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歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

宝塚Review

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宝塚歌劇団の舞台感想です
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―初めての方は「その1」からお読み下さいm(__)m
「その1」 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890171.html
「その2」 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890252.html
「その3」 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56910925.html

《タッチー×速水中尉 船上の語らい》

速水中尉に自分の過去を告白する台詞が、先にオサム少年に語った言葉とついてる。
コレ、一考の余地ありじゃないでしょうか。3時間程度の劇中で同じ台詞が繰り返されるとデジャヴの如き違和感というか、あれっと思うのですよね。
穿った言い方をすれば、タッチーは何度も、誰にでもこのことを言っているように見えてしまう。
タッチーの性根は、愛された記憶のない境遇にあって、自分を護るために張り巡らせた殻に意識的にも無意識の上でも閉ざされ、ゆえに悲しみ苦しみを一人で抱え込んでしまう、触れればはじけるような緊張感と儚さということじゃないかと思います。
であれば、この違和感というのは彼女の性根に合わないはず。それでなくてもタッチーというキャラは、強烈に魅力的である反面、嫉妬を呼ぶほどに「完璧な薄幸さ」を持っているんですよね。リュータンというキャラが陽性の共感を呼びやすいだけに、一歩間違えば(嫉妬を内包した)反発を受けかねない要素が強いように思います。

オサム少年・速水中尉とタッチーの関係からすれば、タッチーがこの告白をするのは速水中尉に対してであるべきだと思うのですけれども、それではこの場面に至るまで客席は彼女の境遇を知らされないわけで、それはさすがに支障がある。
速水中尉はタッチーの告白を受けて「橘伯爵家のスキャンダルは噂に聞いている」と言っているのですから、ここは繰り返しになってしまう台詞を速水中尉に代弁させることができるのじゃないでしょうか。
たとえば、こんな風に。

「強がっているのは、強いからではありません。私には甘えられる人がいなかったから」という言葉の真意を問われて、タッチーが唐突に「橘伯爵の事件、ご存知ですか」と問う。
速水中尉は突然の問いかけに戸惑いつつ世間の噂で知る範囲を答えるうち、伯爵家と彼女の芸名の一致に気付き、タッチーの様子を見てハッと心づく。
「橘伯爵には確かお嬢様が一人いらしたとか、まさか」
タッチー(否定しないのが肯定の意にて)

家の恥を自ら口にすることができない感情は彼女の潔癖さにつながるものであろうし(その時点では無意識のうちにであるけれど)好意を持っている男性に自分の傷を告げなくてはならない恥じらい、その辛さを無意識下で相手にゆだねてしまう常の彼女らしからぬ甘えなど、演技次第でプラスアルファのニュアンスが膨らむと思います。

《速水中尉@本間さん》

速水中尉@本間さん、素敵ですねぇ!!
若い頃を海外で過ごしたという設定がそのまま現実であるかのような気配がありますもの。
大らかにさばけた精神性に、古い時代のロマンあふれるインテリ特有の知的遊戯的なウィットが言葉や行動、表情の端々にちらちら覗いて、ごくさりげなく、なんとも洒落てる。
それプラス、日本男児らしい生真面目さ、知りつつ殉じるその哀しみが、言葉に変えられないほどのさりげない「雰囲気」として漂うのですね。それが大人の色気、なのだなぁ。
舞台の表面には現れない役のバックボーンを感じさせる俳優さん、実に腕が立つ!
精神的には老成し達観した部分もありながら、恋するタッチーの前では少年のような顔も見せるギャップもいいなぁ(*^▽^*)

―「その5」へ続く♪―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56948047.html

―初めての方は「その1」からお読み下さいm(__)m
「その1」 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890171.html
「その2」 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890252.html

