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いつの間にやら10月ですよ・・・
なんですかね?このカスタム背景というのは?
なぁーーんか、使いこなせなさそうな、機能が付くようになったんですねぇ・・・
たぶん手が出せない、と思うけど。
年度の下半期ということになるんでしょうね。
中学生ももうすぐ秋休みがちょこっとあるのでそんな時期です。
テレビもなんかいろいろ終わったり新しくなったりで。
多少あまロス気味です。
で、引き続きでごちそうさんなんかも流れで見てみるけど、まだ面白くない。
これは仕方ないものなんでしょうね・・・
巨人もローゼンメイデンも終わったし。
でもまだまだ続くだろうし、また始まるのを楽しみにしておきましょう。
ここ最近、次男がバイトを始めました。
学校が終わってからなのでそんな多くはできてないけど。
それでも人に使われてお金のありがたみを身をもって知るにはいい機会でしょう。
長男も相変わらず早朝の運送屋の荷物だしのアルバイトです。
季節によってその時の旬がわかるようです。
さくらんぼだったり、メロンだったり、梨だったり、まつたけだったり・・・
その時の旬の高級食材が産地から送られてくるそうな。
木箱に入ったワイン、とかあるそうです。
ま、いずれも我が家に来ることのないであろう食材には違いない(笑)
最近妙に眠いのは季節のせいでしょうかね?
なんか、ぜんぜん内容の無い記事でした。
消費税8%になるまえに買っておくものって、なんかあるかなぁ?
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暴風雨一過・・・嵐が過ぎ去ったあとのすがすがしい晴天
雨上がりの湿った空気の中、抜けるような青空が広がっている。朝日にまだ鋭さはないが、この後久しぶりの晴天の準備をしているかのように眩しさを刻一刻と増している。
そんな中、エドワードは宿を夜明けとともに飛び出し、走っていた。
市の中心を流れる大きな河川はこれまでの雨で水かさを増し、濁った水がごうごうと音を立てて流れる音が遠くからでも聞こえていた。
目的の場所にたどり着くまで走る足を緩めない。歩いてなんていられない。気ばかり急いて水たまりも気にせずにまだ乾いていない泥を跳ね上げる。赤いコートにも盛大に泥はねがあがる。
いつも老人と話をしたベンチが目に入る。
そこに老人が座っているとは想像していなかったが、もっと絶望的な光景が目に入る。
ベンチの後ろにあった柳の木が真っ二つに裂けているのを見てはっと息を呑む。
「じーさん!!!」
そこに老人がいたわけでもないのに、ついそう発する。
昨夜の雷に撃たれたのだろう。木の幹から焼け焦げたような匂いもする。
駆け寄ってまだ雨の湿り気を帯びた幹を触ってみても、生気は感じられない。
そっとなでてみるが、当然なにも変わりはしない。
試しに手を合わせて根元に触れてみるが練成光は発するものの、蘇ることはなかった。
根元がもともと腐っていたのだろう。風と雨と雷で完全に倒れている。
うすうす予感はしていたが現実を突きつけられて絶望感から目の前がじわりと潤む。
その時、頭にふわりと手で触れられる感触があった。
はっと俯いていた顔をあげてみるも誰かいたわけでもない。
(ありがとうな・・・)
聞き覚えのある穏やかな声が聞こえたような気がした。
「・・・じーさん」
そんな気がして仕方なくて、つい声になった。不思議と心は落ち着いた。
昨夜頭にうかんだ稲光に照らされるこの木の光景は何かを予感させていた。
ここにくる間もこうなっているだろうと予想していた。
それを確かめた今、やっぱりと思うが残念と思わなかった。
そして、あの老人ともう二度と会えないのを確信した。
「・・・全国各地に家族を作って、どう老いぼれるか。」
老人の言葉を呟いてみる。そうやって世代が変わっていく。それに抗うことなく、自然の流れの中で、自分の役割を全うして、そして終える。
「・・・じーさん、なかなかイカす終わり方じゃねーか。」
くすりと笑みも出るが寂しさは拭え去れなかった。
ぽんぽんと幹を叩くと木の根元にいた小さなアマガエルがぴょんととび跳ねた。
根っこには柳の木の新芽もある。
