来た道行く道通りゃんせ/風にのって花ひとひら

のんびりしたブログですがよろしくお願いいたします。

エッセイ(秋)

[ リスト ]

山頭火の花

イメージ 1

イメージ 2

         山頭火  野に咲く        

 秋の七草の萩(ハギ)尾花(オバナ)葛の花(クズノハナ)撫子(ナデシコ)女郎花(オミナエシ)藤

袴(フジバカマ)桔梗(キキョウ)はもちろん、彼岸花(ヒガンバナ)竜胆(リンドウ)野菊(ノギク)

麒麟草(キリンソウ)釣鐘人参(ツリガネニンジン)吾亦紅(ワレモコウ)水引草(ミズヒキソウ)に蓼

の花(タデノハナ)・・・。数え上げればきりがない。色とりどりに咲き乱れる花野が広がる。しかし、

10月も終わりに近づくと、少し寂しい風がその百彩を一つづつさらっていくように吹きはじめ、晩秋の足

音が忍び寄ってくる。花野に秋の時雨がやってくる。そんななかを、最初から目を引くような彩も持た

ず、かわりに褪せもせず、悠然と時雨の花野を飾る花がある。秋の野芥子(アキノノゲシ)だ。夏の終わ

りから晩秋まで次々と淡黄色の花を咲かせ、次第に草丈を増し一メートル以上にもなる。その茎は太く堅

く、機械の除草作業さえやりにくい。子供のころ、この硬い茎を使って男の子がチャンバラごっこの刀に

していた。私はただそれを見ていただけ?それとも悲運のお姫様役だった?記憶にはない。しかし、その

地味な色合いと大きな背丈には、不思議な存在感を覚えていた。今も、野原にこの花をみつけると懐かし

く、たちまち花の周りにいろんな色をつけた風が吹きはじめ、私を想像の世界に連れて行く。


  風の走る音がした。そこに俳人、種田山頭火が歩いている。


      すわれば風がある秋の雑草  「山頭火俳句集 草木塔」

      秋となつた雑草にすわる         山頭火


  私も、アキノノゲシの前に座ってみよう。


      やつぱり一人がよろしい雑草       山頭火

      いつも一人で赤とんぼ           山頭火


 私は、いつのころからかこの(雑草)をアキノノゲシのことだと、そしてアキノノゲシを山頭火と勝

手に結びつけている。

 想像の旅をする私に、山頭火が(水、空、草、夕焼け、赤とんぼ)をいっしょに連れて歩いてくれる。

アキノノゲシは野菊(ノギク)のような、たおやかな美しさはない。色は地味で無骨で粗野と言えよう。

花は夕方には閉じ、渋い臙脂色と緑に包まれて硬くなった花は、寂寥感を漂わせているようにも見える。

そして、この花はとても時雨に似合う花だ。傘を持たずに慌てて走り抜ける花野でこの花に出会ったら、

思わず濡れるのもかまわず立ち止まり、そして耳をすませ、風に、周りの空気に、目を凝らすだろう。


       わたしひとりの音させてゐる        山頭火


  時雨に野の音が吸収され、ただ一本アキノノゲシが揺れるだけ・・・。

 そんななか、池田遙邨画伯の「山頭火シリーズ」(山頭火行く1984年)を観て飛び上がってしまった。

山頭火は多くの文人に語られ、多くの画家に表現されている。その表現は無常感であったり、放浪の旅で

あったり、流れる水であったりする。

しかし、私が山頭火に惹かれるのは、「優しさ」だ。「惑いの中に有る優しさ」とも言えば良いのだろう

か。どの句も、私を優しさで包んでくれるのだ。無常や宿命や病み疲れを、足で歩き、心で歩き、歩き倒

した後に残ったものが、「優しさ」ではないかと思わせる。いろんな評が有り、私ごときが種田山頭火や

池田遙邨画伯を語るのはおこがましいことだが、山頭火にそして池田遙邨に心を癒されるのは事実だ。

池田遙邨画伯の描かれる山頭火には、そこかしこに小動物や野の花が出てくる。そして、私が遙邨画伯の

絵をみて飛び上がったのは「山頭火シリーズ」の(山頭火行く1984年)だ。

                   https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1604285/img_1604285_21799094_0?1161241697-10-19池田遙邨