《トモの告白》

紫吹リュータンの言葉は麻薬のようなのです。
「トモは死なん!」彼女がそう言葉にした時、それが事実をさえ覆い尽くす真実であるかのような強烈な確信がその場にあふれ出ました。
それは錯覚には違いない、事実は何にも変わらない、リュータンには何の力もない。
けれどそう「信じさせてくれる」魔力、その強烈なカリスマ性―――リュータンの前で嘘をついても意味がないんだと本能が悟ったとき、トモの幾重にも鎧われた心がへなへなとくず折れていくのがはっきりと見えました。
凛々しい表情を彫りつけた仮面の下からビックリするぐらい素直な少女の顔が現れて「彼女はこんな顔をした子だったんだ」と初めて知った気がしました。
まるで、神様の前に引き出された人間みたいだった。
紫吹リュータンの煽動で皆が歌い、踊る、その輪の中でトモは死の恐怖からたしかに逃れていました。誰よりも、トモこそが先頭に立ってうねりを作っているかのようだった。
リュータンがトモに微笑みかける「大丈夫だよ」と。
トモが満面の笑顔でそれに応える「信じています」と。
その姿は極端に純化された美しい世界のようで、まるで宝塚の舞台のようで・・・
それは麻薬に浮かされたハイ状態のようなものだったのだろうけれど、確かにこの一瞬、リュータンに護られたトモは魂の底から安心しきっていたようでした。
本当に綺麗な顔で笑っていましたもの。
本当に力強い、確かな生命力に溢れていましたもの。

湖月リュータンはただひたすらに誠実でした。彼女はもう必死でトモを護ろうとしていた。
大丈夫、大丈夫と言うそばからトモの細い体を抱きしめて、何者からも護ってやろうとしているようでした。
皆が歌い踊る群舞の中で、リュータンがトモを見る眼のすさまじく切迫していたこと、ほとんどにらみつけるように切れ上がったその眼の、恐ろしいばかりの真剣さ―――
そのまなざしに晒されて(まさに「晒されて」という感じ)トモは思い知ったのだと思います。自分がどんなに想われているか、大切にされているか、必要とされているか。
そして、愛されているのか。
それを知って、彼女は心が強くなったんじゃないかなと思うのです。
明るい歌声は、力強いダンスは、負けるな、頑張れと、仲間達が全身で叫ぶ姿。
ありがとうございます、ありがとうございますと、そう繰り返しながら自分の足で立ち上がろうとするトモの姿。
それを支えようとするリュータンの腕、みんなの手。
みんながトモを盛りたてて、ともに立ち上がろうとしている。

《くららベニ@「かっこいい!!」》

リュータンがトモをガッと抱き寄せた瞬間、ベニが「カッコいい!!」って叫ぶんですが、
くららベニのその言い方、その間!もう絶妙なんです!!
この一言がもうバシッと効いて、本当にいいマでかかった大向こうの一声のよう!
トモの告白に深刻なシリアスムードにある空気の中、超難しい一言だと思う。ある意味「バカ発言」でしょう(^^;
でも、くららベニの言葉は一切の不純物がない心が叫ぶ感嘆詞そのもので、トコトン真面ゆえにフッと空気が緩むユーモラスさもあって、一言が場面に与える影響ってのがこんなにスパイスになるものか!と思わせるぐらい。
他の出演者さんとの息もバランスも文句なし、場面の空気がトコトン詰んでいて、しっかりペーソスがあって、重量感もそのまま、かつ軽やか。とにかく最高でした!
この一言で、彼女がどれだけ優れた舞台人なのかが良くわかりましたねぇ!!この舞台が古典になっても、この一言はこう言うんだ!って芸談を伝えて欲しいぐらいです。

―「その4」へ続く♪―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56927139.html

―初めての方は「その1」からお読み下さいm(__)m
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890171.html