若い緑の葉を見てさっきまであった寂しさも消えたような気がした。
「またここで、会えるといいな。」
何十年後かにはこの小さな新芽も風にたなびくようになるだろう。
その光景をベンチに座って想像する。
悪くないな、と川風に吹かれながら川面を見つめていた。
まだ査問の時間には早いな、と普段通らない川沿いの遊歩道を歩く。
昨日までの雨で河川の増水も気になっていたのもある。
幸いなことに河川の氾濫は免れたようだ、とほっと胸をなでおろす。
しばらく歩くと見覚えのある赤いコートを着た人物がベンチに座っていた。
「・・・鋼の!」
謹慎になって関わり合いになるなと言い捨ててそれっきりだったが、それを忘れそうになるほど会いたいと思っていた人物だ。
うなだれて身動きしないエドワードに声をかけるとこちらを向いた。しばらくぶりに見た顔は意外にもすっきりしている。
「・・・大佐。しばらくだね。」
少し笑みまで浮かべて静かに答えた。まるで手ひどい言葉を投げつけてしまったことなど無かったかのように穏やかに笑ってくれる。
「どうした。こんな場所で。」
まだ時間があるのでベンチの隣に腰掛けた。
「昨日の雷、柳の木に落ちたみたい。」
濁流で茶色くなった川面を見つめたまま、エドワードが静かに言う。
言われてロイがベンチの背後にある二つに裂けた木の幹を振り返って眺めた。
「ああ、昨夜の嵐はひどかったな。」
こくん、とエドワードが頷く。
ロイが多少の拍子抜け感を感じずにいられなかった。
あんな別れ方をしたにも関わらず、責められもせず穏やかな表情で川面を眺めるエドワードになんと声をかけていいものか、正直困っていた。いっそ胸倉を掴まれた方が楽かもしれない。
「・・・その、頬、どうした?」
エドワードの頬に貼られた大きな絆創膏が目についた。エドワードが絆創膏に触れてああ、と受ける。
「擦り傷なんだけど、なかなか血が止まらなくて。」
言いながらペリペリとはがす。剥がされて露わになった頬をロイが近くで凝視するが・・・
「・・・傷なんか、何もないぞ?痕も無い。」
跡形もなく消えていた。
エドワードも予感はしていた。きっとこの傷は精神的なものだったのだ、と。
心中に溜まっていたもやもやとした膿が傷の治しを遅くしていたのだろう。
面白いように合点がいってクスリと吹き出した。
「あのさ、大佐。・・・大佐に、訊きたいことがあるんだけど、仕事終わってからでも時間取れないかな?」
珍しく奥ゆかしい問いかけをしてきた。
「私も査問が終わってから君に話したいことがある。今回のことや、いろいろ・・・」
久しぶりに心の奥に疼くものを感じた。同じ事を考えていたのが嬉しかった。
「わかった。今夜、そっち行くよ。」
エドワードも同様に内部の熱を籠らせる。
雨上がりの晴天に金の髪の毛がさらりとなびいた。
なんと美しいコントラストを醸すのか、もっと眺めていたいが時間がない。
ベンチから立ちあがると裂けた柳の木の根元で何かがぴょんと跳ねた。
目を凝らして見ると小さな緑のアマガエルが草の中へと逃げて行った。
ロイがはっとして草の中を覗き込むとロイの真正面にちょこんと座ってこちらを見ている。
「あ・・・まだいたんだ。さっきもいたぞ、そのカエル。」
エドワードの方を振り返っている間にそのカエルは姿を消した。
「・・・待ってて・・くれたのかもな。」
ロイのつぶやきにエドワードが不思議そうに眉をひそめる。
なんでもないよ、とロイが査問会へと去って行った。
もうちょいです。
ちなみにビッキーの名前の由来は秋田弁です(笑)
次回は「遣らずの雨」で。
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ごぶさたしております。
なんとなくSSなどはupしていたものの、ここ最近のことはさっぱりでございやして。
生きておりますよ〜〜〜!!
夏もなんかいつの間にか終わりかけですっかり朝晩涼しくなりました。
タオルケット一枚じゃ寒くなりましたね。
台風も過ぎ去っていきまして、ちゃんと我が家じゃコロッケ作りましたから!!(笑)
どうやら今年の暑さは異常気象だったようですね。
雨だったり酷暑だったり、どうしたものですかね・・・
そんな年になんで『雨』というSSを書いていたのかねぇ・・・
って、まだ終わってないし!
