文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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【公演データ】
公演名:安全地帯 完全復活コンサートツアー2010 Special at 日本武道館
〜Starts&Hits〜 「またね・・・。」
会場:日本武道館/2階南L列47番
観劇日:2010年10月5日(火)19:00開演

【主な出演】(敬称略)
安全地帯

初めての体験、安全地帯コンサートに行ってきました。
いや、圧倒的!この言葉が一番しっくりくる!
玉置さんの魅力って、一言でいうなら「オーディエンスに恋をさせる」ようなものなんだと思います。
武道館の空間で、興奮と大音量と圧倒的なカッコよさ!が体を内側から揺さぶって、うっすらと恋愛に似た感情を起こさせるんですね。
そうなっちゃうともう何をやっても、どんな些細なことでも、いわば「気になるオトコの一挙手一投足」はひとつひとつがクリアに見えるし、本来の意味でのカッコよさはもちろんのこと、ちょっとした油断とか、表情とか笑顔とか、全部バキューン!ってくるんです。
御年52歳と途中のトークで仰いましたが、ウワ、むしろ増量中〜!な色気です。

楽曲の趣向として、途中、客席から一人の女性(おそらく選ばれたファンの一人?じゃないかと思うんですが)が舞台前に据えられた台に乗って、丁度ステージの高さに上半身が出ている状態で待っている、っていうのがあって。
そこへ玉置さんが近づき、女性の前にかがみこむようにして、歌う。
女性が最初は怖気づくように、おずおずと手を伸ばすのを、玉置さんがガッと抱かかえるようにして・・・女性も、もう外聞もなく強く抱きつくのを、その耳元で歌うんですね。
その一連の動きとか、あー、ファンにとって玉置浩二って、カリスマなんだなぁ・・・って感じたりしました。

「あんまりごちゃごちゃ言わず、歌だけ歌いましょう」という玉置さんの言葉通り、たっぷりどっさり、聴かせて頂きました。
ハードな、ライジングとか激しく伴って歌う曲も素敵なら、安全地帯メンバー5人が舞台前方に据えられた椅子に座って演奏する、アコースティックテイストで聴かせる歌も、歌詞がすごくよく聞こえて沁みましたねぇ。
なにより、その奔放な、即興的な「ずらし」というか「アソビ」というか、メロディーに歌詞をのせるセンスっていうのが、すごい・・・音楽的なんだけどため息のような、つぶやきのようなリアルな言葉に聞こえて。
もちろんメロディラインもすごい素敵なんですけど。

先日、自殺をしてしまった韓国のパク・ヨンハさんとは親交があったそうで、この後決まっている韓国でのコンサートで再会できるのを楽しみにしていたのに、52にもなる死にぞこないが生きていて、あんないい青年が召されるなんて無常な感じがします、と語っていました。
「我々もいつか、いきます。今日も、彼、そのあたりに来ているんじゃないかと思うんですよ。パク君、またな」
死がすべての終わりじゃないことが当たり前のような顔をして、武道館の空間に視線を向けて、歌いだす・・・
感情を表現するすべは人それぞれだけれど、この人は、歌、を持っているんだなぁ・・・とつくづく感じました。

しかし、安全地帯の歌・・・その感情の繊細なこと。
自分の心に不感性を気取り始める前の、うっすら哀しくて懐かしい、景色がさぁーっと浮かび上がる。
感情があふれて、でも両手で受け止め切れなくて、指の間からどんどんこぼれていくのを見ているしかない、まるでリアルな記憶みたいな景色とか、見える。
叫んでもどんなふうに足掻いても、体の中から取り出せない感情をどうにか引きずり出したいと懸命になるあの感じ、普段はもう忘れちゃってたなぁって感覚がよみがえったり・・・
最後とか、煽られて会場中が歌っちゃいましたもの。
私の席なんて二階席の奥で、必ずしも熱烈なファンばかりではない場所だったと思うのに、なんかこぶしを上げて歌っちゃった。

アンコールのラスト数小節、まるでオーディエンスに――その心に一歩でも近づきたいとでもいうようにマイクから離れて客席に向かって生の歌声を届けてくれました。
2階席の後方まで、はっきり届いた、玉置さんの、生の声。

終わった後の大興奮はちょっと忘れ難い!
入り口から吐き出される人、人、人が生気に溢れた目をしてて、口々に「めちゃくちゃカッコイイ〜〜〜!!」を繰り返してましたもの。

安全地帯、第一級にカッコイイ!カリスマバンド、なのでした。

【公演データ】
公演名:歌舞伎座さよなら公演 六月大歌舞伎 夜の部 『梅雨小袖昔八丈』
会場:歌舞伎座/3階11列4番
観劇日:2009年6月9日(火)

【主な配役】(敬称略)
髪結新三:松本幸四郎
弥太五郎源七:中村歌六
手代忠七:中村福助
娘お熊:市川高麗蔵
下女お菊:澤村宗十郎
車力善八:松本錦吾
後家お常:市村家橘
家主女房おかく:市村萬次郎
家主長兵衛:坂東彌十郎
加賀屋藤兵衛:坂東彦三郎

