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『半ズボンをはいた播磨屋』
著者:二代目 中村吉右衛門/著
発行所:淡交社
YahooブックスURL: http://books.yahoo.co.jp/book_detail/18820767
吉右衛門丈ご自身が回想する、ちびっこが少年に、青年に、そして今へと続く日々の記憶を綴ったご本です。
祖父・初代吉右衛門丈、実父・松本白鸚丈、兄・幸四郎丈、それぞれに抜きん出た人々との関わりが生む記憶は・・・なんてったってぶつかる相手が強過ぎる!
少年の柔な心は、常なる打ち身ねんざ打撲傷、スパッ!と切られた裂傷やら、無傷安穏とはいかない道のり。
いばら生い茂る芸の道、悲壮を供に駆け抜ける・・・なぁぁんてお涙頂戴は、吉右衛門丈には似合いません。
苦しささえもちょっぴりおちょくり、劣等感の手もそのまま引いて、次男坊の鷹揚ともの悲しさを道連れにぐいぐいと道を歩んでいらした次第が、時に可笑しく、懐かしく描き出されます。
そしてなにより。
幼きから青年時代に至る吉右衛門丈の世界を護っていた、愛情分だけ体温の高い「ばあばあ」の人肌のぬくもりが、全てに行き渡っているのがこのご本を優しいものにしている気がします。
吉右衛門丈を取り巻いていた過去の人々、現在の人々(ご家族エピソード、笑顔必至!奥様、娘さん、そのキャラ素敵ですっ!会話絶妙です!)、吉右衛門丈の歴史を形作ったエピソードの数々。
それらが不思議なくらい芸風と結びついて、今ここに見えるのが、面白いぐらいです。
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