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【公演データ】
公演名:十八代目中村勘三郎襲名披露 四月大歌舞伎 昼の部
『京鹿子娘道成寺 道行より押戻しまで』
会場:歌舞伎座
観劇日:2005年4月20日
【主な配役】(敬称略)
白拍子花子:中村勘三郎
大館左馬五郎:市川團十郎
所化:中村芝翫 他
所化がずらずらと本舞台に進んできて、とめどがないほどに、溢れるほどに舞台に居並んでいく、芝翫丈、左團次丈、海老蔵丈、勘太郎丈・・・
それを見ているうち、なんだか急に胸に何かが堰き上がってくるみたいで、本当に涙がでそうになったんです。
誰もが、天下の歌舞伎座に一枚看板で立てる役者さんなのです。それが、所化として居並んでいる。この豪華さ、この祝いぶり。
なんかね、私は他のどんな場面よりこのときに、この襲名がどれほどまでに祝われているのか痛感してしまって。
なんだかもう、舞台に立つだれもが勘三郎丈の後見を買って出ているような頼もしさであったのです。
幸せだね、勘三郎丈幸せだね、と思った途端、驚くほど胸が詰まってしまいました。
芝翫丈が金の烏帽子を差し出して、花子@勘三郎丈にこう告げます。
「これで、十八代目襲名の舞を舞いなされ」
心得ました、と応える勘三郎丈の台詞―――
託された思いを受け取った勘三郎丈と、そんな場面に立会い見守らせてもらう感激が溢れるようで、本当にゾクゾクしました。
以前、吉右衛門丈の舞踊を拝見してとても楽しく思ったのが、舞踊中の足拍子がまるで音楽の一部のようだということ。ミュージシャンの小粋なお遊びのようでね、ちょっとにやりとするような爽快さがありました。
勘三郎丈の足拍子は、なんていうかね、もっと激しく・・・音楽をもリードしていくかのようだった!
音楽をぐいぐい引っ張って舞踊に飲み込んでいくかのようで、何に対してとも分かりませんが、全身で挑みかかっているような勢いを感じました。
「アレ、娘道成寺ってこんなに短い舞踊だったっけ?」
終った時、あっけにとられるくらいそう思ったことが印象に残っています。
すべてが面白く見応えがあって、わずかばかりもこちらの気持ちをさらっていかない場面がなかったのですよね。
こちらの見る目が足りないということもありますが、私は舞踊でそこまで集中させられる体験をしたことがありませんでしたので、あっというまに引かれて行った定式幕に我に返って、なんとも不思議な気がしたものでした。
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