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歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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【映画データ】
映画名:やじきた道中 てれすこ
鑑賞日:2007年
会場:消防会館

【主な配役】(敬称略)
弥次郎兵衛:中村勘三郎
喜多八:柄本明
お喜乃:小泉今日子
梅八:ラサール石井
与兵衛:笑福亭松之助
おさん:淡路恵子
奉行:間寛平
地廻りの太十:松重豊
地廻りの甚八:山本浩司
沓脱清十郎:吉川晃司
清十郎の妻・菊:鈴木蘭々
花魁・おみち:星野亜希
お仙:藤山直美
代貸:國村隼
お喜乃の父 杢兵衛:笹野高史 他

義理堅くって人が良くって、正真の生真面目もなぜか堅実路線には向かわずにお笑い方向にサラサラ流れ、なにやらしてもソンな割ッばかり喰っちまう。
実にわっかりやすい性格と、おつむと口先一本道なぺらぺら啖呵で、腹の中ァがらんどうに見える、思えるこの弥次さん@勘三郎丈。
彼のよく廻る舌は、でも、本当のことはなにひとつ、口にしないんですよ。
ほんとのこと、いっち大切なこと、彼は絶対、口にしない。

てれすこを食べて、イッソ死にかかって(!?)見た夢――「流行りやまいで、死なせちまった」惚れて惚れて惚れ抜いた、自分にゃもったいないばかりの女房と、恋女房が産んでくれた、かあいい、かあいい一人息子。
あの懐かしい体が犬っころみたいに懐に飛び込んできて、命より大切なふたりをなすすべなく死なせちまった甲斐性なしは、ぼろぼろぼろぼろ泣きながら、初めて「ホント」を口にする。

お前らがいなくなって、おとうちゃん、寂しくってなァ。
寂しくて寂しくて、死んじまおうと思ったけど、おとうちゃん弱虫で、死ねなくてなァ。

息子をまっすぐに見つめて瞬きもせずに見開いた目から、涙がばたばた落ちていくんですよ。
自分のために泣いたなら、涙で曇って、夢にまで見たこの顔が見えなくなる。
息子の前で、弱くなんかない父でいたい。
自分の何倍もかあいそうだった二人に、心配をさせたくない。
きっと、それで、弥次さんは強がるんだ。

息子に言って聞かせる言葉の後ろに、その届く先に、はっきり女房がいて、彼女への思いがもう痛いぐらい伝わってきました。
直接言わない、言えない思いがどれだけ強いか。不器用すぎていっそ子供のよう。
柔らかい光の向うにある死んだ女房の微笑みは、大きな子供への、母親の優しさも湛えているようでした。
本当に・・・弥次さんがもう、どんだけどんだけ寂しかったか、一気に襲い掛かって二人を連れていったものをどれだけ憎んだか、二人をむざむざ奪われた自分自身を恨んだか。
胸がキューンとしました、切なくて、でもその「夢」の中だけでさえも、三人は本当に本当に幸せで。
そして、弥次さんはお喜乃への思いを語る。
「ホントのこと」を、語る―――

そういえば、喜多さんも、お喜乃も、ことさらに思いを言葉にしなかった。
それは決して、気付かないのじゃないんです。
「ホント」ってこっぱずかしい、照れるようなことだから、察して、受け止めて、ただ応えるだけなんです。気障な言葉なんか言わないし言わせない。
照れ屋なんですよね、こいつら(笑)

「こーの、野暮天!」
紡ぐ言葉は優しさとはウラハラな憎まれ口、そして心ごと彼らに寄り添う。
弥次さんの惚れたお喜乃@小泉今日子さん、実にイイ女!

言葉ってもちろん大切で、言わなきゃ伝わらないことももちろんありますけれど、人は、別に気の効いた言葉なんざ持たなくてもいいのだって。
人は、ただ、優しければいいのだって、この映画はそう言ってます。
みっしり張り巡らされた笑いで編んだ、人肌ほどのあったかさの「やじきた道中」でした。

【映画データ】
映画名:Little DJ 小さな恋の物語
鑑賞日:2007年
会場:

【主な配役】(敬称略)
高野太郎:神木隆之介
海乃たまき:福田麻由子
大人になったたまき:広末涼子
高崎太郎(若先生):佐藤重幸
かなえ:村川絵梨
周平:賀来賢人
捨次:松重豊
結城:光石研
尾崎誠:小林克也(特別出演)
高野ひろ子:西田尚美
高野正彦:石黒賢
高崎雄二(大先生):原田芳雄

とにかく、愛しい。
神木隆之介くん演じる高野太郎のことがとにかくとくにかく愛しくて、その病状、その日常を見守るこちらの感情に「嘘」の混ざる余地が一切ない、そんな感じでした。

