花火句会

春夏秋冬、季節の移ろいに想いを馳せて

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【日  時】 2015年6月13日(土)
【会  場】 金山アカデミーセンター4F
【出席者】 勝行先生、仁誠、柑子、藻六、小麦、みさちーた、三枝、按庵(以上8名)
【投句者】 U太、せいぜ、カモメ、つなて(以上4名)
【兼  題】 『草取(くさとり)』を含む当季雑詠5句
 
 
出席者は8名で、もうちょっとほしいといったところ。ただ投句はU太、カモメに半年ぶりのつなて、一年ぶりのせいぜが加わり計4名で、こちらは上々。(ついでですが、「つなて」というのはからくり人形の糸のあやつり人のことで、言葉を自在にあやつりたいとの思いからの俳号だそうです。「せいぜ」については分かりません)
 
出席者が少なければ点が入りやすいかといえば、そうはなりません。例えば出席者が10名だと全員の持ち点は6点×10人=60点、それを5句×10人=50句で争うことになります。出席者が5名で投句者が5名だと、持ち点は6点×5人=30点、それを同じく50句で争う。どっちが点が取りにくいか、一目瞭然。(実はこの仕組み、句会11年目にして今回初めて気がつきました。そんなのお前だけ? ハハ、そうですよね)
 
ということで今回は、出席者の割には投句者が多く激戦。ただ終わってみれば出席者、投句者全員に点が入っていました。無得点はつらいもの。その意味ではよかった、よかった。全員の健闘を称えたい。(何の会だ、こりゃ)
 
制したのは5句全部に点が入り、3人から特選をもぎとった小麦。続いて1点差で藻六。今月の最優秀句となった按庵、4句に点が入ったものの特選は1句の仁誠の二人が、3位同着となりました。
 
句会後は近くの中華料理店へ。都合よく10人用の個室が空いていて実に快適。餃子、唐揚げ、青菜炒め、五目焼きそば、炒飯を食べながら、大いに談笑を楽しみました。(話題? たくさんありすぎて忘れました)
 
前回の句会でもめた支払いも実にスムーズ。酒を飲んだ按庵と藻六がまず1000円ずつ払い、残りを割り勘。安くて、一人2千円というのもよかった。毎回これくらいだといいんだけど。余談ですが、実は全員が集めたお金、1000円余ったようですが、それはどこぞに消えました。犯人は? 分かりません、謎です。
 
ということで、以下、句会報告です。
 
 
一席 
跳べそうな水たまりあり若葉風
/小麦
 
二席 
パティシエの画竜点睛さくらんぼ/藻六
 
三席 
薔薇の道うつむき吾娘と腕を組む/按庵
日の落ちて賑はひ始む夏座敷/仁誠




今月の入点句は特選句)
 
