来た道行く道通りゃんせ/風にのって花ひとひら

のんびりしたブログですがよろしくお願いいたします。

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ミゾソバの金平糖

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                      あかいろは お日さま

                 みどりいろは 葉っぱ

             みずいろは お空

                 きいろは お月さま

              しろいろは 雪こんこん

                ももいろは かー子ちゃん 


               
              手のひらに乗る小さな缶でした。
              小さな缶の丸い小さな穴。
              「カラカラ」振ると、「コロリ」と金平唐が転げ出る。

              桃色が出ると食べずに戻します。

              桃色は「かー子ちゃん」(私)。

              またコロコロカラカラと、振ってみる。
              お日さまや、葉っぱや、お空の金平糖と、
              かー子ちゃんが一緒に混ざります。

              カラコロカラコロと歌う、
              大切な大切なお八つでした。

              ときには、戻さないで
              お腹を空かした父(とうさん)の口に一つ、
              入れてあげました。
              「あ〜〜んして。かー子ちゃんをあげる」。

              父はとても嬉んでくれました。
 


桃色の金平糖ばかりが残ります。そしてそのうち桃色もなくなって、いくら振っても金平糖は出てきま

せん。

寂しい空き缶。

もうお八つはありませんでした。

そんなとき、私はミゾソバの花を見つけたのです。

あまりにも、かー子ちゃんの桃色金平糖に似た花で驚きました。そして、金平糖の缶にミゾソバを詰めよ

うとしましたが、小さくて上手に入りません。そのとき、父が大きな缶を出してきたのです。

これに「いっぱい摘んでおいで」と…。

その缶は、直方体で、白い髭のお爺さんとお婆さんが箒をもって落ち葉を掃除している絵が描いてありま

した。父が大事にしている缶のようでした。私は、缶にいっぱいミゾソバを摘んで持ち帰り、缶からミゾ

ソバの金平糖を出したり入れたり、「かー子の金平糖」と、楽しんでいました。缶を振ると、ほんものの

金平糖のときのようには「カラコロカラ」と涼しい音はしませんでしたが、「パサゴロパサ」とそれはそ

れで楽しい音がして、美味しそうな草の匂いがしました。

そして

大きくなって思うのでした。

ほんとうに、ミゾソバを缶に入れて遊んだことがあったの?…。

あれは夢?…。

父がくれた缶は、ほんとうにあったの?…。と、

        でも

私は見つけてしまったのです。遠い遠いあのときに戻ってしまうものを…。

すべてほんとうでした。夢ではありませんでした。


切ない風が私の心の中を通り抜けていきます。



[小川未明先生を悼む 木村徳太郎]

 小川未明先生がなくなられた。児童文学に生涯を賭ける、見ず知らずの一人間に、温かいしみいるような親切をほどこして____。
 昭和三十一年。金もなく、この年の暮れを、二人の子供をかかえて、どうして通り越そうかと苦しんでいた。
じっとしていられなく、用もないのに、夜になって師走の町を、わけもわからずにとび歩いて、苦しさからのがれようと、時間をすごした。
が、現実は苦しくとものがれることはできない。おまけに、二人の娘が、とぼしい炭火に手を暖めて、ぼくをおもって、まっているとおもうと、やっぱり帰る気持ちになった。
そんな苦しい師走のある日、小包みがとどいた。
「益々 御精進、御精健にて大慶に存じあげます。先日序がありましたので、駄菓子を少々お子様たちに、中村屋から送らせしましたが、通運の関係から無事つきましたでしょうか伺うかとおもっています。小生旅行後、健康、老弱のため弱っています。歳末何かとお子様御大切に御自愛なさるよう、お祈りしています。いい年をお迎え下さい。勿々」(十二月二十六日)
ぼくは死ぬ気なんてものは、すっかりふきとんでしまった。それどころか、金もなく、正月を迎えるものとて、なにひとつない家庭だったが、僕にとっては、生まれて初めてのよい正月をむかえたようにうれしかった。
それにしても、小包をうけとりながら、お礼状が遅くなって、先生から、あの懐かしい右あがりの字の問合わせのお葉書を戴くバカなことになった、いまおもっても慙愧にたえない。
未明先生が送って下さった、二つの大缶につまった中村屋のカリントは、親子三人のたったひとつの正月のご馳走になった。
ぼくはその翌々日、たまたま都合よく児童文学者協会から送られてきた、とるにもとらない印税分で、新潮文庫の小川未明童話集を一冊買って、表紙裏に__和子を自転車にのせ、榛原に行き、金なくて困るのに、この本と、子供たちに百人一首のかるたを購入す。
暮れの貧しい生活に、この本一冊が暖く全ての事をなぐさめてくれる___と、書き、小川未明先生のお葉書きを貼り付けた。
書きたいことの万分の一も、いまは書けない。
弔電。カナシミ クヤシサ サビシサ ナゲキテモ ナゲキテモ アマリアリ」ナラ キムラトクタロウ
     (奈良児童文学会「子じか」4号より)