幼さをたっぷり含んでふっくらしていた精神も、頬の辺りの甘い線も次第次第に研ぎ澄まされ、そぎ落とされていくんです。
男の子の中から「男」が掘り出されていくような感じ。
姿かたちは少年の姿なのに、その横顔にドキッとするような大人の影が差す時がある。
事実、アップになった顔かたちのパーツなど、大人と見まごうほどに肉の薄い、シャープなものになっているんです。
このお役を演じる為に、この役者は「神木隆之介」の体を「高野太郎」に貸してしまったのだなぁと感じました。

体がゆっくりと機能を止めていくに従って、逆に精神が澄み渡っていく、その怖いような透明感。
静かな水面に、もはやリアルな俗っぽさを切り離した心の本質だけががぷか、ぷかと浮かんで音もなくはじけるような静けさ―――
感謝とか。
愛しさとか。
思いやりとか、救いのありかとか。
なんかね、もはや精神が「大人」なんて立場さえ乗り越えちゃって――悟り、なんてしかめつらしい言葉は違いますね、なんと言ったらよいのだろ。
理屈や道徳で形作られたものじゃなくて、心を神様に返しちゃった。そんな感じがしたのです。

それはすごく尊いことで、正しいことで、否定なんて仕様もないのだけれども・・・
目の前にあるのはまだちっぽけなといいたいぐらいの少年の姿なんです。
わがままでいい。感謝すべきことの本質など、まだ気付くことさえしなくていい。そんな「尊さ」など、明らかにまだ知らなくていいはずのものなんです。
何が切ないって、それが切ない。
登場人物の誰もが、悲しくて泣くのではない。切なくて泣いているのだと感じました。

でも!太郎は全てを神様の手のひらに委ねたわけじゃなかった!
たまきちゃん。
この小さな・・・年上の女の子に対して、その恋心に関してだけは、彼は心を胸の中から手放したりしなかった。
最後の最後まで誰にも委ねず「自分」そのもので突進してぶつかって、転んでひるんで後悔して、諦めようとして諦め切れなくて、立ち上がって気合いを入れて・・・でも、いざ、かわいいテキを目の前にすると怖気づいちゃってね(笑)
子供のくせに〜なんて揶揄しちゃったら可哀想だけれども、この小さな恋で彼はしっかり「男」なんですよ。
トモダチ関係とも全然違う、もちろんお父さんお母さんへの大好きとも全然違う。
オトコが、好きなオンナに対する、自覚と真摯と抑えがたい熱情とをはらんだ本物の恋のニュアンス。
本当に恋の目的が明確で、それはいわゆるオトナの恋に比較すれば夢のように純粋なんだけれども、でもこれが恋の本質に違いない、そういう感情――たまきちゃんが、大好きなあの顔で、笑っているのを、僕は見ていたい。
もう必死なんですよぅ!
その必死さが、もう唯一と言っていいほどの「子供」そのもので、命いっぱいの「生者」そのもので、私は本当に彼のこの身の丈どおりの姿を見るのが嬉しかった。
本当に嬉しくて、嬉しくて、なりませんでした。

そのかわいいかわいい恋のお相手・たまき役の福田麻由子ちゃん!
彼女のね、その表情、そのしぐさ、なんだろ、ズキューンと来るものがあるんですよ。あまりにかわいくて!
目鼻立ちとかだけで言うんなら、もっと人形みたいに整った子はいるかもしれない。
でも、なんていうんだろうなぁ。生命力というのかな、いのちそのものがキラキラしているような溌剌とした可愛さがあるんです。
私でさえ、この子の存在を「唯一!無二!」と感じるツボみたいなものがあった。
『小さな恋』のお相手に、他の誰でもない、この子なんだって強烈な説得力があって。

ちょっぴり年上のシッカリ者感あり、かと思えば不思議と守ってあげたくなるオンナノコ的要素もちゃんとあり、こっちの心にスパーン!と入り込んでくる勢いあり。
その上で、なんていうかな・・・太郎がやきもきする「心の見えない」感もあり。
これ、演技なのかなぁ!?演技としたら本当にスゴイ!

太郎のお母さん役@西田尚美さんも瑞々しかった。
嘘をつかない演技で、女親の感情がリアルで。否応なくああいう感情を引き受けなくてはいけないところとか、本当に優しいお母さんだけに・・・

父親@石黒賢さんの、息子の姿に沿ってだんだんと「父親」の人間としての本質がすごく自然に表にでてくるところが本当に良かった。本当に優しい父親で、本当に息子を愛している父親で。

大先生@原田芳雄さん、若先生@佐藤重幸さんも、たぶん心を全て行為や演技にしたらうるさいところをぐっと抑えて、実のある演技をなさってて。
医師であるリアルさも感じ、いい脇役陣に固められた映画だなぁと感じました。

『大切な思いは、伝えなきゃ。』

大上段の精神論じゃない、リクツでもない、その声が生でリアルで真実だから、そう思ったんです。
言葉があったから思ったんじゃなくて、自分の心の声を形にしてくれる言葉だったからそう思ったんですね。
なんていうかなぁ、映画とか舞台とか、本もドキュメンタリーもそうだけれど、そういうものを心に落としていってくれる存在というのは、ありがたいものだなぁとね、そう思ったことでした。

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