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或る山に やまちち と呼ばれる 化物が澄んでいた。
その山を通る峠道に面した茶屋に 夕方になって 桶のタガの材料の竹の皮を丸く環にして束ねて運んでいる人が通りかかった。
「もしもし、どちらまで行かれますか」と店の主人が尋ねると
「隣村までどうしてもこの材料を運ばなければならないので今夜この峠を越えるんだ」とその人は答えた
「この山には やまちち という化物が出るから明日の朝早くでかけたほうがいいですよ」と言ったのだが
急ぐ仕事らしく、その人は夜の峠道を急いだ。
暫くすると 大きな毛むくじゃらの男が現れた。その貌には目が一つで口は耳まで裂けていた。
「しまったやまちちだ」 その人が思うとやまちちは ニヤニヤ笑って
「お前は俺がやまちちだと思っているな」
男は恐ろしいのに加えて「こちらの考えていることが分かるとは何とも困ったものだ」と思った。
するとやまちちは「お前は 俺が考えていることが分かるので困っているな」と言う。
男は恐ろしくて震えが止まらず、手に持っていた竹の環に掛けていた手が滑って外れてそれが勢いよく伸びるこ
とでやまちちの貌を撃った。
やまちち は 驚いて 「人間というものは考えていないことをするから厄介だ」
そう言って逃げて行ったそうだ。
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民話
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今は昔、関東北部の山間に小さくて貧しい村があり、そこに大変仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいました。この村は家が数件あるだけで畑も小さく、訪れる人も殆ど居ないような小さな村でした。村には崖の中腹に作られた一本の細い道が通じているだけでした。 |
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