山口勝行
担ひたる役目に応へ囮鮎
この引きは黒鯛(ちぬ)に間違ひなかりけり
 
加藤小麦
跳べそうな水たまりあり若葉風
梅雨入りや酵母の機嫌取り損ね
野の花の名を調べつつ草むしり
なめくじら地球の動き少し変
文字滲む葉書の届き梅雨に入る
 
原藻六
パティシエの画竜点睛さくらんぼ
夕暮れに紅さすおんな合歓の花
朝まだき無住の寺に草を引く
店番の婆(ばば)のうたたね梅雨入り(ついり)かな
 
高津按庵
薔薇の道うつむき吾娘と腕を組む
向日葵の黄におくられて吾娘嫁ぐ
手術後の眼にありがたき葭簀(よしず)かな
 
河村仁誠
日の落ちて賑はひ始む夏座敷
禿頭のすり抜けてゆく夏暖簾
十薬の残らず抜かるゴミゼロ日
こぼれ種までも選り分け草むしり
 
中谷U太
向日葵の咲く頃会ひに行く予定
薔薇垣を目当てに来よと云ふ家へ
草取りて夜は早めに寝てしまふ
 
兼松みさちーた
田植え待ち青空割かつ小径かな
もうちょっと止まれず続く草むしり
根の下りて我音を上げし草むしり
 
葛谷つなて
街路樹のあお生き生きと若葉今(いま)
雨に落つ青梅淋し土色と
草取りのつらき齢(よわい)の休耕田
 
上田三枝
梅雨の間のホームのベンチ傘ひとつ
 
仲野カモメ
岸壁のげに目立ちたる草を引く
 
本田柑子
散髪のえりあしさわる南風(みなみ)かな
 
石川せいぜ
蜘蛛が居る突っ張り棒の布揺らし



山口勝行選評


薔薇の道うつむき吾娘と腕を組む/按庵
 今月の最優秀句としたのはこの句。作者は近頃、嫁ぎゆく娘を送りだしたとのこと。お祝いごとではあるが、男親としてはやはり淋しい。ちょっと照れくさいけど、これが最後の機会かと、成長した娘と、うつむきかげんで日頃したことのない腕を組む…。淋しさや喪失感ばかりではなく、薔薇の道に未来の明るさもあります。親としてはそれを祈るしかありません。(腕を組む)は(腕を組み)と改めました。同じく按庵の「向日葵の黄におくられ吾娘嫁ぐ」、作者は(黄)を(きい)と読ませたいようですが、それは間違いです。(黄)は(き)です。「向日葵の黄におくられて吾娘嫁ぐ」と添削の上、点を入れました。
 
無得点だった三枝の「母の味青梅買いて真似てみる」。梅干作りに挑戦といったところでしょうが「亡き母のメモを真似して梅漬くる」に。力点は母の真似をすることにあると思われるので、(青梅買いて)は省きたい。
 
U太の「草取りて夜は早めに寝てしまふ」。句意はよく分かりますが、表現に一工夫を。気持よくぐっすり眠るという意味の「うまい(旨寝・熟寝)という言葉があります。「草取りに疲れ早めに旨寝(うまい)せし」としました。
 
つなての「雨に落つ青梅淋し土色と」、わたくしが点を入れました。ただし意は同じですが、語感、言葉の調べから(土色と)を(土色に)と、訂正の朱を入れました。さてどちらがよいでしょうか。
 
柑子の「散髪のえりあしさわる南風(みなみ)かな」。南風を主語とした擬人法。全てが駄目とは云いませんが、できるだけ避けたいもの。「髪切りて襟足心地良き南風(みなみ)」に。
 
小麦の「野の花の名を調べつつ草むしり」についてですが、この句では作者はどこで草むしりをしているか分かりません。野に出て草むしりというのは考えづらい。情景がうかびにくいので、思い切って「花の名を調べつ畑の草むしり」と改めました。イメージがより具体的になります。
 
今日の兼題は『草取(くさとり)』ですが、同じく草を取るといっても、家畜の飼料や肥料用の草を刈る『草刈(くさかり)』、田植後に雑草を取り除く『田草取(たくさとり)』などがあるので、きちんと区別して用いたいものです。ちなみに『草摘む・摘草』は、土筆や芹などの食用になる野草を摘むことで、春の季語です。




句会を終えてひと言
 
季語との結びつき、これが難しいと思う。その点「合歓の花」と「夕暮れに紅さすおんな」、これがとても合っていて、何とも言えない「景」をかもしだしている。藻六の「夕暮れに紅さすおんな合歓の花」を特選にした。日頃になく妻と娘が二人で台所仕事をしていました。珍しいなと思っていたその時、二人の楽しそうな笑い声が伝わってきた。これもあまりない事。庭に目をやると若葉の季節。それを「何ごとか母娘で笑う若葉かな」としました。この「笑い声」と「若葉」の取り合わせはどうなのか。ちなみに点は入りませんでした。(柑子)
 