《わるいやつら》

驚いた、こんな『髪結新三』初めて観た!
老若男女の登場人物――誰もかも、てめぇが可愛くてならないんだ。
欲とエゴを抜き身のまんま背中に隠して、野獣のご面相につんとすました人間の仮面をかけていやがる。
全員が全員、そんな「わるいやつら」の物語。

《娘お熊@市川高麗蔵さん》

私は今まで、お熊は善良な被害者だと思っていました。恋という弱みを悪人たちにつけこまれた、かわいそうな少女なのだと。
けれど、違う。高麗蔵さんのお熊は、少女の姿を借りた「女」なんです。
高麗蔵さんの目鼻立ちの整った細面の美貌は「女」を演じるに何の不足もないんです、けれど、いわゆる歌舞伎らしい女――「役としての個性」以外の人間臭を持たない、どこか超然とした、芝居の中に住まう「娘フラグ」としての女――の存在感と、彼の役者としての本質は違うんだと思う
(役者としてのというより、幸四郎新三率いるこの舞台、このお役の役作りの上での本質、といったほうがより正解かな?)
なんというか、強いのです。
少女の風貌からなんともいえないアクがにじみ出る。エゴの匂いがする。性の気配がする。
高麗蔵さんのお熊は「髪結新三」で描かれているだけで完結するキャラクターじゃなくて、今そのもの、そして未来、死ぬまで生きる人間としてのリアルさを持っていました。
綺麗な顔立ちに濃厚に浮かぶ自我の強さ。お嬢さんらしい、自分の意志に対する正直さ。そして、そのためには恩や義理やしがらみを、最後は軽いステップで飛び越えそうな、リアルなしたたかさ。

人身御供といわんばかりの結婚に泣く姿は少女らしい可憐ぶりで、こちらの同情を呼ばずにおかない。容姿の綺麗さもその感情に追い討ちをかけて。
承知しないと母は死ぬとまで言われて同意の返事をする、なんてかわいそうな不幸な少女なんだろう―――
そして、一人になったとき、愛しい男がやってくる・・・
「一緒に逃げて。駆け落ちしましょう」
なんといったらいいんだろ。泣いてすがるお熊に、想いに殉じるピュアさとか、若い恋人達の未来を暗示する儚さとか、「そうしなければ死ぬ」と言った母親に対する責任感とか、そういうの、ないんです。
いや、ないとは言わないな。女の武器として、その不幸を全部味方につけている!
好きな男の前に身を投げ出して甘えて、涙と色気にお主といい仲になった責任もしっかりちらつかせて、決断を下す感情のアンテナを巧みに探すその、したたかな生命力。
少女の仮面の下で、相手の隙を狙って獲物をとらまえようとする視線の鋭さ。
若い男女の泣き場が、その裏になんともいえないぐらい皮肉なスリリングさをもっていて、これがなんとも、強烈に面白かったんです!

お熊がかどわかされたのは犬にかまれた事故じゃない。
小さなワルが周囲を巧いこと利用したつもりでいて、ちょっと上手のワルに騙され、さらに上手のワルに助けられ、なんにもない空間に小判の雨を降らせたっていう、皮肉で痛快なピカレスクというわけなんです。

《手代忠七@中村福助さん》

こいつもねー、ワルかった!こんな色気とエゴにまみれた忠七、初体験です!
いままで観た忠七はお熊同様、若い恋人の悲劇の範疇から出たことなかったんです。
それが、この忠七さん。あのワガママ娘をゾッコンに惚れさせて、一段上から手玉にとるような余裕を持っているんですもの。
お熊に「結婚を承知したんですって」と言うところなんぞ、その拗ねたような口ぶりにほれられている自信が漲って、ホントいけ好かない!!(笑)
お熊の若さと美貌、そして自分に惚れこんで身を投げ出してくるところというのは忠七にとっても魅力というもので、失うには惜しい。けれど、ごたごたは御免。そんな色男の気配が濃厚で、でも表面は手代のつつましさを隠れ蓑にしているもんだから、あのお熊お嬢さんさえもが必死になってご機嫌をとらないといけない力関係を保ってる。

いやなやつ〜〜〜〜!!!

しかし、それでいてなんとも魅力的なのがね、福助忠七のニクイところ!
新三に髪を整えられながらかどわかしをそそのかされるところで、なんというか、自分の立場を守りながら、道義を味方につけて、かつ、お熊を手に入れる・・・その条件が整っていくのを、忠義な手代の隠れ蓑をしっかり着込んだ外面を崩さずに、用心深く、疑り深く、じっくりと検討している感じ・・・・
そして、頭で勝ったつもりがやすやすと騙されている、そのマヌケさ加減もある意味色男のかわいらしさというもので。
利口づらした色男に、一枚上手の悪の鉄槌!なんとも痛快じゃありませんか。

――わるいやつら、さらに続々!その2に続く――

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