この夏、とうとう『鬼灯の冷徹』、全巻買いました。中古だけど。
アニメ化もするみたいだし、一番くじもやってる。
新刊だけはちゃんと書店で買いましたが、ちょうどその時に店頭で『聖☆おにいさん』も
新刊でてたので一緒に購入。
よく考えたら、地獄の鬼神の話と天界の住人の話でしたねぇ。
この組み合わせに買ってから笑ってしまった。
息子たちが新学期始まってからは『進撃の巨人』最新刊も読むことができて満足。。
我が家で乙女座は二人おります。
次男はヘアアイロンが欲しいと言って買いました。
・・・つーーーか、へ?という感じなんですが・・・
男子高校生??こういうもの??なんか・・・なんなの??
ま、いいけど。。
そしてもう一人は私でして、昨日でした(照)
この歳にもなるとお祝いってのもあまり・・・なんだけどね。
四捨五入したら・・・やめておこう。。
覚えててくれてゲスブやメールをくれた方に感謝です!これは嬉しいものでした!
ささやかではありますが、近所にできたピザ屋のピザをみんなで食べました。
お店に取りに行ったら一枚分の値段で2枚頼めるということで、息子たちに取りに行ってもらいました。
久々にビール飲んで、長男も少しつきあって、へへへ、こういうのでいいのだよな、と思ったりして。
もちろんピザだけじゃ息子たちの腹は満たされないのでご飯も作ったけどね。
というわけでこれといったプレゼントも無しか?と思っていたら、そういえばこれ?ってものが。
台風が来るよ〜〜〜の時になんの予告も無く、主人が帰ってきまして。
なんか、トイレにこんなものが
ここはお店かっ!!
なんか取りつけて行きました。
いいんだけど、いいけど、うん、まあいいや。
これのおかげで劇的にトイレが快適になりました!!とは・・・言わない。
ものを置くところができて、息子たちがゲーム機など持ち込むのは目に見えてます。
私は文庫本でも置こうかね。
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暴風雨・・・激しい風をともなった雨・嵐
風が音を立てて窓をゆらす。
雨も勢いを弱めることもなさそうだ。窓ガラスに雨粒が当たる音が聞こえてくる。
寝室に入ってはみるものの、なかなか寝付けない。
ビッキーがいつものように手足を縮めてすり寄ってくる。ロイもそれを包み込む。ロイの胸にぴたりと額をつけてくるのでビッキーのシャンプーの匂いが鼻孔をくすぐる。
雷まで遠くの空で鳴り始めた。そのたびにビッキーが身を縮める。
「・・・どうした?こわいか?」
「ううん。こわくないよ。でもすごい雨だね。」
「家の中にいればだいじょうぶさ。」
こわくないと言うものの、不安そうなビッキーを安心させたくて頭をなでる。
「朝になれば止むね。」
ロイの手の感触に笑みを浮かべて言った後、ふいに顔をあげてロイと目線が合う。
「んふ・・・・」
ビッキーの頬がかわいらしく盛り上がる。
「なんだね?」
「ロイィ・・・・あのね・・・」
甘えた声でもったいつける。
「笑ってるロイがいいよ。」
ん?という顔つきのロイに笑いかけながら、小さな手でロイの頬をさわる。明日には剃ろうと思っていた無精髭にビッキーの潤いのある指先が引っ掛かる。
「笑うには、うそついちゃだめ。うそつくと、こころが悲鳴をあげるよ。つらいでしょ?」
そんな素振りを見せてしまったのか。それとも敏感にこの子は感じ取ったのか。否定できない。
「悲鳴をあげてたかい?」
「・・・うん。つらいって、叫んでた。お外みたいに、風がふいて雨が降ってた。」
見透かされているようでなにかこそばゆい。そうだったかもしれない。
「明日、ちょっと出かけてくるけど、待っていられるかい?」
明日は査問の日だ。そこでちゃんと査問を受けて、すべてを話すつもりはないが、下げるべき頭は下げよう。今戦場に行くわけにはいかない。
しばらく待つがビッキーの返事がない。
「?」
ロイの体にすっぽりおさまったまま、すでに規則的な寝息を立てている。ロイはくすりと笑って髪の毛をなでた。
また今夜も心地よいぬくもりを抱いて眠れそうだ。ビッキーにつられるようにロイもすぐに眠りの世界に誘われた。
妙な夢を見た。いや、夢なのかどうかも怪しい。
ビッキーがベッドサイドに立っている。
もう起きたのか、と言おうとするが体を起こすことができない。
「ロイ・・・・・・・」
ビッキーがかわいい笑顔で話しかけてくる。
「・・・ありがとね。」
ただ一言、それだけ言って離れていく。
ロイが呼びとめようにも声がでない。身動きもできない。
どんどんビッキーが遠くなる。
どこにいくんだ!いくな!ここにいなさい!