 そうです。父が私に渡してくれた缶は、中村屋のカリントウの缶だったのです。父は私が「あ〜〜んし

て」と桃色の金平糖を口に入れてあげると、それは美味しそうに食べていました。

でもあのとき、家には食べるものもない貧乏だったのでしょう。そんなことを微塵も父は感じさせなかっ

た。ミゾソバの金平糖を食べる真似をする娘が、きっと不憫だったことでしょう。

でも、そんなことを顔に出さないでニコニコと笑っていました。

そして「児童文学に生涯を賭ける」と書いているのに、いつ筆を折ったのでしょう。

でも、良いのです。あの時父が戻ってきてくれたから、百人一首を買ってくれたから、楽しい正月も迎え

られたし、なによりも今こうして私は生きていられるのです。

河原にミゾソバが一面に咲いている。外国製クッキーの洒落た缶を持って河原に降り、ミゾソバを摘んで入

れてみる。振ってみる。「ボタッボタッ」と重い音がする。

摘んだミゾソバを川の流れに乗せた。桃色のリボンが流れていく。「かー子ちゃん」が流れていく。父さ

んも流れていく。桃色の一筋が遠く遠く流れていく。




        「よい月夜」       木村徳太郎   
 

             こんな月夜の

             藁砧

             とととん とんと

             誰が打つやら 叩くやら。


             月もまるうて

             嬉しゆうて

             渡る雁めも

             啣へ木で、


             お叩きなされ

             白銀の月

             冴えた音色が

             致しませう。
 

             こんな月夜の

             藁砧

             とととん とんと

             誰が打つやら 叩くやら。


2006.01.12

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こんばんは。お招きいただきまして、早速飛んでまいりました。素敵なブログですね。少し拝見しただけでも、私の好きなものがいっぱい! 先ずは、ご挨拶まで・・・また遊びに伺います。

2006/11/14(火) 午後 7:42 [ 夕ひばり ]

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夕ひばりさん。お呼びだていたしまして失礼いたしました。子供のころの思い出(野原で遊び、流れる雲に乗り)をひっぱり出しております。またお遊びにおいでください。有り難うございました。

2006/11/14(火) 午後 11:05 [ 花ひとひら ]

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そう、金平糖が見られなくなりましたね。でも、先日あるスーパーで「なつかしいお菓子コーナー」が設けられていて、それはそれは懐かしいお菓子ばっかり集められていました。思わず立ち止まって、あれもこれもとかごの中へ。もちろん、金平糖も。あのコーナー、きっと大人が陣取ってたのではないかしら。京都の何通りか覚えてないのですが、ふらりと歩いていたとき、金平糖を作っているお店の前を通りました。玄関のガラス戸越しに大きな丸い機会がぐるぐる回って、金平糖がわいわい出来上がっていくのを見ていたことがありますよ。

2006/11/15(水) 午前 9:30 [ あしび ]

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ご心配なく。金平糖は健在です。日本でただ一軒、金平糖の専門店が左京区吉田にある「緑寿庵清水」です。織田信長も大好きだったのに、どうして廃れたのでしょう。数ある中で、緑茶(かどうか。緑色の粉)をまぶした厚手の金平糖が一番好きでした。花ひとひらさん、あのツノはどうして出来るのかご存知ですか?砂糖に餅米を細かく砕いて混ぜるそうです。それが釜の中で回転するする時に、鉄板に触れた部分の蜜が乾いて固くなって僅かに出っ張るとか。いわば、金平糖の出しゃばりお米(よね)と言えるのでは、とアホな事を書いてしまいました。

