文花座

歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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『二都物語(上)』 ディケンズ/著 中野好夫/訳
Yahoo!ブックス: http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAF77554/
2010年12月15日読了

フランス革命の芽がちいさくちいさく頭をもたげ、でもまだ、古い時代の秩序が民衆の心に麻酔薬を嗅がせていた時代。
物語の価値として本質的なことではないだけれど、一読してとにかく圧倒されたのは「時代の現実」の圧倒的なリアリティでした。
中世的な身分制度を神から与えられた特権と信じて毛の先ほども疑わない――支配者も、被支配者も、共にだ−―現代の感覚で言えば、なにか狂気的・・・人間の中に当然存在する獣の野性、その体臭を濃密に宿した人たち。
恐怖、畏怖、諦め、死の匂い。
そういう人たちの体臭を感じさせる行動描写が、もう、なんというか圧倒的なリアリティで、この時代の本質というものを垣間見た感じがするんです。
この時代、先日、マリー・アントワネット側の視点で描かれたご本を読みました、そして、おぼろな概要として「教えられた」フランス革命の知識も多少はあります。
けれど、視点を変えると――
「革命」という行為そのものより、「人間の感情が、許容量を超えて爆発する」ということのすさまじさ、その核爆発の如きエネルギーに対する知識じゃない「体感」というもの、うっすらとですけれども、その爆風の予兆が文庫本の小さな箱の中に渦巻いているのを感じました。

しかし、翻訳小説の読みにくさというのは、ちょっと訓練が必要ですねぇ!
最近国内文学ばかりを読んでいたものだから、形容詞に形容詞を重ね、皮肉なウィットと知的遊戯に飾り立てられた文章というのは、ふっと主語を見失う感じで、ちょっと油断すると筋が吹っ飛んでしまい文意がつかめないことも多々。
久々の挑戦に、文庫本半分ぐらいのリハビリが必要でした(恥)
しかし、一旦その文体が頭に馴染むと、いいねぇ!嵌りますね。装飾に装飾を重ねたデコラティブな文章が、空想の映像を伴って、畳み掛けるようにグイグイ迫ってくる!
特に、大公の死の描写など、なんというか想像の外堀をどんどん埋めて、ついに本丸が攻め落とされる瞬間の劇的衝撃っていったら快感ですらありました。

そして、登場人物たち、特に若者たちの感情たっぷりな生き生きとした存在感、恋愛に対する行為のまどろっこしいばかりの紳士的クラシカルさ、想像過多で空想・・・イヤ、妄想?に狂騒する感じ、ちょっと別意でたまらん面白さ(笑)

革命にも、若者達の恋愛にも、登場人物たちの謎にも、さまざまな火種をたっぷりと仕込んで、物語は下巻へ続きます。
うーん、どうなるんだ!?

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