声にならないから聞こえるはずもなく、ビッキーは振り返ることなく明るくて白い世界に離れていく。
手を伸ばしてみるも、思うように体が動かない。
その時ビッキーの隣に誰かが並んだ。
親?いや、腰の曲がった老人だった。
二人が顔を見合わせて笑顔を交わし、手をつないだ。
そして、白い世界に消えていった。
朝日がカーテンから差し込んでくる。
何日ぶりの晴天だろうか。
頭はすっきりしている。
なんとなくわかってはいたが、ベッドには一人だった。
ああ・・・行ってしまったんだな。
喪失感はない。寂しくはあるが、これでよかったのだと思えた。
あるべき位置にあの子は帰ったのだ。そう、帰った、という表現がしっくりくる。
安心して手を離れて行ったような気がした。妙に心は晴れやかだった。
一人でコーヒーを入れ、一人で飲む。髭を時間をかけて丁寧に剃る。
ちょっと前までの日常をしているだけだ。
査問の時間まではまだあるが、早めに家を出た。
嵐の後の晴天。
眩しい朝日が久しぶりに心地よかった。
****************
外の激しい雨になかなか寝付けない。
眠る必要のない弟に気付かれないようにベッドに入って目を閉じてみるが一向に眠気が降りてこない。
暗闇で天井を見つめながら老人の言葉を頭の中で反芻する。
『痛くもない腹を探られる』?
意味があまりピンとこない。どういうことか?
老人に傘を貸した経緯を憲兵に説明するにしてもなぜと言われればエドワードも言葉に詰まる。
なにか関係があるかといわれてもはっきり言って無い。
そうしたら軍に連絡を入れるだろう。そこで登場するのは後見人であるロイ・マスタングだ。今謹慎中でホークアイ中尉が対応はしてくれるだろうが、連絡や報告は本人の耳にも入る。
あの時の一件以来、どうも顔を合わせるのはなにか気まずい。
結局は傘は軍に返すものだったし、あの憲兵も使い終わったら軍に返すだろう。
やり方はどうであれ、これでよかったのか・・・
老人がオレを気遣ってくれたのか。自分がどう思われようとかまわず、オレに関わらないようにしたのか。
どうもそれでは納得がいかない。なぜ、そんなことを?
話ができて嬉しかったと言っていた。オレも話ができて嬉しかった。老人があの場所に座っていても話しかける者などいなかったのだろうか。そんな珍しいヤツに、なにかしてやりたかったのか・・・
外で雷が青白く空を裂く。その途端にどどんと大きな落雷の音がした。
さすがに近かったようで宿の部屋もみしっ、と音を立てる。
「うわあ!びっくりした!・・・近かったみたいだね。」
アルフォンスが声をあげる。大きな鎧の体も中身は少年らしく雷に驚いている。
「雨もひどいね。でもラジオでは明日は止むって言ってたけど。」
お互い雨の日は調子が悪い。エドワードも関節が痛むし、アルフォンスもこんな体だから雷や雨にはなにかと気を使う。
「じゃあ明日は出かけられるな。」
暗がりで弟に笑いかけて目を閉じる。
そう言えば、大佐も雨には弱かったな、とふと思い出す。
謹慎中でどうしているんだろう、と思いをはせると思い出したくもない言葉がいやでも浮かんでくる。
上司を殴ったことに関わって欲しくないということなんだろう。でもなぜ?
また近いところでどどんと稲光とともに落雷の音がした。
その瞬間、稲光に青白く照らされる川沿いの柳の老木が頭に浮かんだ。
はっとした。
痛くもない腹を探られる・・・?
オレに関わるなと言ったのは・・・オレか??
