文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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―初めての方は「その1」から順番にお読み下さい―
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/53216454.html

【第11回テキスト 義太夫原文】

供のおよしが声高に、「もうし御寮人様。かの人に逢はふばかり、寒い時分の野崎参り。今船の上り場で、教へてもらうた目印のこの梅。大方ここでござりませうぞえ」
「アアコレもそつと静かにいやいなう。久松に逢ひたさに、来ごとは来ても在所の事、日立つては気の毒。そなたは船へサ早ふ早ふ」と追ひやり追ひやり立寄りながら、越えかぬる恋の峠の敷居高く、「物もふお頼みもうしませふ」といふもこはごは暖簾越し、
「百姓のうちへ改まつた。用があるなら這入らしやんせ」
「ハイハイ卒爾ながら久作様はうち方でござんすかえ。さやうなら大坂から久松といふ人が今日戻つて見えた筈。ちよつと逢はして下さんせ」といふ詞つき姿かたち。
「常々聞いた油屋のさてはお染」と悋気の初物胸はもやもやかき交ぜ鱠俎押しやり、戸口に立寄り見れば見るほど、美しい。「あた可愛らしいその顔で、久松様に逢はしてくれ。オホそんなお方はこちや知らぬ。よそを尋ねて見やしやんせ阿呆らしい」と腹立ち声。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【原文】
供のおよしが声高に、「もうし御寮人様。かの人に逢はふばかり、寒い時分の野崎参り。今船の上り場で、教へてもらうた目印のこの梅。大方ここでござりませうぞえ」

【解説】
社長令嬢・お染の供をしてやってきたお手伝いさんのおよし。
都会から来てみればひとしお身に染む田舎の寒さ、慣れぬ長歩きにすっかり疲れたところで訪ねる家をやっと見つけ、浮き足立って無遠慮な大声を出します。
「ねぇ、お嬢様。こんな寒い日にわざわざ野崎観音に御参詣なんてご口実。野崎村といえば、先日お店から暇を出された久松さんの実家があるところ・・・久松さんに逢いたい為ですわよね。えぇえぇ、よくわかっていますよ」
およしさんはお染と久松の関係をとっくにご存知の様子。
お染が彼女にだけは打ち明けて、女同士の共謀関係を結んだのでしょうか。
はたまた、秘めた恋と思っているのは幼い当人ばかりで、周囲にはバレバレ・・・どうもこっちのような気がします(^^;
「久松さんのお家、きっとここですわ!さっき目印にと教えてもらった梅がありますもの!」

およしさんのスタンスとしては、主家への憚り半分、女同士の同情と・・・好奇心、といったところでしょうか?人には言えぬ秘め事の現場に居合わせ、そりゃ(現場の東海林です)ぐらいのテンションはあがってきてますでしょう。
そこが大声になっちゃうってところが、ある意味暢気だし、事態の深刻さをかえって引き立たせるようにも思えます。

【原文】
「アアコレもそつと静かにいやいなう。久松に逢ひたさに、来ごとは来ても在所の事、日立つては気の毒。そなたは船へサ早ふ早ふ」と

【解説】
お染の台詞。
「ちょっとちょっと、声が高いわ!久松に逢いたいばかりに夢中になってきてしまったけれど・・・こんな田舎じゃ、私たちの姿はそれでなくても目立っちゃってるのよ」
都会の娘が身にまとう艶やかな振袖姿、その洗練された風情――くわえて彼女は超美少女。といったら、この鄙びた田舎村の風景の中では場違いも甚だしいわけです。
けれど、今日ばっかりは目立ちたくない。
「あなたの大声で人目に立ってご近所の噂にでもなったら困っちゃう。もうここまで来れば大丈夫、あなたはもういいわ。先に(帰りの)船に乗っていて。早く行って!」
ここまで頼るよすがに頼ってきたおよしさんへも、用が済めば命令一つで下がらせ干渉を許さない。わがまま・・・とだけじゃない、社長令嬢の帝王学といいますか、彼女にはお嬢様特有の凛としたところがあります。

