけてなかなか座敷に現われないのです。
「帰る帰る」とおかんむりの大尽を宥め、店の者は年末恒例の餅つきをしてくれと頼みます。
男らしいところを見せようと、大尽は杵を取り威勢の良い餅つきが始まりました。
店のものにはやし立てられ、興に乗ってきた大尽。
囃子言葉の中に無粋な自分を馬鹿にする台詞が組み込まれていることにも気付かず、すっかり機嫌を直してまた店へと戻って行きました。

そこへ、みすぼらしい紙衣(=布地が買えず、反古紙をつなぎ合わせて形だけ作った着物)に編笠姿の男が現われました。
吉田屋の暖簾を遠慮がちに覗き込み、中の下男に主人への取次ぎを頼むのですが、その態度は貧相ななりに似合わぬ鷹揚なもの。
下男はいぶかしみ、さまざまに問い掛けますが男の態度はなよなよ、答えはのらりくらり。変な奴が来たとばかり、追い払ってしまおうと下男は言葉を荒げます。
そこへ、店先の小競り合いに気付いた吉田屋主人・吉田屋喜左衛門が仲裁に入ります。
喜左衛門の登場に紙衣男は喜び、編笠を取ったその顔は・・・
大店・藤屋の若旦那、藤屋伊左衛門ではありませんか!
吉田屋一の大得意様・藤屋伊左衛門は、自他ともに認める吉田屋夕霧の恋人。
しかし夕霧恋しさに通いつめるあまり、身を持ち崩し親から勘当を受けてしまったのです。
それから1年、音沙汰のない恋人に夕霧は思いが募って体を壊し、ようやっと回復したところでした。
今はみすぼらしい紙衣姿の伊左衛門。遊ぶ金など持とうはずもないのを承知で、喜左衛門は伊左衛門を店へ招き入れます。

招き入れられたのは、かつて遊びを尽くしたいつもの座敷。
喜左衛門はかつてと変わらぬ態度で伊左衛門をもてなします。
伊左衛門の姿が寒々しいと、自分の羽織を着せ掛ける温かみ。
喜左衛門は懐かしさにさまざま語りますが、しかし一向に一番聞きたい夕霧の話題は出してくれません。
自分から切り出すのも悔しい伊左衛門、内心じりじりしながら待っていますが、ついにそのことには触れずに下がってしまいました。
次に現われたのは喜左衛門女房おきさ。
こちらも嫌な顔一つせず伊左衛門の来訪を喜び、さまざまに喋りかけますが肝心の夕霧の話題は出てきません。
たまりかねた伊左衛門、自分から夕霧の消息を問い掛けます。
そしておきさから語られた、恋人夕霧のいじらしさ。伊左衛門恋しさのあまり体まで壊し、今やっと勤めに戻ったばかりというではありませんか。
感激する伊左衛門。
すぐにも会いたいのですが、夕霧は先ほどの阿波の大尽の座敷を勤めている最中とのこと。
それならば影から覗くだけでもと、伊左衛門は吉田屋の広い座敷を駆け抜けて大尽の座敷へ向かいます。
そして覗いてみてみると、愛しい夕霧は大尽を接待中。
一目見た嬉しさが過ぎてみれば、自分以外の男に笑顔を見せる夕霧が悔しくてなりません。
自分の座敷に戻った伊左衛門は、拗ねて帰ろうとします。
しかしそこはやっぱり会いたい。たわいなく戻ってきてしまいます。
夕霧を待って無為な時間をつぶす伊左衛門。会いたい心は急きますが、なかなか夕霧は現われない。いらいらと待ちぼうけです。
そのうち、炬燵にもぐりこんだまま不貞寝を始めました。

そこへやっとの思いで大尽の座敷を抜け出してきた夕霧が現われました。
会いたい会いたいと思いつめ、夢にまで見た恋人・伊左衛門。
夕霧は炬燵に眠る伊左衛門に寄り添いますが、散々待たされた伊左衛門は子供のように拗ねきってしまっています。
大尽の座敷で見せていた華やかな笑顔を詰り、こんな惨めな私などどうでも良かろうよっとばかりのすげない態度。夕霧がさまざまにとりなしますが、聞く耳を持ちません。
夕霧は呆然。
会いたい思いを抑えかね、病気にまでなってしまった自分。
会えたら思い切り甘えかかって愛しんでもらおうと、そればかりを胸に駆けつけてきたというのに・・・
夕霧は涙ながらに訴え、伊左衛門にすがりつきます。
そうまで言われては、伊左衛門も自分の大人気ない態度をちょっぴり反省。
向き合ってみれば、胸に暖めてきた愛しい夕霧が現実にそこにいる喜びは抑えきれません。
心を溶かし、恋人同士は改めて久々の再会の感激に酔いしれるのでした。

そこへ、喜左衛門が嬉々として駆け込んできます。続くのは千両箱を抱えた下男たち。
驚く二人に、喜左衛門は伊左衛門の勘当が解けたこと、この金は夕霧を身請けする代金として届いたものだと告げます。
年の瀬に、これ以上ないハッピーエンド!
二人は喜んで寄り添い、めでたく大団円と相成りました。

【参考公演・文献】
吉例顔見世大歌舞伎(歌舞伎座/2004年11月公演・夜の部)・同公演チラシ

【作品データ】
玩辞楼十二曲の内

【最終更新】
2005年3月1日

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