がばっとベッドから身を起こす。
「また落ちたみたいだね。」
アルフォンスは雷に驚いて起きたと思っているらしいが当のエドワードはそうではなかった。
オレだ。
オレに関わることで、大佐は上司を殴った。そう考えると繋がる。
訳を話せば痛くもない腹を探られて嫌な思いをする。
そう、たとえばこの禁忌を犯した体の事とか、なにか謂れのない疑いとか。
それで、わざと突き放したような言葉で関わりになるなと距離を置いた。
そう考えると居てもたってもいられなくなった。ベッドから立ち上がって着替え始めた。
「兄さん?」
物音に気付いたアルフォンスがいぶかしげに様子をうかがう。
「オレ、ちょっと大佐のところに行ってくる。」
「ちょ!兄さん!何時だと思ってるの?夜明けまでまだ時間があるよ!大佐だって寝てるよ!」
言われてそれもそうかと少し落ち着いた。寝起きを起こされて不機嫌にならない人間はいない。
「あ・・・でも・・・」
アルフォンスが窓の外を覗きこむ。
「雨、上がりそうだね。」
東の空がうっすらと明るくなってきている。久しぶりの太陽も拝めそうだ。
エドワードも窓から夜明け間近の空を見上げる。
大佐に訊きたいことがある。でもその前に、行かなければならない場所がある。
どうしてもぬぐい去れない一抹の不安が心に影を差す。
妙な胸騒ぎに気ばかり急く。
ご無沙汰してました。
夏が終わろうとするころに雨季の話を書いてるのもなんともですが・・・
暴風雨一過に続きます。もうちょいで終わります(笑)
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雨濯・・・すべてを洗い流す雨
朝からのじめじめとした雨の勢いが時間と共に増したようだ。まさにバケツをひっくり返したような雨、と外の様子をうかがう。
副官はあまり濡れずに司令部へと行けただろうか、と少し気になる。
その時、キッチンで鈍い物音がした。
はっとして物音の方へ走り寄ると、床におちたコーヒーポットの中身がぶちまけられている。
それを呆然と見つめるビッキーがいる。
「なにしてるんだ!」
朝にいれたコーヒーだったが床から湯気が上がっている。
「だって・・・」
飲めなくなってしまったコーヒーにさすがに悪いと思ったのか、口ごもる。
「これは大人の飲むもので、ビッキーは飲んじゃだめだ!」
おおかたロイの飲んでいるものに興味があって悪戯をしてしまったのだろう、と大声で怒鳴る。
「火傷でもしたらどうするんだ!」
ロイの怒っている姿でさすがにビッキーもしゅんとなる。
「・・・・・・ごめんなさぃ・・」
ぺこりと頭をさげる姿にやっとロイも平静をとりもどした。そのうちにビッキーの顔が歪んでくる。
「・・・でもね・・・ロイに・・・ロイに・・・元気に・・・・ヒクッ・・・」
歪んだ顔からぽろぽろと涙が落ちる。目をこすり、しゃくりあげながら必死に訳を説明しようとしている。
「ロイに・・・・げんきに・・・なってほし・・・かった・・・んだよぉ!」
最後は叫びに近かった。
愕然とした。
元気になってほしくてコーヒーを入れようとしたが、ポットが重くてこぼしてしまったというのか。
こんな小さな子供に心配されるほどの様子だったのだろうか。自暴自棄になっていたのは確かだったが、子供に見抜かれるほどとは思っていなかった。ならば副官の目にどんなふうに映ったのだろうか。
なにかしたい、なんとかしたいという思いは副官からも痛いほどに伝わったのに、気付かぬふりをし、拒絶した。
「・・・そうか。・・・元気に・・・なってほしかったんだ・・・」
涙で濡れた顔が勢いよく頷く。
「・・・きっと、すきなもの、飲んだらげんきになる。」
それで重いポットを持ち上げたものの、カップに注ぐのができなかったというわけだ。
ロイがしゃがんですまなそうに笑う。
「ごめん・・・大声だして」
ビッキーにも笑みが戻り、こくんと頷き、同じ目線になったロイに抱きついた。ロイも小さな背中を抱きしめた。
誰かを抱きしめるっていうのは、こんなにも落ち着くものなんだな・・・と不思議な感覚にひたる。
首に巻きついた腕に赤く変色した部分がある。はっとして腕をつかみ、目を凝らして見る。深くはないが火傷している。
「・・・痛いか?」
ビッキーの泣きそうな顔を覗き込むとふるふると首を横に振る。ビッキーを抱き上げ、蛇口を勢いよくひねって流水で冷やした。