【原文】
追ひやり追ひやり立寄りながら、越えかぬる恋の峠の敷居高く、「物もふお頼みもうしませふ」といふもこはごは暖簾越し、

【解説】
心配と好奇心(!?)から立ち去りかねるおよしを無理に立ち去らせ、いよいよ久松さんの家を訪ねます・・・しかし、二人の間の障害を象徴するかのように立ちふさがる家の門。
田舎家のそれですから、現実には粗末でちっぽけ、すぐに向うが見えるぐらいのもんなのでしょうが、今のお染にはまったく越えかねるほどの敷居の高さに感じられます。
しかしこうしてはいられない。
お染の台詞。
「あのう、おそれいります・・・ちょっとお尋ねしたいのですが・・・」
おずおずと遠慮がちに、家の内に声をかけます。

【原文】
「百姓のうちへ改まつた。用があるなら這入らしやんせ」

【解説】
門口で訪なう人の声を聞き、家の中からお光ちゃんが応えます。
「そんなご丁寧に、いいんですよ!礼儀にうるさいような立派な家じゃないもの。ご用があるならどうぞ入ってきてくださーい!」
婚礼料理を作っている最中で手も離せないしね。

【原文】
「ハイハイ卒爾ながら久作様はうち方でござんすかえ。さやうなら大坂から久松といふ人が今日戻つて見えた筈。ちよつと逢はして下さんせ」といふ詞つき姿かたち。
「常々聞いた油屋のさてはお染」と

【解説】
キビキビとしっかりしたお光の声に、自分の家で使っている若い女中でも思い出したのでしょうか。お染も落ち着きを取り戻して問いかけます。
「恐れ入ります、この家は久作様のお家でしょうか?それでしたら、大坂から久松という人が今日戻ってきているはずなのですが、逢わせてください」
この言葉!お光の本能がそれを知らせます。
(この人だ!この人が久松さんと不義をしたという・・・油屋のお染お嬢様!!)

【原文】
悋気の初物胸はもやもやかき交ぜ鱠俎押しやり、戸口に立寄り見れば見るほど、美しい。「あた可愛らしいその顔で、久松様に逢はしてくれ。オホそんなお方はこちや知らぬ。よそを尋ねて見やしやんせ阿呆らしい」と腹立ち声。

【解説】
膝の前においていたまな板を押しやって戸口まで駆け寄り、目にしたのはたじろぐほどの美少女・お染の姿でした。
昨日までのお光なら、そのオーラに圧倒されて言うべき言葉も見つからなかったかも知れません。が、今、お光の胸には『久松さんの正式な婚約者』の自負があります。
お光の胸にムラムラと燃え上がる嫉妬(=悋気)の炎。夫婦約束をしてはじめてのヤキモチですから『悋気の初物』とは上手いこと言いました。
嫉妬に怒りに不安に・・・さまざまな感情が胸の中でぐちゃぐちゃに混ざり合う。まるでさっきまで作っていた鱠をかき混ぜるみたいに。
見れば、見るほど「美しい」―――
「あた」は副詞で、不快・嫌悪の気持ちを表す語に付いて、その程度がはなはだしいという意を表します。
そんな天使みたいな可愛らしい顔をして、なんて悪い奴!娘は久松さんをたぶらかして、店の主人は言われない濡れ衣を着せて追い出した!
それをいけしゃぁしゃあと「久松さんに逢わせてくれ」ですって!
カッと嫉妬に凝り固まったお光ちゃんは、戸口に立つお染に意地悪な嘘をつきます。
お光の台詞。
「ほほほっ、違いますよ、久松なんて人は知りません!他を訪ねてみなさいな!間違ってくるなんて迷惑だわ!」
怒り声もすさまじく、けんもほろろに追い返しました。

―その12に続く―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/57861733.html

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