《スキヤキ食べに行くでぇ♪》

「だって、私より綺麗な男なんておらんもの」

この台詞、紫吹リュータンはツンとあごをあげて、割にサラッと。
「あたりまえやろ?」って副音声が聞こえてきそうです(笑)
紫吹リュータンにそう言われると、なんというか・・・ねじ伏せられちゃうんですよね、ぐうの音もでなくなっちゃう。
紫吹さんの舞台姿――殊に男役姿――は、一種独特の美意識が後光のように射して本当に綺麗なんです。男とか女とかいう以前に抜群に美しい。
プラス、単に「形」が整っているだけじゃない、モダン&キュートなハードに意思的なソフトを感じさせる抜群のスタイル。足、長っ!腰、細っ!!
プラス、本人、その自覚アリアリにて(笑)
皆があっけにとられて仰ぎ見る「エアお立ち台」の上に常に居るキャラなんですよねぇ。
このオーラの真価は写真にも映像にも写りますまい!それを味わえるのはライブのみ!!
いかにご道理といえど『その他のご意見』なんざ、彼女の存在に届く前に気弱にUターンしてきそう。影山先生の反応も、敬服+「困った奴やな、リュータンは」という苦笑いという感じ。

湖月リュータンは、コッテコテにキザった男役口調で高らかに言い放ち、一瞬置いて自分のギャグに大ウケするかのような豪快笑い!
舞台上も客席も、脊髄反射みたいなブレイコウ的大笑い(^▽^)
紫吹リュータンは勝ち誇ったように華やかに笑って無意識にも影山先生を圧倒するようですけれど、湖月リュータンと影山先生・・・その雰囲気、もはや男とか女とかの区別でくくるのも可笑しい。口を真横に引いてダハハッと豪快笑いをする表情たるや「野郎仲間」そのものなんですもん!
しかし、妙齢の美女と色気ムンムンの男性が並んでここまで男女を感じさせないのってある意味すごい(笑)

《スキヤキソングのお衣装!》

スキヤキソング時のお衣装は黒×白のモノトーンカラー、キュッと絞られたウエストラインにミニスカート、統一デザインのお帽子まで完全コーディネートの「選ばれた人が着る系」スーツ!

紫吹リュータンはお衣装を完璧に着こなして超お似合い(>▽<)
クラシカルな風合いが彼女の中世的雰囲気を引き立てて、そのままマネキンにしたいぐらい。
客席は彼女を「ひたすら仰ぎ見る」感に溢れてます。

湖月リュータンは、お衣装とともに、観客的に多彩なヨロコビを身にまとっているのです(笑)
一番ニュアンスが近いのは「男役が女装(・・・ってもともと女性だから!!)」したときの、悲喜こもごもな大インパクト!ってところでしょうか。
綺麗は綺麗なんです、もちろん!
スタイル抜群は抜群なんです、モデルばり!
でもなんか・・・ぬぐいきれない禁断感?
どこか、どこか・・・コスプレちっく?
な、困っちゃうような嬉しくなっちゃうようなワクワク気配が漂う(^m^*)
このお衣装の湖月リュータンが登場した瞬間の衝撃ジワ!客席の食いつきっぷり!行動のひとつひとつに対して、いちいち笑いどよめく客席!
いやっ正直に言いましょう、みんな笑いまくりです!ブレイモノなっ(笑)
それは笑われている、っていうのじゃなくて嬉しがってきゃっきゃっ騒いでいるんですわ。

《復活、男役!!》

我を忘れて縋ろうとする少女を、ぐっと胸を張る仕草ひとつの威厳で電気に触れたように止まらせるあの気迫、男役としてのパワーのようなもの。
湖月さんのすっと尖った切れ長の目というのは元来持っている身体条件なのだけれど、そこに意志が宿ると、なんというか、男性の鋭利な感覚――導き、護る者としての覚悟とでも言ったらいいのか――が、現実の男性ではありえないほどの純度の高さ、強烈さでそこにあるんですよね。