2006/11/15(水) 午前 11:24 [ 道草 ]

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あしびさま。私もそんな「コーナー」行きたかったなあ。駄菓子屋さん懐かしいね。きっとそれお爺ちゃんお婆ちゃん?用ですよ。孫に買う振りして楽しむ。舌を原色に染めて得体の知れないようなものもあったような。金平糖が「わいわい」楽しい表現ですね。見てたらきっと思い出もわいわいと出てきたでしょう。お茶席で「振り出し」とか言って重々しい入れ物に入った金平糖の数粒がお干菓子に・・・。私それぐらいでは足らんわ。

2006/11/15(水) 午後 3:58 [ 花ひとひら ]

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道草さま。「金平糖のでしゃばりおよねにや角がある」素敵な角ですね。およねさんに拍手、拍手。そうそう駄菓子で思い出しました。角なし球形のマーブル菓子と言うのも有りました。舐めているのがじれったくって「カリッ」と噛むと綺麗な色が渦になって出てくる。懐かしいなあ〜。昔菓子。これなどはマーブルの引っ込み(隠し)混ぜ?ですね。

2006/11/15(水) 午後 4:13 [ 花ひとひら ]

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花ひとひらさま、こんばんは。みなさんの金平糖談「わいわい」で楽しそうですね。何時の間にやら角が取れてマーブル菓子に。あれは時間かせぎにいいお菓子です。昔、お正月におこたで坊主めくりやトランプ遊びのとき必ずマーブル菓子をころころと舐めていました。色変わりするのをべろを出して見せあったりして・・。可愛いかったなあ〜あの頃は・・。今度京都で金平糖買って来。お邪魔いたしました、おやすみなさい。

2006/11/15(水) 午後 9:49 [ ささ舟 ]

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再度のおじゃま御免なさい。いま図鑑見ていたら、ミゾソバに良く似た花がありました。「あきのうなぎずる」(あきのうなぎつかみ)花は下部が白く上が紅色。「ながばなうなぎずる」(ながばなうなぎつかみ)花は淡紅紫色。いずれもタデ科。図鑑見てても楽しいねぇ。

2006/11/16(木) 午前 11:04 [ ささ舟 ]

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ささ舟さま。こんにちわ。返事が遅くなりました。ちよっと居眠りしておりました。野原にね、マーブルに似たスズメウリと言うのがあるのですが見ると口に入れたくなります。余談ですが、先日Xmasケーキの素敵なのを見つけたので、孫に贈ろうかと思い娘に言ったら「要りません。ケーキは手作りします」と叱られました。昔は私もケーキやお八つは、量が要ることもあり手作りでした。仕事を持って多忙な娘はしてないだろうと思っていたらヤッパリ作っているみたいで嬉しくなりました。1

2006/11/16(木) 午後 0:45 [ 花ひとひら ]

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昔の手作りお八つと言えば蒸かしイモとか切り餅とかで、たまにお金を握り締めて買うお菓子は最高でしたね。こんど、機会があったらベロの見せ合いっこしましょうか。2

2006/11/16(木) 午後 0:46 [ 花ひとひら ]

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ささ舟さま。ミゾソバに似たもの有るでしょう。ミゾソバ以外は刺がありそれでいろんな名前があるのかしら。ミゾソバで思い出すのは「蛙つり」とか言って男の子が葉っぱに糸を括り付け、それを割り箸に繋いで「蛙を捕まえるんだ」と言っていましたが、ほんとうに蛙が釣れたのかしら。見たこと無いのですが。どうしてミゾソバで蛙つりになったのか今でも気になります。

2006/11/16(木) 午後 0:53 [ 花ひとひら ]

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こんにちは♪ミゾソバとは関係ないのですが・・・中村屋の缶で、小さいころのことを思い出しました。家にもあったんですよ、同じのが。ただお爺さんとお婆さんはいなくて落ち葉焚きの絵なのです。白い煙が描かれていたような・・・もしかすると二つの絵は対になっていたのでしょうか?うちではそれをオヤツ入れにしていました。それから、小さい頃から大好きだったんです、小川未明の童話。ことに『月夜とめがね』が。お父様はその未明先生とお知り合いだったのですね!びっくりしました(^^)