「痛くないわけないだろう?冷やさないと。」
「だいじょうぶだよ。すぐなおる。」
そんなわけない、とお構いなしに流水を流し続ける。きょとんとしてしばらく水が流れるのを見ていたビッキーだったが、そのうちロイの腕から抜け出そうともがきだした。
「おとなしくしてなさい!傷になるだろう?」
「ロイ!ロイったら!ね、降ろして!」
あまりにも暴れて手に負えなくて一旦キッチンに降ろした。するとすぐにその場から離れていく。
「ビッキー!どこに行くんだ!」
呼びかけるとぱたぱたと戻ってきてロイの手を取る。
「こっち!!」
嬉しそうに引っ張って外へと続くドアへと向かう。外は物凄い雨だ。
「ビッ・・・ビッキー!!濡れる!」
「いいの!」
さっき叱られてしゅんとしていたのがウソのようだ。実に嬉しそうに外へと飛び出した。
バスルームでシャワーを浴びていると間違いそうになるくらい強い雨だ。地面を叩きつける雨脚は泥を跳ね上げる。
泥だらけになるのを躊躇することなく、両手を天にむけてその場でくるくる回りだした。
「ビッキー!!」
唖然とするロイに気持ちよさそうにかわいく笑いかける。
「気持ちいいよ!!お水で冷やすなら、雨でもいいでしょ!」
それは衛生上どうなのか、と考えるが、それをこの子に説明するのは至難の業だ。
確かに湿度も高いが気温も高い。雨に当たっても寒くない。それどころか、ビッキーの言うとおり、気持ちいいくらいだ。
すでにロイもずぶ濡れだった。ここまで濡れると不思議とどうでもよくなる。
雨の中で嬉しそうに天を向くビッキーがなんともかわいらしい。ロイもふうっ、と一息ついて空を見上げる。するとビッキーもロイに笑いかける。
「それに、楽しいの!!」
天を向くと容赦なく強い雨が降りかかってくる。髪は額に張り付き、まさに外で浴びるシャワーだ。だが心地よい。
こんな気持ちよく雨に打たれるのは子供の頃以来かもしれない。もう服が濡れるのも関係ない。
ビッキーの奇行に付き合ってやるのも悪くない。いや、それどころか、そうしたかった。
雨空を見上げて全身に雨を浴びる。
子供の頃のロイが目の前に現れた。夢も希望もまだなににも見切りをつけてなかった頃の半ズボンのロイだ。
『忘れちまったのかよ!人の役に立つ人間になりたいって、言ってたじゃねーか!』
・・・そうだったな。
そしてまたイシュバール戦直後、ネズミの天辺の先を見据えていた青二才の若いロイが現れた。
『今のまま大切な人を残して戦場で生き残ってやるなんて言ってるお前こそ、立派な死亡フラグ立ってんぞ!』
・・・確かに。こんなやさぐれた気持ちのまま前線に行ったら完全に撃たれるな。
最後に志半ばで倒れた親友が現れてニヤリと笑う。
『ロイ、お前、やり残したこと多すぎ。』
・・・うん。
雨は優しい。
雨は無能になるから嫌いだった。発火布が濡れるからだ。でもそれは今は必要ない。
発火布もない。部下の目もない。立場も、しがらみも、何もない。
天からの恵は己の汚れた部分も洗い流してくれるんじゃないか、と錯覚しそうになる。今雨に打たれているのはただの30男だ。
こんな雨の中じゃしょぼくれた男が泣いてたって誰にもわかりゃあしない。
「たのしい?」
ビッキーが雨脚に負けないように大声で聞いてくる。
「ああ!すごく!!」
ロイもビッキーと同じくらい大声で答える。
ロイがビッキーを抱き上げると両腕を首に巻きつけてきた。そしてロイの頬にキスをした。
「ロイ!今のロイ、すごくすてき!元気になったよね!」
嬉しいことを言ってくれる。お返しとばかりにビッキーの頬にもキスをした。
「ああ、元気になったよ!・・・思い出したよ。どんな生き方をしたいか。それにはどうすればいいか、やれることはやってみなきゃ、後悔する。」
ビッキーが大きくうなづく。そしていたずらっぽく甘える。
「・・・じゃあ、今度はあったかい雨にしよ?」
ロイがくすりと笑ってビッキーを抱いたまま家の中に入り、バスルームへと直行した。
温かい雨を二人で浴びると心身ともにすっきりした。
雨が全部洗い流してくれた。
次回は暴風雨です。
しっかし暑いですねぇ・・・煮えます。。
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