《宝塚大劇場の封鎖》

紫吹リュータンの胸にあったのは怒りとか憤りだったように思います。
はけ口を見失った感情を、たった一つ、自由や夢や憧れへの世界への小さな空気口「舞台」(それは虚像であるけれど)へ放出する強烈なパワーに変えて、不安がる皆を叱咤するように声を張り上げるリュータンの「強さ」。
その姿を目にした皆が心に鞭を受けたように奮い立ち、歌声が最高潮に盛り上がって――――それがバシッと断ち切られた瞬間の空気を揺るがすほどの落差、その激しさ!
瞬間、クッとあごをあげて天を仰いだ紫吹リュータンの表情には、負けん気の中に犯しがたい気高さが滲んでいました。

湖月リュータンは彼女自身が怯え、動揺しているようでした。
命の終わることを知らされて、それが今くるか、一瞬後か、まだ時間はあるのか・・・そのすさまじいばかりの緊張感の中で、一瞬一瞬に「まだ生きている」喜びと「それゆえに死が刻々と迫っている事実」に恐怖しながら、それでも夢を語り愛を叫ぶ、その嘘に縋ってかろうじて立っている危うさ。
しかし、組子の顔を見わたし、不安の中で必死に頑張る彼女達の姿を目にした時、彼女は自らを奮い立たせるように気を張って皆を支えようとするんですね。
強烈な責任感というか、彼女は強いというより「強くあろう」とするんです。その姿が本当に健気で。
舞台を止められた瞬間、全身を揺るがすように身を強張らせて立ちすくみ「宝塚は、現在の日本に不必要な存在です」との宣告を受けたとき、彼女はフーッと表情を緩め、脱力するように笑いました。

―まだまだ半分以下『愛と青春の宝塚』語り!「その3」へ続く♪―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56910925.html

【公演データ】
公演名:『愛と青春の宝塚 〜恋よりも生命よりも〜』
会場:新宿コマ劇場/(月キャスト)1階5列24番・(星キャスト)34列28番
観劇日:
(月キャスト)2008年12月 6日(土)16:00開演
(星キャスト)2008年12月14日(日)11:00開演

【主な出演】(敬称略)
嶺野白雪(リュータン):(月キャスト)紫吹淳・(星キャスト)湖月わたる
橘伊吹(タッチー):(月・星キャスト)彩輝なお
星風鈴子(トモ):(月・星キャスト)星奈優里
紅花ほのか(ベニ):(月キャスト)紫城るい・(星キャスト)映美くらら
速水悠介:本間憲一
影山航:石井一孝
オサム:佐藤アツヒロ 他


《コマ劇場、ファイナル。》

宝塚の歴史というのは、まさに「幾多の人生を呑み込んで続く、永遠の命」そのものではありますまいか。その価値は、その凄み、残酷、そして極彩色の華麗さ。
「組織」が「生命」を持った存在といったらいいでしょうか。
だから、タカラヅカの歴史に対する感覚と、コマ劇場52年の歴史に対する敬意はすごく似た成分を持っていて実に素直に混ざり合うのですね。
歴史の価値に思いを馳せる敬虔な気持ちが素直に膨らむこの舞台、コマ劇場へのオマージュとして素敵な公演だったなぁ・・・と感じました。

《嶺野白雪・リュータン》

「太陽そのもの」と称されるリュータン役のお二人、紫吹淳さん・湖月わたるさん。
紫吹リュータンは「天上に君臨する王たる太陽」のイメージです。
その力強さ、すべてを照り輝かせる光明、けれど恐く尊い、底知れぬ畏れを感じさせる圧倒的なカリスマとしての「太陽」。
湖月リュータンは「ひまわりのような明るさと大らかさで皆を包み込んでくれる我らがリーダー!うちの兄貴は日本一!」的大好き(>▽<)を、尊敬と敬愛の最大級表現として言うところの「太陽」。
二人の個性の違いは随所に現れていて、ダブルキャストの醍醐味炸裂です♪
詳しいお二人の違いは後ほど!