これまで出席した中で一番人数の少ない句会。これなら選ばれやすいかもと淡い期待を抱きましたが、甘かった。自分の作品のデキでなく人数に頼った私が悪うございました。精進します。相次ぐ地震、噴火、異常気象…、科学のチカラ頼みの人間より、動物たちの方が変化に敏感なのでしょう。いつも気持悪いなんてつまんでいるなめくじだって、人間よりは分かっていそう。小麦の「なめくじら地球の動き少し変」に点を入れました。先生には直されてしまいましたが、自信句は「根の下りて我音を上げし草むしり」。この草は憎っくきカタバミ。掘っても掘っても根の先には到達せず、心が折れてしまい、結局ひっぱって根は切れる。勝てたことがない。カタバミはもう、デンと構えた我家の住人です。この句、(根が下りる)と(音を上げる)で少し遊んでみましたが、どうやらまずかったみたい。俳句って遊び心はいいけど、だじゃれなんかの言葉遊びはダメみたい。先生には「根の下りて」を「根の張りて」となおしていただきました。(みさちーた)
 
梅雨の晴れ間の土曜日。小人数もものともせず、良い句会でありんした。理由? 小麦トップ!! これです。いやはや、レベルの高い句会であったなぁ。四字熟語の画竜点睛、正確な意味をはっきりとは知らなんだので辞書を引いてみたら…。なーんだ、そういう意味だったのかー、勉強になったー。最後の仕上げ、一番見栄えのするポジションにさくらんぼをそっと置くパティシエ、これでケーキは完成! 連ドラのまれちゃんみたい。藻六の「パティシエの画竜点睛さくらんぼ」が特選。自信句の「なめくじら地球の動き少し変」。最近の地震、噴火、集中豪雨など、このところどうも地球の動きがおかしい。それでなめくじさんたちも、お互いすれ違っては「最近ちょっと這いづらくなったねー」と声をかけ合っている。あちきには聞こえるんすよ、その声が。 (小麦)
 
オッ、イイネッと思わず◎を打ったのは「禿頭のすり抜けてゆく夏暖簾」。そうなんであります。なんだかんだ、日常的にいわれのない悪口にさらされている禿頭(とくとう)でありますが、本当は涼風のように、実にさっぱりさわやか。省エネタイプでもって夏暖簾なんかも無駄な抵抗もなくス〜イ、ス〜イとすり抜けてゆく。ビューチフル! 感動もんです。仁誠のこの句、ハゲをハゲますいい句ですな。もう誰れにもハゲチャビンなんていわせません。5句中4句に点をもらったけど、肝心のビヤガーデンの句(「空はある」ビアガーデンのあかね雲)が0点。この句、都会にも空はありまっせ、ビルの屋上でジョッキかたむけ上を見ようよという光太郎の妻智恵子さんへのメッセージ。いい加減な句ではありますが、0点とはねぇ。参茶さん、ご馳走になったのに面目ない。おわびに頭を丸めます。(藻六)
 
とりあえず2点を入れてもらいました。それに、恒例の(?)先生からの直しも入りました。ありがとうございます。梅雨期は、料理するのも、どこか調子が狂うもの。ただでさえ難しいパン作り、梅雨に入りますます難しくなりそう。それでも頑張っている作者の姿が浮かびました。「梅雨入りや酵母の機嫌取り損ね/小麦」を特選句にしました。自信句は点の入った「梅雨の間のホームのベンチ傘ひとつ」の方じゃなく「空の下ボール追う子ら夏近し」。このボールはサッカーボール。一生懸命に一つのボールを両チームが追う姿はすごくステキでした。いよいよ夏本番が近づいているなとも感じました。(三枝)
 