2006/11/16(木) 午後 4:47 [ 夕ひばり ]

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夕ひばりさま。こんばんは。そうですねあれは対になっていたものかもしれません。時々懐かしくお店を訪ねてみるのですが見つかりません。一筋の煙が描いて有りました。私も小川未明先生(父はいつも小川未明先生と言っていたので)の童話は沢山読みました。沢山有りました。が、私たちが大きくなるに連れ、本の数は減って行きました(きっと私たちの生活費、学資にかわったのでしょうね(1)

2006/11/16(木) 午後 8:49 [ 花ひとひら ]

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ときどき本屋さんで懐かしい背表紙を見つけると胸が潰れそうになる事があります。父もかっては童話を書いていたのですよ。今、父の詩を毎回掲載しています。未完の「長編創作童話」も・・・。もし覗いて頂く事があれば随喜の思いです。

2006/11/16(木) 午後 8:51 [ 花ひとひら ]

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お早うございます。やっと思い出しました。いろはにこんぺいと こんぺいとうはあまい あまいはおさと おさとはしろい しろいはうさぎ うさぎはねる はねるはかえる かえるはあおい あおいはおばけ おばけはきえる きえるはでんき でんきはひかる ひかるはおやじのはげあたま。 よく遊びました。

2006/11/18(土) 午前 7:07 [ ささ舟 ]

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ささ舟さま。こんばんは。私もこれ、歌って遊びました。子供って他愛ないけど、結構ひどい事も言いますね。いま、丁度孫が来ていまして、マザーグウスの歌を読んでやっていました。「バラハアカイ・スミレハアオイ・オサトウハアマイ・ソシテキミモと言うのが有りました。はげあたまより、こっちのほうが良いかな。

2006/11/18(土) 午後 10:32 [ 花ひとひら ]

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やっと、花ひとひらさんの絵本を手に入れる事が出来ました。 画像を載せて、私のブログで紹介させていただきたいのですが、許可願えませんか?

2006/11/26(日) 午後 10:59 [ うー吉 ]

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うー吉さま。返事が遅くなりました。夜にゆっくり妖精ちゃんに会いに、うー吉さんのお料理献立を明日の参考に、お邪魔致します。取り急ぎ返事のみ。紹介はとても嬉しいです。異存などございません。うー吉さんと妖精ちゃんはし、っかりしたメーセージをちやんと持っておられるので嬉しいです。プラス野山の花や星を眺めて、うー吉母さんからのメーセージを伝えてあげてください。よろしくお願い致します

2006/11/27(月) 午後 5:21 [ 花ひとひら ]

秋で此処に来ました。
家族の為に自分の夢を捨てても 子供がきちんと心を受け止めて
素敵な大人の女性に成って
きっとお父さんは笑みで見つめてくれてます。
親子ってこうなのですよね。
ひもじい思いをさせたく無い一心で筆を下ろしたお父さん。
ひもじさに心痛めたお父さん。
お互い 尊敬出来る親で幸せですよね。
ポチで此処に来て 又良かったです。
ありがとう。

2009/10/5(月) 午後 4:45 [ - ]

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志乃さま。いつも有り難う御座います。遡って訪問して下さったのですね。嬉しいです。これは「ジューンドロップ」にも収めています。そうですよね。親は偉大です。志乃さんもお母さん大好き。私も父が大好きです。
私もまた読み返してまた親に感謝です。戻ってみるのもいいことですね(でも読み難かったでしょう)

この文を読んで下さった方が中村屋のカリントウを、食べさせてやろうと送ろうとして下さったのですが、もう今は製造していないらしいです。
食べ物も時代によって変りますが、どこかで何時までも心に残る味があることを、その送って(なかったので別の「黴の糯」の味のするおかきでした)下さった方やこうして志乃さんが感じて下さるのがとても嬉しいです。これも加えて父が残してくれた私への大きなプレゼントになりました。有り難う御座います。いま溝蕎麦が一面に咲いています。

2009/10/6(火) 午前 7:12 花ひとひら


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