《紅花ほのか・ベニ》

ベニ役もお二人。紫城るいさん、映美くららさん。
紫城ベニは、本当にオンナノコ!な、生理的な可憐さに溢れています。
(悪い意味じゃなく役の性根として)スケールの小さい、身の丈の世界で生きる「一般人」が、絢爛たる憧れの世界を内側から見たミーハー的高テンションを、一切の嫌味なく実に素直にリポートしてくれるよう(笑)
紫城さんの容姿はスッとしたクール美女系、チラシなんかの扮装写真でもタッチー役のほうこそハマりそうで、紫城ベニ?っていうのが想像できなかったのですが、合いますねー!
クールな美貌を覆い尽くして(!?)余りある、そのキャラクターの超キュートっぷり!容姿に惑わされて忘れてました、トップお披露目公演のお竜@『維新回天!竜馬伝』役がどんだけかわいらしかったか!

くららベニは、本質的な生真面目や一途さが、生来の明るさと相まって絶妙なコミカル!を生み出すキャラ、という印象。
紫城ベニのどこかほわほわしたオンナノコ的裁量では気付き得ない「選ばれた者たちの感情」を本能的に察知するカンのよさもありそうで、それは自分にはない才能であることも理解しているけれど、暗く落ち込んだり「究極」を目指せない自分を投げ捨てたりせずに、己の中で一生懸命頑張ってる、がんばりやさん。
しかし、映美くららさん・・・あのっ、冷静さを失った感情で言わせて頂きますっ。
も〜〜〜〜くららさん超かわいい!!なにあのかわいさ〜〜〜〜〜〜!!!
リュータンがヒマワリなら、くららベニはタンポポや〜〜!
ほのぼのちんまり♪ミニマムサイズの全身もお顔も、なんてかわいい!!
現役時代、私は彼女を「世界で一番かわいい女の子」って半ば本気で思ってましたけれど、改めて再会して確信しました!
彼女こそ、永久欠番!「世界で一番かわいい女の子」です!

《橘伊吹・タッチー》

タッチー役は彩輝なおさん。
彩輝さんてすごく素直な「天然素材」って感じがします。オーガニックコットンみたいな本質的な上質さがあって、でも素朴。素顔は猛烈な美人さんなんですけれども、近寄りがたい雰囲気というよりも、どこかフワッとしていて頼りない・・・頼りないっていうより、彼女を見る自分の中の優しい気持ちがごく自然に引き出されて、支えてあげたくなる感じがするんです。ナイーブな繊細さ、目を離せない感じ、そういうのが自然にある人なのですねぇ。
そして、言い様によっては失礼な言い草かもしれないけれど、彼女は「全力を出し切っていない感じ」が常にあるんです。イヤ、手抜きという意味じゃない。誠実に、真面目にその瞬間瞬間のベストは尽くしているのだと思います。
けれど・・・もっとできるはずなのに、もっと大きな「芸」を秘めているはずなのに、それを眠らせている感じがする。それに気付かぬ鈍感さ、不器用さ、もったいなさが観客の心を前のめりにさせる。うっすらイライラして、反発して、でもいつしか応援してる。彼女の味方になってる。もどかしくも愛しいのです。
その感覚がタッチーというお役にすごく合っていて、とても魅力的でした。

《星風鈴子・トモ》

トモ役は星奈優里さん。
男役とか女役とか、芸能としての舞台とか、目的としてそういうのを乗り越えていますよね、この人の求める「何か」って。
人が生まれて生きた証拠をなにかに刻み付けるように生きる、ある意味「凶暴な人生」に、その発露としてこの場所があったこと・・・仲間がいたこと、本当によかった、と思わせられた。心底そう思いました。
これは舞台ですけど、虚構ですけど、本気で「救われた」と思わせられたぐらいに「トモ」を生きていらっしゃいました。
そしてダンス、かろやかで優雅で、そして役の性根を思わせる正確さで、カッコよかった!もっと観たかった!!