2015年6月26日でもって42年間のサラリーマン人生が終る。7月からは趣味を思う存分楽しむ予定。畑とゴルフ、それ以外は自宅で楽しめる俳句、都々逸、三線、一閑張など。定年後の夜はうんと長い。夏座敷を開け放ち、納得いくまで突き詰めたい。こんな情景を句にしたのが「日の落ちて賑わひ始む夏座敷」。別に選に入らなくてもいいんです、自分が納得できればそれでよし。まるで江戸時代にタイムスリップしたよう。無信心の私にとっては驚き。だけどやっていることは立派だと思う。夜が明けきらぬ薄暗がりの中で、一心に無住寺の草取りをするとは。特選にした「朝まだき無住の寺に草を引く」、印象が強かった。でも藻六作と聞いて、一気にイメージダウン。どうせ酒飲みながらの空想の句に違いない。選ぶんじゃなかった! 今日は出席者が少ないものの句数は多かった。どうも自分では良いと思う句に点を貰えない。この傾向がここ数ヶ月続いている。だが退職後の7月からの自分に期待! 心の余裕から作風も変わるかも。(仁誠)
 
ご近所の老人が疲れ切った様子なので、聞くと、草取りをやり過ぎたとのこと。熱中症ぎみ。そんなに頑張ったのに、それでもまだ残っている! その時の感じを「なほ」に込めて、「草取りに一日大半過ぎてなほ」としたのだが…。これ、自信句という程ではありませんが、無得点。その上先生からは「草取りに使ひ切ったる一と日かな」と直されてしまいました。これじゃあ肝心の「なほ」が無い! 残念! ただでさえ腰が痛くなる面倒な作業なのに、草に対する心づかい、ちょっとした愛情が感じられほほえましくなりました。小麦の「野の花の名を調べつつ草むしり」を選んだ。今日は小生の「薔薇の道うつむき吾娘と腕を組む」が最優秀句に。もう一句の「向日葵の黄におくられて吾娘嫁ぐ」を含めて、お祝いとねぎらいの意を込めての選だと思う。恐縮です。この句会のみなさんの人情を感じました。ありがたきかな。(按庵)




伝言板 
 
その①
U太が「NHK俳句」に投稿、見事入選。6月7日テレビ放映、10日には再放送されました。この番組には毎回五、六千句が寄せられ九句が入選、その内三句が特選句となるとか。大変な激戦を勝ち抜いたということで大したもの。まずはおめでとうございます。本人からは「俳句をはじめて6年目ですが、うれしい思い出ができました」とのコメントが寄せられました。
 
薔薇の絵を描くこの頃暇なので
中谷佳南(U太の本名)
 
余談ですがこの句、U太が5月の花火句会に投句したものを推敲、前後を入れ替え手直ししたもの。句会での句「このところ暇だから薔薇の絵を描く」は、特選にしようかと迷ったメンバーはいたが(按庵)、結局は無得点でした。期せずして俳句に絶対は無し、作り手、読み手、俳人、選者、まさに十人十色、千差万別の好例となりました。だから俳句は難しい、だから俳句は面白い。


 
その②


2015月刊花火句会増刊号ラインアップ(エッセイ・俳句のある風景ほか)


 4月増刊号 加藤小麦/中谷U太(既刊)
 5月増刊号 高津按庵/上田三枝(既刊)
 6月増刊号 河村仁誠/本田柑子
 7月増刊号 深井沓九郎/山田夏子
 8月増刊号 御酒一筋/仲野カモメ
 9月増刊号 兼松みさちーた/尾曽恵薄
10月増刊号 増田智昭/原藻六
11月増刊号 岡田参茶/尾関太々
12月増刊号 2015花火句会この一年
(月末発行・原稿〆切り各月25日)


 
その③

参茶主催の“あんまり暑いんでやっとれん。ビアガーデンに集まろうよ”の会は、予定通りの6月7日(日)、中日ビルに総勢8名が集まり、楽しいひと時を過ごしました。お世話になった参茶さん、有難うございました。感謝、感謝です。


 


月刊花火句会 これからの刊行予定
 
 6月30日:2015年6月増刊号
  エッセイ・俳句のある風景
  その③河村仁誠/本田柑子
 
 7月18日:2015年7月号
   『7月定例句会(7月11日)報告』


 
 
句会の予定
 
【日時】 2015年7月11日(土) 18:00〜
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『帰省(きせい) 』を含む当季雑詠5句




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