 遙邨画伯の絵は、季節の野を旅する山頭火と、野に咲く花(ススキが多い)や小動物が、まるで山頭火

を見守っているように同じ画面に描かれている。小さい花は具象的に描かれていないので、「これはミゾ

ソバ?ヒガンバナ?ノギク?」と、こちらがイメージで花姿を膨らませる。そしてそれは小さく描かれて

いるので見落とすこともあるほどだ。そんななかで、「山頭火行く」は画面に大きく野の花が、野蔓をか

らませて描かれている。陽が沈みかける空に立つ山頭火と二分するぐらいの大きさで野の花が描かれてい

る。私はこの花が、アキノノゲシだと思うのだ。そして、私がアキノノゲシに山頭火を重ねるのは、あな

がち間違っていないのではないだろうかと思うのだ。


    私も旅をしてみる。山頭火を思い、アキノノゲシを眺め、池田遙邨画伯の絵を観て・・・・。

    なんて幸せな「時」だろう。


 山頭火も、このアキノノゲシを見ただろう。花の前に座り、夜露に濡れて萎んだ蕾のもとで野宿をした

だろう。アキノノゲシは、他のどの花よりも、いつも何かの虫が寄ってきて休んでいる。


  とんぼとまつたふたりのあひだに       山頭火

  これはアキノノゲシにとんぼがとまっているのだろう


  ほんにしづかな草の生えては咲く       山頭火


 そして、夜が明けるとまた旅を続けるのだ。花は咲き続ける。どこまでも野の花を連れて旅をする。


 山頭火も見た?池田遙邨画伯も見た?同じものを見ている幸せ。そして実際には、旅が出来なくても

(想像できる幸せ)これは、なににも代え難い楽しい一時である。

       笠にとんぼをとまらせて歩く          山頭火

  珍しくアカトンボが寄ってきた。空は焼ける入日だ。夕焼けだ。






            月光(ひかり)の銛        木村徳太郎
          
          光の銛を

          見ましたか。

          夜の四つ角

          寒の街

          ぐさっと刺さって

          居りました。

          光の銛を

          見ましたか。

          月が怒って

          投げた銛

          何故だか恐くて

          ありました。
 

2006.10.19

閉じる コメント(15)

顔アイコン

丹波路の至る所に、秋の野芥子は咲いていました。私達は、それを兎草と呼んでいました。よく見れば、薄い黄色が秋の柔らかい日差しの中で儚い思いさえ呼ぶ花です。夕方には萎み、雨の日や曇りの日は咲きませんでした。綿毛になって晩秋の冷たい風に飛ぶ様は、いっそう寂しそうでした。そういえば花言葉は「控え目な人」。花ひとひらさんにぴったりのイメージではないのでしょうか。「薄霧のまがきの花の朝じめり秋は夕べとたれかいひけむ」(藤原清輔朝臣/新古今和歌集)。

2006/10/19(木) 午後 8:02 [ 道草 ]

顔アイコン

道草さま。綿毛になり遠くまで飛んでゆく。秋の野は、キンミズヒキやミズヒキの種、ハギの種、キツネノボタン、オナモミ・・・と沢山の草の実があちらこちらと服にひっついて来ます。「控えめ」どころか、賑やかでその頑張ることと言ったら・・・。秋の野は寂しそうに見えますが、とても出しゃばりですね。でも秋は「夕べ」。「藤原清輔朝臣/新古今和歌集」有難う御座います。

2006/10/19(木) 午後 9:46 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

こんばんは。花ひとひらさまはとても旅がお上手ですね。山頭火も見た?池田画伯も見た?花ひとひらさまも見られた、同じものを見られた幸せな野の花の旅に私もご一緒させて下さらない? 秋ただにふかうなる けふも旅行く。/散るは柿の葉 咲くは茶の花ざかり。/何を待つ日に日に落葉ふこうなる。/おたたも(母)或る日は来てくれる山の秋ふかく。山頭火 アキノノゲシってそう云う花なんだ。幸せな時を有難うございました。

2006/10/20(金) 午後 8:31 [ ささ舟 ]

顔アイコン

こんばんは。おむすびです。今日も素敵なお話。 花ひとひらさんの感性が私の気持ちにもしっかり届いてきそうです。 それにしてもこの詩、大好きです。「光の銛」か・・・わたしもそんな思いで光のすじをみつめたことがあります。

2006/10/20(金) 午後 8:35 [ ma_*ha*040* ]

顔アイコン

ささ舟さま。ささ舟さんはもっと旅の達人ですよ。風に乗って花ひとひら、いつだってひとひらの旅に私も出かけます。散る柿の葉にも茶の花にも旅はあるような・・・。秋の夜長は特に旅盛り?となりますね。ひよっとして今日の月旅行を、ささ舟さんもしておられましたか。いにしえの人と同じ旅を、そして山頭火の後ろをついて歩いたりもできますね。