―はうぁ!まだお芝居の内容に至らず(^^;続きは「その2」にて!―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/56890252.html

【公演データ】
公演名:宝塚歌劇 月組全国ツアー 
『ダル・レークの恋』
会場:神奈川県民ホール/2階9列9番
観劇日:2007年6月17日(日) 16:00公演

【主な出演】(敬称略)
ラッチマン:瀬奈じゅん
カマラ:彩乃かなみ
ペペル:大空祐飛
リタ:城咲あい
インディラ:出雲綾
チャンドラ:越乃リュウ
クリスナ:遼河はるひ 他

男は男であり、女は女なのだ。

差別的な意味ではありません、イメージの型に押し込めようということでもない。
ただ、肉体の形が違うのと同じレベルで、賢さも愚かさも、強さも弱さも、生きていくための疑問とその回答をも、二つの体に分けあってしまった存在なのだと痛感したのです。

二つの性の象徴のような男(騎兵大尉ラッチマン)と女(カマラ姫)が、残酷に、滑稽に、哀しいまでにお互いを求め合うドラマは生々しい迫力に満ちていました。

カマラ姫は自らの高い地位に縛られ、心ならずも、身分の違うラッチマンの求愛を拒みます。
(身分をわきまえなさい、私はあなたではなく、騎兵大尉の制服に恋をしたのです)
しかも裏切りは、男女の仲のみならず――突如として彼にふりかかった火の粉を、恐怖に怯えた彼女は払ってやるどころか見ぬふりで背を向けてしまった。
女は愛を裏切り・・・信じ、心を分け合った「人間」としての彼をも、にべもなく退けたのです。

熱愛はそのままの激しさで変質し、傷つけ傷つけられ尽くしたのちに明らかになる真相―――

今こそラッチマンへの愛をはっきりと自覚したカマラへ、しかし彼は別れを告げて去っていきます。
二度と会わぬと言い残して去った男を求め、王家の姫たる女はどこまでも追い続けるのです。

状況だけみたなら、彼女の存在ほど哀れで滑稽なものはないでしょう。
身分に縛られ、自ら捨てた男に縋りつく身勝手な女。
狂女と呼んで間違いのないあわれな身の上。
そのときの彼女=彩乃かなみさん演じるカマラ姫は、身を飾っていたさまざまな美を捨て去っていました。
光をためた絹のサリー、胸を飾る宝石。
マハ・ラジアの気高い身分。
全てを置き去りにした彼女は、弱々しく萎れ、輝く美貌から光を削り取ったような暗さに沈みながらも・・はっとするほどに強くみえました。
カマラ姫ではない、ただ裸の人間が、溢れるばかりに強いものをたたえていたんです。

女に、男に勝る腕力はありません。その心も、体も弱き存在であることは否定のしようもない。
けれど、女は男の知らぬことを知っている・・・知って、などとは言葉が違う。もはや、理解などというものではないのです。本能にそっと耳打ちをするように、女は神から教えられている。

愛とは何なのかということ。
そして、女は男に、愛とは何であるのかを教えることのできる存在なのだということを。

このことだけは、神が男に腕力を与えたように、女に与えた力なのです。
カマラの強さは、その半ば本能的な確信だと感じられました。

「私は探し続けるのです。生きていくために。彼のために」
カマラが『彼のため』と言った、その言葉に一点の穢れもなかった。
それはまるで、母が「子供のため」と言い切る言葉のように、有無を言わさぬ気高さであったのです。

ラストシーン、舞台にラッチマンの絶唱が響き渡ります。
強く、賢く、気高い男。
しかしその背中に、表情に、削り取られたような孤独がはっきりと存在しています。
彼がいかに強かろうと、世の全てを悟ろうと、その空洞を自ら埋めることは叶いますまい。
それは、神が男から取り上げて、女に与えた一部分だからです。

追い、追われる旅路に果てがあるとも、ないとも、それはもう舞台の描ききる世界からはみ出しています。

インドに咲く仏教神話のような、なんとも不思議な後味の残る作品でありました。

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