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【公演データ】
公演名:宝塚歌劇 雪組公演 『ミュージカルロマン 霧のミラノ』
会場:東京宝塚劇場
観劇日:2005年8月23日・9月23日
【主な出演】(敬称略)
ロレンツォ・クローチェ:朝海ひかる
フランチェスカ・マルティーニ:舞風りら
カールハインツ・ベルガ―:貴城けい
ジャンバティスタ・サルバトーレ:水夏希
エンマ・シャンピオーネ:天勢いづる
ピエトロ・マルティーニ:未来優希 他
《お芝居が「変わってる」!!》
自分としてはめったに出来ない二度目の観劇。
一回目には感じられなかったほどの引力でぐいぐい舞台に惹きつけられながら、心の中でめちゃめちゃ瞠目していたのは(お芝居が全然違う、めちゃめちゃ深くなってる!!)ってことでした。
特にロレンツォ@朝海さん!ロレンツォという男の魅力が、ものすごく立体的に膨らんでいたんです!
舞台は18世紀、オーストリア軍に祖国を占領されたミラノ。
オーストリアの圧倒的な軍事力の前に、ミラノ市民は牙を抜かれた獣の如くただひたすら耐えるだけの日々を余儀なくされていた。
ロレンツォ・クローチェ。かつては誇り高き伯爵であった彼も、今では事なかれ主義の市職員として無為な日々を暮らしている―――そう、表向きは。
しかしその実、彼こそが反オーストリアの地下組織・レジスタンスの統率者だったのだ。
祖国の誇りを取り戻すため密かに地下組織を束ねる彼は、鋭い鷹の本性を凡庸な市職員の姿に隠し・・・心あるミラノ市民からは臆病者と謗られ蔑まれながらも、蜂起の日のために己を殺していた。
そんなある日、事件が起こる。
ミラノ一の織物業社・マルティーニ家が、反オーストリア活動に関わったとして業務停止命令を受けたのだ。
容疑は、マルティーニ家当主・ピエトロがレジスタンスであるという疑い。
しかし現実のピエトロは恋愛問題から身を持ち崩した遊び人に過ぎなかった。
家業を顧みないピエトロに代わってマルティーニ家を支えていたのは、ピエトロの妹・令嬢フランチェスカ。
兄の放蕩、そして誤解から生じた突然の業務停止命令―――女の細腕にはあまりにも重い難題に思い余ったフランチェスカは、オーストリア軍情報部少佐・カールハインツに直談判を試みる。
しかし、多くの職員の生活を預かる経営者としての必死の訴えも、国威を盾にした権力者にはまったく届かない。
(どうしよう、どうしたらいいの)
引くわけにはいかない、経営者の私が引いたら、大勢の人たちが路頭に迷うのだから!
狂ったように追いすがるフランチェスカにカールハインツ一行が気色ばんだそのとき、二人の間に男が割って入った。ロレンツォである。
その場をどうにか治め、フランチェスカの訴えを聞いたロレンツォは彼女の健気さに心打たれる。
(大企業の突然の業務停止はミラノに混乱を招く、この誤解を解かなくてはならない)
大義名分を得たロレンツォは、市職員としてこの事件解決に奔走する。
ミラノのために。
マルティーニ家のために。
・・・「フランチェスカのために」。
鉄の仮面で周囲を欺き己を殺し、智謀と信念に命を捧げた「レジスタンスの統率者」。
その氷の心が、一人の女性の温もりによってゆっくりゆっくり溶かされていく―――
懸命の調査で無実の裏付けをとる。
そして、無実が明らかになっても命令を解こうとしないオーストリア軍に直談判に出向く―――
大義の為に表向きは事なかれ主義を貫くロレンツォが、意識下の感情でフランチェスカを守ろうとしている心の「あや」がとっても伝わってきました。
本人さえも自覚していないほど奥底で萌芽した愛情が、完璧に装った「鉄の仮面」を一瞬緩ませてしまって・・・
命令の撤回を迫るその追求の鋭さに、無力な雀を装って隠しとおしてきた「鷹」の本性がちらりと覗いた。
それをカールハインツは見逃さなかった・・・
くだけた会話の水面下で行われていた、真に有能な男たちの腹の探り合い。微細な心の揺れ。含みの多いそれらの感情が、かなりの説得力で展開していました。
芝居心のない役者には、これは出来ない芸当だって!