2006/10/21(土) 午前 0:00 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

おむすびさん。いつもありがとう。おむすびさんは自然の中でいきいきと過ごしておられる(それは私にも伝わってきます)。月光の銛(もり)冴え冴えとした透明の月には、本当に怖さを感じることがありますね。やはり、旅と同じく同じように思って月を眺めている(父も眺めた、おむすびさんも見た。)これもまた幸せな時です。

2006/10/21(土) 午前 0:10 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

池田遙邨画伯の絵の上にマウスを置いていただければ絵は大きくなります。また「最新の画像」のなかの山頭火の花をクリックしていただいたらもっと大きな画像になります。遙邨画伯の絵を眺め、山頭火と旅に出てみるのも良いかと・・・。

2006/10/21(土) 午前 0:17 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

花ひとひらさまおはようございます。画像のなか・・吾亦紅も女郎花も咲いているような。蔓を巻きつけたアキノノゲシ。腰を曲げ行脚姿で飄々と風まかせの山頭火。一木一草を真如と眺める画伯の絵。感激しました。爽やかないい朝になりました。ありがとう♪♪ いい朝です有難うございました。

2006/10/21(土) 午前 7:39 [ ささ舟 ]

顔アイコン

ささ舟さま。おはようございます。画像に野の花を探し出すのもまた別の楽しみが加わりますね。吾亦紅を一枝手折って山頭火にあげましょうか。なんて言ってくれるでしょうね。良いお天気が続き空高く、野辺歩きには良い条件。もうすぐ山辺のこちらは時雨日が続きます。私からも「ありがとう♪♪」山のかなたから聞こえたでしょうか。

2006/10/21(土) 午前 9:07 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

はじめまして。山頭火の句集『草木塔』は、彼が新潟県村上に滞在中の折、山形県置賜地方を発祥とする「草木塔」の存在の知り感動して引用したものです。トラバを貼らせて戴きましたので御一読下さい。

2007/2/20(火) 午前 9:25 Twisterさとう

顔アイコン

Twisterさま。トラックバック有り難う御座います。こんな素敵なことをトラックバックしてくださり感謝です。私は余談ですが、「ブログとは何ぞや、トラックバックと何ぞや」と丁度悩んでいるところでした。それの答えを下さるようにタイミング良くトラバがあり目が開けました。こうして素晴らしい事が沢山知れるのがトラバですね。有り難う御座いました。「草木塔」読ませて頂きました。皆さまにもお薦めいたします。のちほど其方に改めてゆっくりとお伺いいたします。

2007/2/20(火) 午後 6:34 [ 花ひとひら ]

顔アイコン

山頭火の句;こんなに山頭火の叙情を知る事が出来た文章と絵初めてです。

30代の頃買った『山頭火』の分厚い本、棚で眠ったままになっています。

絵ってすばらしいですね。
象形が叙情になるのですね。

一昨日、月刊誌『サライ』で西行の記事を読みました。
西行も気になる独りになりました。

2008/3/11(火) 午前 1:10 待ち人

顔アイコン

いつも、コメント本当にありがとうございます。

木村徳太郎さんの、『詩』も凄いですね。

童謡詩を
孫に書いてあげられる嬉しいなと最近思っています。

2008/3/11(火) 午前 1:13 待ち人

顔アイコン

matibotott2004さま。有難うございます。山頭火もときどき思いついたように(疲れたときとか)引っ張り出して読んでいます。西行さんもいいですね。もうすぐすると桜。西行さんは桜ですね。山頭火はアキノノゲシです?。私のごり押し(笑)。桜も野の花も良いです。心癒されますね。
絵や写真(matibitott2004さまの写真は素敵です。詩が流れてきます)に
思いを乗せることが出来たら嬉しいですね。

2008/3/11(火) 午前 8:24 花ひとひら

顔アイコン

こちらこそ、丁寧に読んでいただけ嬉しいです。有難うございます。
木村徳太郎の詩は死後初めて知りました。(詩を書いていたのも知らなかったのです)こうして色んな方と一緒に見られるのが嬉しいです。<童謡詩を孫に書いてあげられる嬉しいなと最近思っています>素敵な事です。残すという事は宝物です。気にもとめなくってもそれがお孫さんに宝石と思える時が来るでしょう。残せることは素晴らしいです。どんどん書いてあげてください。

2008/3/11(火) 午前 8:30 花ひとひら

開く トラックバック(2)


.
花ひとひら
花ひとひら
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
友だち(7)
  • ハマギク
  • ++アイサイ
  • こうげつ
  • 吉野の宮司
  • plo*er_*un*yama
  • まんまるネコ
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事