そして、フランチェスカへの愛を自覚し、想いを相手にぶつける場面―――
ここがね、一度目の観劇と二度目の観劇で劇的に変わったと思ったんです!!
一回目の観劇の時、私はロレンツォ@朝海さんの心を見透かすことができませんでした。
フランチェスカ@舞風さんに愛を告白するロレンツォは笑顔でした。
けれど、その笑顔はあまりに端正過ぎて、理想的な笑顔すぎて・・・仮面みたいだった。
「よろこび」を表現する仮面みたいだったんです。
それを見たときの正直な感想。
(この愛は、フランチェスカの独りよがりなんじゃないか。
フランチェスカは、もしかしてその愛情を利用されているんじゃなかろうか)って一瞬思ったんです。
フランチェスカがあまりに一途だったから、あまりの愛情に目が眩んだかのような陶酔を見せていたから、そこにはっきりとロレンツォ<フランチェスカという「愛情方程式」が見えてしまったのですよね。
後半になっていくに従って、ロレンツォの実際の行動がその疑惑を打ち消していきましたけれども、あの告白シーンには、あの場面の意図したものをこちらに納得させる説得力がありませんでした。
でも、二回目。
彼の心が、フランチェスカという女性に対してだけは剥き出しに解き放たれたのがすっごく伝わってきて!!
はっきりと見えましたもの。得た愛情に、心が喜びに満たされていく様が!
それに答えるフランチェスカの一途さも、今度こそは最高の健気さと女の懐の大きさ温かさを思わせました。
なんかね、しっかりと受けとめてもらったフランチェスカ@舞風さんは・・・ものすごく可愛かった(*^▽^*)
よかったねぇぇ!!って心から大拍手でしたもの!
その場面の、なんと花の咲いたように美しかったことか、盛り上がったことか!
その後に続くひなげしの丘のシーンも、こちらの心までほっかりするような温かさに満ちていて(^^)
お二人の魅力が倍増しているように感じられました。
朝海ひかるさんは、感情が表に出にくいように思います。
クールさや、知的に皮肉ってはぐらかすような「心の見えなさ」が常にある。
それが「朝海ひかるの男役」の魅力でもあり、また欠点でもあるように思うのです。
それが欠点になる時は、一回目の時みたいな状態になっちゃう。
彼女の芝居は繊細、でも繊細すぎて、宝塚劇場っていう大箱の隅々まで伝わりきらないことがあるように思うんです。
そしてそれが最高の魅力に変わるのは、まさに二回目みたいな時ではないでしょうか。
普段「心の見えない男」の想いが、自分でも制御の利かない感情の昂ぶりのあまり溢れ出す―――
現実の男性に置き換えてみたって、これほど女性の心を最高に満足させる魅力はないでしょう(^^)
正直、この魅力に嵌ってしまうと・・・朝海ひかるから抜け出せなくなります(笑)
《ここらで一句!?》
一幕目が終了した途端、興奮した連れのMちゃんが突然口走った一言。
『水さんが かっこよすぎて どうしよう!』
・・・突然一句ですかいっΣ(゜□゜*)!!
「い、いや、べつにあなたがどうもしなくていいとは思うけど・・・」と皆に突っ込まれつつ、全員内心激しく同意していたことが後ほど判明(笑)
いやぁ、水夏希さん@ジャンバティスタ・・・カッコよすぎますでしょう!!
なんかね、雪組さんって「少女漫画」系の人が多いような気がするの。
トップさんもそうだし、あまりに綺麗すぎる貴城さん、音月さん・・・否応なく、どうにもこうにも雰囲気がスゥイ―トに偏りがち。
そこに「劇画」調の水夏希さん加入はインパクト絶大でしょう!!
「大人の世界お見せします」なエンマ@天勢いづるさんとの絡みもものすごく色っぽいし、なんていうか「後姿が男に見える、本格派の男役」でいらっしゃますなァ。
水さんの加入は、無限に広がるパステルカラーイメージの雪組に、しっかりした黒枠をぐっと書き込んだみたい。
舞台がきゅっと引き締まったように思います(^^)
――その2へ続く―――
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